Arc Jihad(アークジハード)-再会と休息と-

ヤマトタケルノミコト♂ 25歳 日本の英雄のパーソナリティをインストールされた男性。
普段はおちゃらけているが、やる時はやる男。
神蔵俊久♂ (かみくら としひさ) 35歳 ミスティオン関東支部の支部長、不思議な事が好きな学者。
飄々としていて人をからかうのが好き。
渡来克巳♂ (わたらい かつみ) 22歳 関東支部、探索ニ班の班長、組織の正構成員。
一箇所に留まってられないタイプ、口が悪いが活発な好青年。
セレス・カーライル♀ 23歳 ミスティオンの支部長、オカルトマニアな歴史学者。
ノリは軽いが頭の回転が凄く早い、一部からは天才と言われている。





タケル♂:
俊久♂:
克巳♂:
セレス♀:







セレス「何、あれ・・・、関東支部の宿舎が・・・」

タケル「あいつらの遠呂知(おろち)で壊されたんだ」

セレス「分かってるわ、急ぎましょう」

タケル「あいさ」

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セレス「近くで見ると余計酷いわね」

タケル「だな、まぁあの技でこの被害なら、手加減した方なんだろうが」

セレス「それと結果は別でしょ、手分けして探すわよ」

克巳「あー、ちょっと海外のお客さん、そこ危ないから近付いちゃダメっすよー、
   って日本語通じないか?そちらの方が通訳さん?」

タケル「いや、通訳ではないんだが・・・」

セレス「大丈夫、日本語喋れるわよ。私、ミスティオン・アメリカ支部から来たの、
    これくらいの瓦礫だったら平気よ、手伝わさせて」

克巳「おぉ、すげぇ流暢(りゅうちょう)な・・・、っと、それなら大丈夫っすよ、人命救助なら済んでるし」

タケル「済んでるって、この被害、あの短時間でか?」

克巳「そっすよ、滞在してる人間全員の点呼も確認取れてるし、問題ないっす、
   それよりも、アメリカ支部って事はセレスさんっすよね、無事でよかった、
   辰の野郎が空港の方に走ってったんで心配してたんすよ」

セレス「辰って、辰則君のこと?」

克巳「お、知り合いっすか、そしたら話も早いかな、支部長が待ってたんで、案内しますね」

タケル「・・・・あいつの知り合い、大丈夫か?」

セレス「大丈夫よ、多分ね」

タケル「根拠は?」

セレス「俊久は友達だもの」

タケル「んー、分かった」

セレス「それじゃ行きましょ」

タケル「おうよ」

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克巳「神蔵さーん、セレスさん連れてきたっすよー」

俊久「おぉ!本当かい!どうぞ入ってー!」

克巳「それじゃ失礼しまーす」

セレス「おじゃましまーす」

俊久「やぁセレス!久しぶりだねぇ!」

セレス「俊久ー!相変わらず元気そうで良かったー!」

俊久「そちらこそ!いやしかし、アメリカから連絡があった時はびっくりしたよ、
   本題は直接話すって聞いて余計にね、どういう風の吹き回しだい?」

セレス「あー、楽しそうな所申し訳ないのだけど、あまり良いお話じゃないわよ?」

俊久「セレス、僕を誰だと思ってるんだい?」

セレス「えぇ、そうだったわ、貴方も私と同類なんだった」

タケル「なぁ、この組織はそんなんばっかなのか」

セレス「そうよ、古くからいる人は特にそう、今でこそ大規模な考古学や歴史研究機関だけど、
    前身はオカルトサークルだもの、それも聖遺物を中心とした、力を秘めしアイテムメインのね」

タケル「なるほどな、じゃあもう驚かねぇよ、覚えとく、これが普通なんだな」

俊久「そういう事、っとお客さん、自己紹介がまだだったね、久しぶりの再会でテンションが上がってしまったんだ、
   許してくれると嬉しいな、僕の名前は神蔵俊久、日本関東支部の代表だ、よろしくね」

