Arc Jihad(アークジハード)プロローグ プロローグ第二章 -適合者-

ヤマトタケルノミコト♂ 25歳 日本の英雄のパーソナリティをインストールされた男性。
普段はおちゃらけているが、やる時はやる男。
ジュナス・コーベット♂ 21歳 ミスティオンの構成員、セレスの秘書、本業である学者の助手でもある。
真面目で丁寧な性格、力仕事は自信無し。
デイヴ・エドキンズ♂ 23歳 ミスティオンの構成員、セレスの助手、学者としては同期。
若干落ち着きが無い、力仕事には自信あり。
セレス・カーライル♀ 23歳 ミスティオンの支部長、オカルトマニアな歴史学者。
ノリは軽いが頭の回転が凄く早い、一部からは天才と言われている。





タケル♂:
ジュナス♂:
デイヴ♂:
セレス♀:



セレス「ふぅー、なんとか無事到着できたみたいね」

タケル「なんとかつっても、ここまで戦闘なんて最初のあれしかなかったじゃねぇか」

セレス「充分何とかでしょ!あんな一回当たっただけで死んじゃう攻撃の嵐なんて!」

タケル「いやまぁ・・・、それもそうか」

セレス「でも、追撃が無かったのはありがたかったわね、説明の時間は貰えそう」

タケル「説明?」

セレス「そ、貴方から、そして皆への説明の時間よ」

タケル「皆、だと?」

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セレス「みんなー!ただいまー!」

ジュナス「おぉ、セレスさん!おかえりなさい!ってあれ、早くないですか?」

セレス「いやぁ、ちょっと色々あってね、それはそうと、デイヴはもう来てる?」

ジュナス「はい、あいつならちょっと前に」

セレス「ちょっと前って、シフトより大分遅いじゃないー」

ジュナス「あはは、いつもの事じゃないですか」

セレス「そうねー、私のいない日は大体毎日だものねー」

ジュナス「どうにかなりませんかねぇ・・・、っと、呼んで来ましょうか?」

セレス「あ、気が効くわね、ありがとー、それじゃ私の書斎にお願いできる?」

ジュナス「お任せを、ではまた後程」

セレス「うん、また後でねー、・・・・それじゃ、行きましょタケル」

タケル「なぁ、大丈夫なのか?」

セレス「大丈夫大丈夫」

タケル「おい、何がか分かってるか?」

セレス「分かってるわよぉ」

タケル「じゃあ言ってみろよ」

セレス「あの二人も私と同類だから」

タケル「あー、なんとなく納得した」

セレス「でしょー、あ、この部屋よ」

タケル「ここがセレスの書斎、か、ってうわ、すげぇ本の数・・・」

セレス「こんなのまだまだ一部よー」

タケル「これで、一部かよ・・・」

セレス「まぁこれでも本業、学者だしねぇ」

タケル「学者ね、道理で頭の回転速いはず・・・、え、何学者?」

セレス「歴史、考古学っと言った所かしら、神話とかも勉強してるわよ、こっちは趣味だけどね」

タケル「はぁー・・・、これは中々の当たりを引いたんじゃないか、俺」

セレス「恐らくね」

タケル「おや、断言じゃないのな?」

セレス「今はね、ほら、まだ情報足らないから」

タケル「足らないのに話飲み込んでったのはどこの誰だよ・・・・」

セレス「大体は真実だったから問題ないわ、さ、多分そろそろ来るだろうし、お話はそれから、ね?」

タケル「あー、じゃあ実体消しとくな、最初は」

セレス「え、どういう事?」

ジュナス「セレスさん、デイヴさん連れてきましたよー」

セレス「え、あ、どうぞー」

ジュナス「失礼します」

デイヴ「失礼しまーす」

セレス「いらっしゃーい、二人ともかけてかけて」

ジュナス「では」

デイヴ「っと、して早速なんだがセレス」

セレス「ん、なぁに?デイヴ」

デイヴ「帰ってくるの早くねぇか!?」

セレス「ふふー、自分でももう一泊くらいするかなぁって思ってた」

デイヴ「だよなぁ!この時間にいるってこた着いてその日の足で帰宅だろうが、儀式はどうした!?」

セレス「成功したわよ?」

デイヴ「マジか!?じゃあなんで何食わぬ顔でここにいんだよ!」

セレス「いやぁー、なんででしょう?」

デイヴ「俺が聞きてぇんだけど!?」

