Arc Jihad(アークジハード)-龍と鬼の出会う時-

東条辰則♂ (とうじょう たつのり) 22歳 ミスティオン関東支部の幹部、事務処理系を担当している。
口が悪く態度はデカイが気の小さい男。
ヤマトタケルノミコト♂ 25歳 日本の英雄のパーソナリティをインストールされた男性。
普段はおちゃらけているが、やる時はやる男。
酒呑童子♂ (しゅてんどうじ) 26歳 伝説の鬼のパーソナリティをインストールされた男性。
粗暴だが悪知恵が働き、人の心をよく分かった男。
セレス・カーライル♀ 23歳 ミスティオンの支部長、オカルトマニアな歴史学者。
ノリは軽いが頭の回転が凄く早い、一部からは天才と言われている。






辰則♂:
タケル♂:
酒呑♂:
セレス♀:




セレスN「ミスティオン日本関東支部、宿舎」

タケルN「半壊した瓦礫の上に、一人の男が佇む、彼の名前は東条辰則、この支部の幹部である、
     その右手には、おぞましい妖気を纏った刀を握っていた・・・」

辰則「っは、ははは、あっはははははは!すげぇ、すげぇぞ、これを、俺がやったのか!
   これさえあれば、もう何も怖くねぇ!俺は、力を手に入れたんだ!」

酒呑「手に入れたばっかの力を使いこなすた、いやお見事、それでこそ俺の契約者だ」

辰則「酒呑童子・・・、あんたのお陰だよ、これがあれば俺は、いや、世界は変わる、俺が、変える・・・!」

酒呑「クッククク、そうだ、これから世界は変わる、俺らが変える!」

辰則「はっ、あっはははは!すげぇ、ミスティオンの活動がクソみたいだ、こっちの方が断然楽しいぞ!」

酒呑「っ、この気配」

辰則「ん、どうした?」

酒呑「見つけたぞ、天叢雲・・・」

辰則「天叢雲・・・ってぇと、ヤマトタケルの・・・」

酒呑「あれは、俺んだ・・・」

辰則「酒呑童子の・・・?」

酒呑「クッククク、運が良い、こんなに早く会えるとは・・・、待ってろ、天叢雲!」

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セレス「スシ!ニンジャ!フジヤマゲイシャ!」

タケル「外国人って、マジでそれ言うのな・・・」

セレス「ううん、多分言わないわ」

タケル「じゃあ何故今言ったよ!?」

セレス「ほら、これを言うと、日本に来たなぁって感じがするのよ!」

タケル「俺は同意しかねる・・・」

セレス「えぇー、貴方の母国でしょー」

タケル「だからだよ!」

セレス「ふふっ、知ってるー」

タケル「っ、こいつ・・・・!」

セレス「あ、ここから結構歩くからあんまり騒ぐと体力持たないわよ?」

タケル「誰のせいだ誰の!」

セレス「強いて言うなら世の中のせいよ」

タケル「んな哲学じみた答えは期待してねぇ!」

セレス「そんな事言って、楽しそうよ、タケル」

タケル「やかましいわぁ!」

セレス「あっははは!関東支部まで暇しなさ・・・」

タケル「出雲のオロチよりいでし宝剣よ、今こそ我が前にその姿を、天叢雲剣」

セレス「っ、いきなり剣を渡して、どうしたの?」

タケル「来る」

セレス「もしかして・・・」

タケル「下がってろ!」

酒呑「その剣をよこしやがれぇぇぇええええええええ!」

タケル「っ、ぐぅ!?」

セレス「タケル!」

タケル「大丈夫だ!」

酒呑「俺の一撃を防ぐたぁやるじゃねぇか、そうじゃなきゃなぁ、