タケル「よろしく」

克巳「日本関東支部、探索二班の班長、渡来克巳っす、よろしく」

タケル「あぁ、俺はヤマトタケルノミコトだ、よろしく」

俊久「っ、ヤマトタケルノミコトだって!?」

克巳「すっげぇ・・・、蘇りって奴か、これが・・・!」

タケル「・・・これ、毎回やんなきゃダメ?」

セレス「みたいね、お二人さん、これ読んでもらえる?一枚しか用意してなくてごめんなさい、
    読み回してもらえると嬉しいわ」

俊久「おぉ、セレスの直筆か、相変わらず綺麗な字を書くねぇ、渡来君も見習った方が良いぞー」

克巳「大きなお世話っすー」

俊久「ふむふむ・・・、これは、にわかには信じがたい内容だけど・・・」

克巳「ん、俺にも読ませてくださいよ支部長、何々・・・、英雄のパーソナリティをインストール・・・?」

俊久「セレス、もちろん証明は出来るんだよね?」

セレス「全てをってのは難しいけど、タケル、あれだして」

タケル「おうよ、出雲のオロチよりいでし宝剣よ、今こそ我が前にその姿を、天叢雲剣(あまの むらくもの つるぎ)」

克巳「うぉー!すっげぇー!何もない所から剣が出てきた!手品じゃないよな?うぉー!」

俊久「渡来君、素が出てるよ、タケルさんビックリしてるから」

克巳「あっと、ごめんなさーい」

タケル「お、おう」

セレス「ふふっ、探索班って名乗ってた割に大人しいなぁって思ってたけど、やっぱりね」

克巳「うぃっす、育ちよくなくてすんません」

セレス「育ちが良いからって口が良い訳じゃないの、貴方なら知ってるはずでしょ?」

克巳「あー、辰の事っすね」

セレス「そうね、っと話がそれたわね、これで信じてもらえるかしら?」

俊久「あっははは!いやぁ、信じるも何も、僕らは最初から疑ってなかったりするんだなぁこれが!」

セレス「・・・・・え?」

克巳「辰があの変な奴と契約する所に、俺たち居合わせてるんすよ」

セレス「・・・えぇ?」

俊久「ちょっと遊んでみたかったんだ、ごめんね」

タケル「なぁ、こいつらお前とは違った意味でタチ悪いぞ」

セレス「そうだったわ、久しぶりすぎて忘れてたわ、ってちょっと、今流しそうになったけど、タケル?」

タケル「悪い悪い、やられっぱなしは癪だったんでな」

セレス「もう・・・」

俊久「あっははは!いやぁいいコンビだね、ずっと眺めていたくなるよ」

セレス「ちょっと面白そうだと思ったら、くっ付けようとするその癖やめましょう?」

俊久「やめませーん」

セレス「くっ・・・」

克巳「いやぁ、支部長が楽しそうで何よりっす」

セレス「あー、また話それちゃった、見てたなら事の重大さは分かっているでしょ?」

俊久「もちろん、君の手紙のお陰で指針も出来た、関西支部にも連絡はしておくよ」

セレス「お願いするわ、それじゃ北海道支部には私から」

俊久「ありがと、僕あそこの人苦手なんだよねぇ」

セレス「分かってるわ」

タケル「それにしてはのん気だなぁ、本当に分かってるのかよ」

克巳「分かってるっすよ、ひとまず今の俺らじゃ辰は止めらんねぇ、力がねぇ、
   だからまずは出来る事からやる、それしか出来ねぇなら焦ったってしょうがねぇだろうが」