ジュナス「こほん、デイヴさん、ちょっと落ち着きましょう、お客さんもいるみたいですし」

デイヴ「は?客?」

セレス「え、ちょっと整理させて、ジュナスはあれが見えてるの?」

ジュナス「・・・・あれ?え、別室に待機してるんじゃ・・・」

デイヴ「おい、ジュナス、お前聞いてたなら先に教えてくれたって・・・」

ジュナス「いや、僕も聞いてた訳ではなく、いるような気が・・・・」

セレス「・・・タケルさーん、そろそろ説明お願いしまーす」

タケル「はいよっと」

デイヴ「うわぁ!?」

ジュナス「いきなり人が!?」

セレス「あ、やっぱり二人からは見えてなかったのね」

デイヴ「や、やっぱりってなんだよぉ!」

セレス「うん、とりあえず二人とも落ち着こう」

ジュナス「・・・・あれ、これもしかして」

デイヴ「もしかして・・・、なんだよ」

ジュナス「超常現象じゃ・・・・!」

デイヴ「お、おぉー!確かに!」

セレス「ね?同類」

タケル「あんたより落ち着きなさそうだけどな」

セレス「それは同意するわ」

ジュナス「セレスさん!その方、紹介してください!」

セレス「えぇ、貴方たちがちゃんと落ち着いたらね」

デイヴ「お、俺達は落ち着いてるぞ!」

セレス「デイヴ、Sit down(座れ)」

デイヴ「・・・・Yes ma'am(イエスマム)」

セレス「ジュナス?」

ジュナス「す、すみませんでした・・・」

セレス「はい、という訳でタケル、よろしく」

タケル「え、なんて無茶振りだ」

セレス「ふふっ、ごめんね、じゃあとりあえず紹介するわね、彼はヤマトタケルノミコトよ」

タケル「タケルって呼んでくれ」

デイヴ「え、も、もっかい教えてもらってもいいか?」

セレス「いいわよ?彼は、ヤマトタケルノミコトよ」

ジュナス「・・・ほ、本物ですか?」

タケル「正確には、ヤマトタケルのパーソナリティをインストールした一般人、だな」

デイヴ「パーソナリティをインストール・・・・、どういう事だ?」

ジュナス「性格、気質、価値観などを含む、いわゆるヤマトタケルの情報を・・・、インストール?」

タケル「あぁ、もっと簡単に言うと、ヤマトタケルと同一の記憶を持ち合わせた別人だ」

デイヴ「つまり偽者って事か?」

タケル「まぁ、身も蓋も無い言い方をするとそうなるな、俺はヤマトタケルであってヤマトタケルじゃ無いからな」

セレス「待って、思ったんだけど、そんなに激しい自己否定をしちゃっても大丈夫なの?」

タケル「問題ないぜ、俺はヤマトタケルであると同時に、俺だから」

デイヴ「なるほど、それでインストールなんだな、書き換えじゃなくて据え付けって訳だ」

タケル「そういう事だ」

ジュナス「なるほど・・・、それで、あの、いきなり現れたのは、あれは・・・?」

セレス「そうよ、あれ私も聞いてない」

タケル「実体を消すって言ったろ?」

セレス「あのね、いくらなんでも情報が少なすぎるのよ、論立てのしようが無いじゃない」

タケル「それもそうか、それを説明するには順を追って説明させてもらうな、
    まず、俺はこの世界の人間じゃない、いわゆる異世界人って奴だ」

デイヴ「異世界人だって!?」

ジュナス「す、凄い!」

セレス「でしょー!」

タケル「あの、頼むからお前まで乗らないでくれ」

セレス「あ、ごめんなさい」

タケル「それでだ、こっちの世界に来る時、何故か元々の体のまま来れないんだ、それで、この剣、
    天叢雲剣を鍵とし、力と精神のみをこちらの世界に送り込んでいる、ここまでOK?」

デイヴ「つまり、本体はあっち、お前さんのいた世界にあるって事だよな?」

タケル「それに関しては恐らくとしか言えん、あの後の自分の体なんて見て無いからな」

ジュナス「それ、不安じゃないんですか?」

タケル「そもそも、こっちで生き残らん事にはどうにもならんからこれからだ」

ジュナス「こっちで生き残る・・・?」

セレス「ふふっ、次々と疑問が出てくるわね、頑張ってー」

タケル「テメェ・・・、人事だと思って・・・、まぁ、それも追って話す、それでだ、
    俺たちあっちの人間がこの世界で実体を持つには、この世界の人間の協力が必要なんだ」