   じゃねぇと許せねぇよなぁ!」

タケル「どういう事だ、俺はお前の事なんか知らねぇぞ、
    許してもらわなきゃいけないいわれなんてねぇ」

酒呑「あぁ、テメェに怨みなんざねぇよ、用があんのはその剣だけなんだよ」

タケル「天叢雲剣に・・・?」

辰則「はぁ・・・はぁ・・・おい!待てよ酒呑童子!一人で行くんじゃねぇよ!」

セレス「っ、酒呑童子!?それに、彼、関東支部の・・・!」

酒呑「おー、辰則、おせぇじゃねぇの、まぁ合格点っちゃ合格点だがなぁ、クッククク・・・」

辰則「遅いも何も、お前が速すぎるんだ!しかも、気付いたら人を襲って・・・」

酒呑「これから世界を変えるんだろうが、人一人や二人殺すのに躊躇ってどうすんだよバァカ!」

タケル「セレス、魔剣だ」

セレス「見れば分かるわよ、ねぇ!貴方、関東支部の辰則君でしょ!」

辰則「あぁ、誰だ、俺の名前呼ぶのは・・・、ってアメリカ支部のセレスじゃねぇか!」

酒呑「なんだテメェ、知り合いかよ」

辰則「い、一応な」

酒呑「クッ、都合がいい、辰則、あの女、テメェでぶっ殺せ」

辰則「なっ、マジで言って・・・!」

酒呑「テメェこそ、マジで言ってんだよな?出来ねぇなら、ここで捨てんぞ」

辰則「っ、分かった、やってやる、やってやるよ!」

タケル「セレス、ヌアザの時みたいに今回はずっと守ってる訳にはいかねぇからな」

セレス「大丈夫、タケルはそっちに集中して」

タケル「・・・あぁ、分かった」

酒呑「チッ、外れクジ引いたか」

タケル「ふっ、戦いはまだ始まったばっかりだぜ、後悔するのは早いんじゃねぇか?」

酒呑「ハッ、ムカつく野郎だ、安心しろよ、この俺が、殺し合いで後悔する訳が、ねぇだろぅがぁ!」

タケル「っ、早い!?」

酒呑「っだらぁ!」

タケル「ぐぅ!っちぃ、ガードしてもここまで響くかよ・・・!」

酒呑「クッハハハ!どうしたぁ!デカイ口叩いた、ばっかりだろうがぁ!」

タケル「異説、草薙の剣!切り裂け、カマイタチ!」

酒呑「っ、ぐぁぁあああああ!?」

タケル「やったか!」

酒呑「づ、っおらぁ!」

タケル「嘘だろ、ぐぁ!?」

酒呑「ちぃ、クッソが、ふざけやがって・・・」

タケル「それは、げほっげほっ、俺のセリフだ・・・!なんで、あれ喰らって突っ込んでこれるってんだ・・・!」

酒呑「ハッ、鬼の生命力舐めんじゃねぇぞ」

タケル「げっ、傷が、塞がって・・・・!?」

酒呑「まだだ、まだ御伽噺は始まったばっかりだ、めでたしにゃまだはえぇぞ、英雄!」

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セレス「ねぇ、辰則君」

辰則「んだよ、セレス」

セレス「あなた、何をしようとしてるか分かってる?」

辰則「当たり前だろうが、俺はこいつで、この遠呂知(おろち)で世界を変えてやるんだ」

セレス「それが、どういう意味なのか分かってるか、と聞いているの」

辰則「くどいな、分かってるっつってんだ!あんま舐めてるとぶった斬るぞ!」

セレス「あら、パートナーからは斬れと言われてなかった?」

辰則「っ・・・」

セレス「ほら、分かってない」

辰則「うるせぇ!分かったよ、分かってんだよ!あぁやってやるよ、後悔するんじゃねぇぞ!」

セレス「自分に言い聞かせてるみたいよ」