俊久「渡来君」

克巳「あ・・・、しょうがない、じゃないっすか」

セレス「ぷっ、あっはははは!」

克巳「あ、笑うなよ!じゃなくて笑わないでくださいっすよ!」

タケル「もういいよ、素で喋ってくれ、喋り辛いんだろ?」

克巳「だって支部長、いい?」

俊久「お客さんがいいと言うならね」

克巳「よっしゃ!あー!敬語めんどくさかったー!」

セレス「あら、私はまだいいって言ってないわよ?」

克巳「あ」

俊久「だって、渡来君」

克巳「す、すんませーん」

セレス「あっははは!いいわよ、貴方の運動部的な敬語、聴き辛いもの、
    だったら口悪い方がまだ良いわ」

克巳「っ、悪かったなぁ!どうせ俺は口悪いよ!けっ!」

俊久「セレス、あまり虐めないであげてよ、ヘソ曲げるとめんどくさいんだから、この子」

克巳「ちょ、めんどくさいってなんだよ!」

セレス「そうね、ちょっと自重するわ」

克巳「おい待て、否定させてくれよ」

タケル「こうなったらもう止まらん、諦めてくれ」

克巳「くっそ、女版支部長か、厄介な・・・」

俊久「おっと、それは聞き捨てならないかなぁ」

克巳「げっ、やらかした・・・!」

タケル「ドハマリかましたな、どんまい」

克巳「ちくしょう・・・」

俊久「さて、冗談はさておき、セレス、僕とそこの渡来君も適合者だ」

セレス「その根拠は?」

俊久「東条君が契約する時に居合わせたって言ったでしょ?
   僕らも見てるんだ、契約する前の、担い手の姿をね」

克巳「さっきの手紙だと、見える事が資格なんだろ?」

タケル「その通りだ、それなら間違いない」

克巳「よし、なら俺にも力を手にする資格があるって訳だ」

セレス「使い方、間違えないでね」

克巳「ったりめぇだ、辰を止める為だ、間違えるかよ」

俊久「口や素行は悪いけど、そういう所はしっかりした子だよ、その子はね」

セレス「俊久がそう言うなら間違いないんでしょう、それなら平気ね」

俊久「うん、さて、こちらの確認したい事も確認できた事だし、早速連絡を・・・」

セレス「あ、確認したい事」

俊久「うん?まだ何かあった?」

タケル「あ、あれか」

セレス「そう、あれ」

克巳「あれ?」

タケル「えっと、俺達の武器が持つ力についてだ、ちょっと細かくなるから、先に言葉を定義させてもらうぜ?
    今俺が持ってるこいつを「レプリカ」、契約者に契約の鍵として渡すのを「コピー」って俺達は呼んでる、
    ここまでOK?」

セレス「大丈夫よ」

タケル「よし、んでだ、俺たち担い手は、超常的な力を扱う事が出来る、俺だったらカマイタチ発生させたり、
    炎を剣に纏ったり、とかな」

セレス「待って、あの時は辰則君の持ってるコピーの方から、ヤマタノオロチが出てたわよ?」

克巳「あぁ、それは俺たちも見てる、あれはどういう事なんだ?」

タケル「いい所にお気づきで皆さん、担い手と契約者はレプリカによって繋がっている、
    コピーを渡すと、その繋がりがより直接的になって、身体能力が強化されるんだよ、気付いてたか、セレス?」

セレス「言われて見れば・・・、凄くナチュラルに使ってたから気付かなかったわ」

俊久「なるほど、それなら東条君があれだけの運動神経を見せたのも納得だねぇ、
   それで、さっきの質問の答えになってないのだけれど」

タケル「分かってる、これから話す、さっき繋がってるって言ったよな?
    担い手はコピーの方からも力を発現させる事が出来るんだ、
    つまり契約者は自分の意思では、超常的な力を使う事は出来ないって事だ」

セレス「つまり辰則君は力を使わされていたって事なのね・・・」

克巳「なんだよそれ、って事は辰の野郎、あいつに良い様に踊らされてんのかよ・・・!」

俊久「元々コンプレックスと野心が両立する、不安定な子だったけど、
   今の話だけ聞いてもあの豹変振りは納得できてしまうね」

セレス「ねぇタケル、その身体能力強化って契約者の地力はあんまり関係ないの?」

タケル「いいや、大いにあるぞ、もちろん担い手の力が強ければ強化される度合いも大きいけどな」

セレス「だとすると、酒呑童子(しゅてんどうじ)の力は相当ね、デスクワークの辰則君が私に喰らい付くんですもの」

克巳「っ、あんた、辰にあったのか」

セレス「えぇ、戦闘もしたわ」

克巳「あいつは、あいつはその後どうなった!」

俊久「渡来君」

セレス「俊久、大丈夫よ。彼なら逃げたわ、無傷でね、本当は担い手を倒せれば良かったのだけれど、
    互角でね、止められなかったわ、ごめんなさい」

克巳「・・・・そうか、わりぃ」

セレス「ううん、いいわよ」

俊久「そうだ、契約した人間を解放する術はあるのかい?」

タケル「あぁ、俺たち担い手は、レプリカでこの世界に留まり、契約者を通してこの世界と繋がる、
    契約者がいなければ何も出来ないし、レプリカがなければこの世界にいる事すら出来ない、
    つまりだ、こいつを、レプリカを破壊すれば俺達は消える、契約者を担い手から解放することが出来る」