セレス「それが契約<コントラクト>、ね」

タケル「その通り、この世界の人間と契約する事により、俺達はこの世界と繋がりを持ち、
    実体化する事が出来るようになる、って言っても出来る事に限りはあるんだけどな」

ジュナス「実体化することが出来るようになる、つまり、実体をなくす事も出来るんですね?」

デイヴ「あぁ!それでさっき急に現れたのか!」

タケル「ご名答、いやぁ揃いも揃って飲み込みが早くて助かるぜ」

セレス「確かに存在は薄くなったように感じたけど、私には見えたわよ、貴方の事、それはどういう事?」

タケル「それは契約者だからだよ、実体を消して完全に存在を隠せるのは素質の無い相手にだけだ」

セレス「素質、つまり契約する事の出来る素質、という事ね?」

タケル「あぁ、誰もが契約する事が出来る訳じゃない、そして、素質がない人間は、
    契約前の俺たちを認識する事すら出来ないんだ」

デイヴ「なぁなぁ!俺はどうなんだ!その素質って奴!」

セレス「多分貴方にはないわよ、デイヴ」

デイヴ「なんだってぇ!?」

タケル「そうだな、多分お前には無い」

デイヴ「な、なんでそんな事分かるんだよ!」

ジュナス「さっき、実体を消していた状態のタケルさんの気配を感付けなかったから、ですね?」

セレス「正解よ、その理論で行くとジュナスには素質がありそうよね」

ジュナス「ですよね!やったぁ!」

タケル「今の所恐らくだけどな、ちゃんと調べようと思ったら契約してない担い手、
    あ、俺たち異世界から来た人間の事な、それを見てもらわないことにはな」

ジュナス「いやぁ、楽しみですね、他の異世界人に早く会ってみたいですよ!」

タケル「あ、そうそう、いい事ばっかりじゃないぞ」

ジュナス「え?」

タケル「俺達がこっちの世界に来た理由をまだ話してないだろう」

ジュナス「確かに・・・」

タケル「気になるだろ?」

ジュナス「え、えぇ」

タケル「よし、まず、こちらに来ている異世界人は、大きく二つに分かれている、
    聖剣と魔剣にな、ちなみに俺は聖剣側だ」

デイヴ「待てよ、二つに分かれてるって、俺たちの世界でやり合おうって事じゃねぇだろうな」

タケル「惜しい、遠からず近からずだ」

デイヴ「ならどういう事なんだよ」

タケル「魔剣の奴らは、この世界を侵略しに来たんだ」

デイヴ「侵略だって!?もっとひでぇじゃねぇか!」

セレス「デイヴ、話は最後まで聞きましょう」

デイヴ「ぐ、セレスがそう言うなら・・・」

タケル「話していいか?」

セレス「どうぞ」

タケル「俺たち聖剣は、魔剣の世界侵略を止めに来ている、
    身勝手な話なのは分かっているが、協力して欲しい」

ジュナス「つまり、契約したら、否が応でも戦う事になる・・・?」

タケル「あぁ、そういう事だ」

セレス「ちなみに、私はやる気満々よ」

デイヴ「待てよ、それ、死ぬかもしれねぇんだろ」

セレス「えぇ、そうね、でももう契約済ましちゃったもの」

デイヴ「てめぇ、よくもセレスを巻き込んで・・・!」

セレス「私から巻き込まれに行ったの、タケルは悪くないわ」

デイヴ「ぐ・・・」

ジュナス「セレスさん、怖くないんですか?」

セレス「今の所はね、だって、あんなにも捜し求めた超常現象が目の前で繰り広げられるのよ!
    これに高揚せずして何に高揚したらいいというのよ!」

ジュナス「はぁ・・・、そうでした、セレスさんはそういうお方でしたね」

セレス「分かればよろしい、デイヴも、心配してくれてありがとうね」

デイヴ「けど、そんなん気休めにしかならないじゃねぇか、俺には素質が無いんだろ?
    何の手助けも出来ないんだぞ、何が源かも分からねぇ素質なんてもんのせいで!」