辰則「う、うるせぇって言ってんだ!」

セレス「声と手、震えてるわよ?」

辰則「くっ、どいつもこいつも俺の事バカにしやがって・・・!」

セレス「バカになんてしてないわ、分かってるならいいのよ、
    つまり貴方は、分かった上でやるのよね?」

辰則「あぁ、そうだ、何が言いてぇ!」

セレス「貴方は私の敵だって事よ」

辰則「ぐっ、あぁそうだ敵だよ!くっそ、やってやるぁ!」

セレス「ふっ、はぁ!」

辰則「おぉらぁ!」

セレス「貴方、世界を変えるって、言ったわよね」

辰則「あぁ、言ったさ、それが、どうした・・・!」

セレス「何も、変わらないわ」

辰則「んだと・・・!」

セレス「守りたい物の為に命を賭けて戦う、これなら、今までと何も、変わらない!」

辰則「うぉ!?」

セレス「ふっ!」

辰則「ぐっ!」

セレス「よっと、ほら、立ちなさい、この世界を、変えるんでしょう?」

辰則「くっ、舐めやがって・・・!うぉぉおおおおおおおお!」

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酒呑「っだらぁ!」

タケル「ぐぁ!」

酒呑「クッククク、よぉ英雄、さっきまでの威勢はどうしたよ」

タケル「これが御伽噺・・・?冗談じゃねぇ・・・」

酒呑「ハッ、鬼退治は御伽噺ってのが相場だろうが、そうじゃねぇならこれはタダの悲劇だ、
   英雄様の死で完結、後味もなんもねぇ、ただのなんて事はねぇ昔話に成り下がる」

タケル「・・・知ってるか?」

酒呑「あぁ?」

タケル「神話や英雄伝ってのは、大概最後は英雄の死で終る」

酒呑「それがどうした」

タケル「ただのなんて事はねぇ昔話にだって英雄はいるって事だ、
    まぁ俺は死なねぇけどなぁ!」

酒呑「クッ、クッハハハハハ!おもしれぇ、なら見せてみろよ、立派な英雄伝とやらをよぉ!
   刃は牙、開け四門!喰らい付け、四俣顎(しまたのあぎと)!」

タケル「あぁ、見せてやるよ、異説、都牟刈之大刀(つむがりのたち)!うぉらぁ!」

酒呑「よく凌いだ!だが、こいつでしまいだぁ!」

タケル「こんなんで、終るかよ!」

酒呑「っ、うぉ!?っと、あれを受けた後に返せるだと・・・、いや、そいつのお陰かよ」

タケル「あぁそうだ、天叢雲剣は数多の名を持つ剣だ、冠する名を変える事で形態を変える、
    それが俺の持つ剣の力だ」

酒呑「その都牟刈之大刀(つむがりのたち)はさしずめパワータイプの大剣と言った所か」

タケル「そういうこった、小細工は俺の方が上手いんだ、無理せず突っ込んで来いよ」

酒呑「舐めやがって、あぁやってやんよ、テメェのお望みどおり力技でよぉ!」

タケルM「4つの斬撃全てに直接攻撃と同じ威力を込める、あんなもん連発されたら溜まったもんじゃねぇ」

酒呑M「四俣顎からの追撃をやり過ごすた半端な奴じゃ出来やしねぇ」

タケル・酒呑M「あいつ、やる」

タケル「行くぞ、燃えよツムガリ、轟焔斬(ごうえんざん)!」

酒呑「ハッ、やってやらぁ、喰らえ遠呂知(おろち)、終ノ顎(ついのあぎと)!」

タケル「はぁぁぁあああああああ!」

酒呑「うぉぉぉおおおおおおおお!」

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辰則「はぁ・・・はぁ・・・、なんでだ、なんであの時の力が使えねぇ!」