克巳「じゃああいつの、刀を壊せば、辰を開放出来るんだな・・・」

タケル「そういう事だな、後、補足説明、担い手は実体を持ってもこの世界の人間を攻撃する事は出来ない、
    だから担い手は契約者を必ず連れて行動するんだ」

セレス「へぇ、そうなのね、って補足じゃないわ、かなり重要な事よ、掘り下げなさい」

タケル「あ、マジか、じゃあ順を追って、さっきの逆なんだが、この世界の人間は担い手を攻撃することが出来る、
    ただ力が違いすぎるからやろうと思うなよ、担い手がいるって事は、近くに契約者がいる可能性も高いからな」

俊久「なるほど、契約者がコピーを使って、この世界の人間を攻撃する事は出来るって事だね」

タケル「その通り、契約者のコピーから発現した能力なら、人を攻撃できるからな」

俊久「利害が一致して悪用されたら大変な事になりそうだ、
   そういう意味でも早めに事態を収拾した方がいいね」

克巳「そうだな、あー、俺も早く担い手と契約してぇなぁ」

俊久「渡来君はじっとしてるの苦手だもんね」

克巳「本当だよ!自分で動きてぇ!人になんて任せてられるか!」

セレス「ふふっ、それじゃあ、日本の支部にも担い手探しを手伝ってもらおうかしら、
    幸い二人は適合者みたいだし、見つけたら契約しちゃうのも手かもね」

タケル「そうだな、ヌアザに酒呑童子、魔剣は二体確認できてるが聖剣はまだ俺一人だ、
    早い事仲間を見つけねぇと」

俊久「では、それも含めて関西支部には伝達をしておくよ、あと、この手紙もメールで添付させてもらうね」

セレス「えぇ、よろしく、後さっきのタケルの話も一緒にね」

克巳「大丈夫か?俺達は辰を見てたからすんなりと飲み込めたけど」

俊久「まぁ志光(しこう)なら信用してくれると信じて、としか言いようがないかな」

セレス「そうね、現物を見せられない以上、信用問題でしかないもの」

タケル「おい、物扱いすんな」

セレス「あら、レプリカの事だったんだけど?」

タケル「ぐっ・・・」

克巳「やっぱ女版支部長だ」

俊久「ほほー、そんな事言っちゃっていいのかなー」

克巳「あ、やな予感」

俊久「渡来克巳君、君は担い手を見つけ、契約したら関西支部へ行き、
   彼らの支援をするという使命を与えよう」

克巳「げっ、マジかよ!?」

俊久「マジです」

タケル「行かせるのは良いけど、担い手が見つかったなら一度話がしたい、
    今後の相談もしたいしな」

俊久「ん、それもそうだね、それじゃあ見つかったら君たちにすぐ連絡するよ、
   さてと、改めて確認事項は以上かな?」

セレス「私は大丈夫よ」

克巳「俺も大丈夫だぜ、関西行きは不満だけど」

俊久「帰ってくるタイミングは志光に任せるよ、
   彼は優しいから渡来君が頑張れば、要望も飲んでくれるんじゃないかな」

克巳「俺の自由は相変わらずねぇのな!」

セレス「ふふっ、ご愁傷様」

克巳「うっせー!」

俊久「渡来君」

克巳「・・・なんだよ支部長」

俊久「うるさいよ」

克巳「誰のせいだー!」

タケル「うん、克巳、お前がいてよかったよ」

克巳「どういう意味だよ・・・」

セレス「いなかったらターゲット、完全に貴方だったわね」

タケル「あぁ」

克巳「この世に救いはねぇのかー!」

俊久「少なくとも今ここには無いかな」

克巳「ちくしょう・・・」

俊久「さてさて、茶番は置いといて僕はお仕事してくるよ、
   渡来君、二人を第二応接間に案内してあげて」

克巳「了解・・・」

セレス「ありがと、部屋に電話はある?」

俊久「あそこにはないねぇ、そしたら業務端末を後で持ってかせるよ」

セレス「うん、よろしくね」

タケル「セレス、お前ここまで休み無しだろ、少しは・・・」

セレス「大丈夫よ、連絡が終ったら休むようにする」

克巳「それじゃさっさと案内するか、早く休んでもらえるようにな」

セレス「お気遣いありがとう」

俊久「それじゃセレス、おやすみ」

セレス「うん、お休み俊久」



to be continued...




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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w


こちらの台本はコンピレーション企画「Arc Jihad(アークジハード)」にて
書かせて頂いたものです。
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