セレス「何言ってるの、二人には馬車馬のように働いてもらうわよ?」

デイヴ「どうやってだよ、素質の可能性のあるジュナスならまだしも、俺はどうしたら」

タケル「契約者でもない人間が武装した所で足しにすらなんないぞ、どうするつもりだ?」

セレス「この支部含めミスティオンに、出来る限り多くの人数に知らせて欲しいの、この事をね」

ジュナス「そんな事したら、大混乱になりますよ!?」

セレス「それでも構わない、このミスティオンに属している人間は大半オカルトマニアよ、
    全否定する人間はそうそういないはず」

デイヴ「確かに、目の前で見たからって言うのもあるが、俺達も疑わなかったしな」

セレス「でしょ、あ、そうだ、言い忘れてた、グレアムさんは魔剣に取り込まれてるわ」

ジュナス「えぇ!?」

デイヴ「それ言い忘れるような事かよ!?」

セレス「情報が揃わないと意味が分からないでしょう、だからここでいいの」

タケル「また上手い言い訳だこと」

セレス「うっさい、間違って無いからいいでしょ」

タケル「ぷっ、それもそうだ」

セレス「こほん、そういう訳だから、知り合いを敵にしたくなかったら、
    手分けして、本部の人間より素早く皆に伝達しなさい」

ジュナス「そうですね、そういう事なら支部全体で別々の場所に掛け合わせましょう」

デイヴ「その仮定で素質を持った者と異世界人の探索だな」

セレス「その言い方長いわね、何か言葉を定義しましょう、その方が管理しやすいわ」

タケル「俺たちの世界では、素質を持った人間を【適合者】、俺たち剣を持った者を【担い手】と呼んでいたが」

セレス「じゃあそれで、契約済みの人はさしずめ【契約者】と言った所かしら」

デイヴ「分かった、それで進める」

ジュナス「同じミスティオン内で二つに分かれる事になりますね・・・」

デイヴ「敵味方の識別方法が難しいな、契約者なら一緒にいる担い手でそれとなく予想も付きそうだが」

セレス「そうねぇ・・・、それの呼称は一旦仮で、グレアム派とセレス派で分けましょう」

ジュナス「聖剣派か魔剣派か、もっと分かり易くしたい所ですが・・・」

セレス「明確な名前を付けるのはひとまず止めましょう、もう少し同士が集まってからの方がいいわ」

ジュナス「分かりました、それでは一度人を集めて話をしてきます!」

セレス「お願いするわ」

ジュナス「はい!では行って来ます!」

セレス「行ってらっしゃい」

デイヴ「よし、俺は別支部に一度連絡をしてくる」

セレス「えぇ、っと、その前に」

デイヴ「ん、何だ?」

セレス「私は二人に任せて、このまま日本に発とうと思ってるの」

デイヴ「日本?なんでまた」

セレス「タケルのホームだし、何かしら収穫できないかと思ってね」

デイヴ「なるほど、分かった、それで?」

セレス「察しがいいわね、やる事が全部終わったら、全員ここを離れなさい」

デイヴ「・・・分かった、本部の息がかかった奴が来たら手間だしな」

セレス「そういう事、よろしくね」

デイヴ「あぁ、任せとけ!・・・セレスも、気を付けて行ってこいよ」

セレス「えぇ、大丈夫よ、心強いボディガードもいる事だし」

タケル「おいおい、俺も腕には自信あるが、相手も担い手だぞ、過信しすぎるなよ?」

セレス「分かってるわよ、それに、まだ実力は見せてもらって無いもの」

タケル「まぁた一言多い・・・」

セレス「ふふっ、どうも」

タケル「褒めてねぇよ!」

デイヴ「あっははは!確かに、心強いボディーガードだ!」

タケル「今のやり取りをどう見たらそうなる!」

デイヴ「さぁな、んな事よりもタケル、セレスをしっかり守ってくれよ」

タケル「当たり前だ、言われなくても最後まで守り抜くつもりだよ」

デイヴ「よっしゃ!それが聞けりゃ充分だ、んじゃ行って来るぜ!」

セレス「行ってらっしゃい、さて」

タケル「おぅ、行くか、宛ては?」

セレス「日本支部、あそこは先こされたくないし、急ぎましょう!」

タケル「おぅよ!」





to be continued...




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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w


こちらの台本はコンピレーション企画「Arc Jihad(アークジハード)」にて
書かせて頂いたものです。
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