セレス「さぁね、でも貴方、それで本当に世界を変えるつもり?
    まだ盗掘者の方がよっぽど強いし怖いわよ」

辰則「くっ、こんなはずじゃねぇってのに、何でだ、俺は力を手に入れたんじゃねぇのかよ!」

セレス「そんな一朝一夕で強くなれたら誰だって・・・」

辰則「うるせぇ!俺は、強くなったんだ!酒呑童子!」

酒呑「っと、んだよ辰則、こっちはこっちで楽しんでんだが?」

辰則「さっきのあの力!全然使えねぇんだけどどういう事だよ!」

酒呑「あぁ、悪い悪い、こっちで力使ってたせいだわ」

辰則「クソ!いざって時に使えないとかふざけんなよ!」

タケル「くっ、無事かセレス!」

セレス「もちろん、見ての通りよ、タケルも無事そうで良かった」

タケル「こっちは何とかって感じだけどな、あいつ、つえぇぞ」

セレス「ヌアザとどっちが?」

タケル「比較対象がおかしいっつうの、強さの系統が違いすぎて比較できん」

セレス「じゃあ相当強いのね」

タケル「そういうこったな」

セレス「それで、力って何?」

タケル「あ、そういやちゃんと説明してなかったな」

セレス「かなり重要な事よね!それ!」

タケル「悪かった、こればっかりは本気で悪かっ・・・・っ!?」

酒呑「よぉ英雄、年貢の納め時だぜ」

辰則「セレス・・・、今度はきちんと殺してやるからよぉ、もう、バカになんてさせねぇぞ・・・!」

セレス「何、あの異様な空気・・・」

辰則「その身は災害、開け八門!喰らい尽くせ、八俣顎(やまたのあぎと)!」

タケル「マジ、かよ・・・・!」

セレス「ヤマタノオロチ、よね、あれ・・・・!」

辰則「これが俺の手に入れた力だ、これさえあれば、世界を変えられるだろうがぁ!」

セレス「まずいわよね、これ!」

タケル「俺の後ろにいろ、なんとかする」

セレス「え、えぇ!」

タケル「真説、天叢雲剣!」

酒呑「おらやっちまえ辰則!テメェの力を見せ付けてやれ!」

辰則「言われなくても、さぁ、行け遠呂知、全てを、滅ぼせぇぇえええええええ!」

セレス「っ、来るわよ!」

タケル「あぁ!猛る大和の奔流よ、全てを纏いて悪しきを討て!天地無双斬!」

辰則「うあぁぁあああああああああ!」

タケル「うぉぉおおおおおおおおお!」

セレス「っ!?凄い、衝撃波・・・・!」

酒呑「はぁ・・・はぁ・・・、ちっ、相殺か・・・」

タケル「ぐっ・・・、なんとか凌いだかよ・・・」

辰則「クソ、もう一回・・・!」

酒呑「無理だ、そう連発して撃てる技じゃねぇっつうの」

セレス「タケル、貴方は?」

タケル「ちょいと、戦闘続行はきちぃな・・・」

セレス「そうなると、残されたのは契約者の力だけ、って事ね、
    さぁ、どうする、辰則君?」

辰則「くっ、やるに決まって・・・!」

酒呑「止めとけ、無駄だ」

辰則「何でだよ!俺が手に入れた力なら・・・!」

酒呑「死にたいってんなら、止めねぇぞ?」

辰則「ぐっ・・・、セレス、覚えてろよ、俺は、俺は必ずこの世界を、変えてやるんだからな!」

セレス「っ、待ちなさい!」

酒呑「おい英雄、テメェも次ん時までちゃんとその剣、持ってんだぞ、それは俺んだからなぁ!」

タケル「・・・行ったか」

セレス「酒呑童子、ね・・・」

タケル「知ってんのか、にしても、なんであいつは天叢雲を狙ってんだ?」

セレス「酒呑童子はね、ヤマタノオロチの子供って説があるのよ、天叢雲もヤマタノオロチから出た剣でしょ」

タケル「なるほどな、それで技もあれだったのか・・・」

セレス「そうだ、技」

タケル「・・・・あ?」

セレス「私、何も聞いてないわよ」

タケル「だからごめんって、関東支部に着いたら纏めて説明する」

セレス「そうね、楽しみにしておくわ」

タケル「うわぁー、棘があるー」

セレス「そんな事ないわよー」

タケル「ちくしょー、俺としたことが・・・」

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辰則「クソ、クソ!なんでだ、なんで・・・!」

酒呑「おい、震えてんぞ」

辰則「っ、震えてなんか!」

酒呑「震えてんよ、怖かったかよ、殺し合い」

辰則「くっ・・・」

酒呑「おぉ、まずはテメェ自分の手で人殺せよ」

辰則「っ・・・・!」

酒呑「それも、今までテメェが恐れてたような奴らを、な」

辰則「俺が、恐れてたような奴ら・・・」

酒呑「何があるよ」

辰則「不良、警察、ヤクザ・・・」

酒呑「おぉよ、今までどうする事も出来なかった奴らを組み伏せられるようになってんだ、
   まずは実感しろよ、そうすりゃ一皮剥けんぞ」

辰則「・・・やってやる、まずは、世界の前に、自分を変えてやる・・・」




to be continued...




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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w


こちらの台本はコンピレーション企画「Arc Jihad(アークジハード)」にて
書かせて頂いたものです。
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