Arc Jihad(アークジハード) -友との出会いと目指す道-

水騎剣♂ (みずき けん) 21歳 大学生、真面目かつお人よし、剣術を学んでいる
山里誠也♂ (やまざと せいや) 19歳 大学生、今は担い手に付いて旅をしている。
幼い頃から剣道をやっている、気は強くないが芯のしっかり通った少年。
千子♂ (せんじ) 年齢不詳 名刀に宿る魂のパーソナリティをインストールされた男性。
掴み所のない性格でとてもマイペース、強き者を求めて旅をする。
アーサー♀ 21歳 アーサーのパーソナリティをインストールされた女性。
真面目で丁寧、曲がった事が嫌い。



剣♂:
誠也♂:
千子♂:
アーサー♀:




剣「よし、準備出来た、そっちはどう?アーサー」

アーサー「すみません、お待たせしました剣」

剣「あはは、俺も今準備出来た所だって、待ってないよ」

アーサー「あ、そ、そうですね、では行きましょうか?」

剣「あぁ、今日は何事もないといいな」

アーサー「ふふっ、そうですね、不謹慎ですが私もそう思います」

剣「それじゃまずは約束通りあそこに行こう」

アーサー「あそこですね!さぁ剣早く案内してください!」

剣「うわっと!焦らなくても逃げてかないしアーサーが先に進んだら案内出来ないってー!」

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アーサー「ここが超巨大ショッピングモールですね!
     凄い・・・、キャメロット城に負けず劣らずの大きさですね!それに人がこんなに!」

剣「あっはは、喜んでもらえてよかった」

アーサー「あ、すみません、はしゃいでしまって」

剣「いいんだよ、今日は思い切り楽しんじゃって、
  その方が俺も嬉しいし」

アーサー「剣・・・、ありがとうございます!」

剣「うん、それじゃあ早速回ろう、まずはどこ見に行こうか?」

アーサー「部屋に飾る物があったりする所がいいです!」

剣「それじゃあ雑貨屋みたいな所がいいかな・・・、
  だとあっちだ、行こう」

アーサー「はい!」

剣「あ、そうだ、っとその前に、ねぇアーサー」

アーサー「はい、なんでしょう?」

剣「これって聞いていいのか凄い迷ってたんだけど・・・」

アーサー「は、はい」

剣「本当の名前って、聞いても大丈夫なの?」

アーサー「あ、その事でしたか」

剣「いや、ダメならダメでいいんだよ」

アーサー「そ、そうではないんです、
     その、私も話していいのか迷っていたので」

剣「そうだったの?」

アーサー「私はあなたの剣(つるぎ)です、名を明かしてしまっては1人の女になってしまう、
     そうなってしまったら、戦いにくくなってしまうのではないかと、心配だったんです」

剣「そういう事だったのか、うん、それなら大丈夫だよ」

アーサー「本当、ですか?」

剣「ちゃんと切り替えるよ、戦いの中ではアーサーって呼ぶようにする」

アーサー「・・・ありがとうございます、剣。私は、私の本当の名前はソフィです、
     改めまして、よろしくお願いします、剣」

剣「ソフィ、か、いい名前だね、よろしく、ソフィ」

アーサー「・・・はい、よろしくお願いします、なんだか、その、気恥ずかしいですね」

剣「あっはは、そうだね、よし、それじゃ行こうか、ソフィ」

アーサー「はい、剣!」

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千子「のぅ誠也・・・」

誠也「何千子?」

千子「ここは今、祭でもやっとるんかの?」

誠也「ううん、今日は特に何もやってなかったはずだよ」

千子「なんと!?だというのにこんなに人がおるのか!?」

誠也「色んなお店が集まってるからね、
   それに実家よりも都会だからって言うのもあるかも」

千子「ふむ、市の様なものか、それなら納得よな、
   しかしそうか、あそこも充分栄えていると思っておったがまだ上があったとは」

誠也「あはは、千子の知ってる日本よりも栄え具合は分かりにくいかもね」

千子「いかにも金を持っとるのぉという奴もおれば、それで金を持っとらんのか!
   っという奴もおったからなぁ」

誠也「そうだね、それで、千子から見てここはどうだい?」

千子「ぬ、ざっくりとした質問だな、まぁ戦いとは無縁っと言った所か」

誠也「やっぱりそこなんだね」

千子「拙者にそれ以外の何を見ろと言うのだ」

誠也「それもそうか、何となく分かってたけど」

千子「ふっ、これは一本取られたか!」

誠也「なんの勝負!?」

千子「あっはっは!いやぁ誠也も強かになったと思ってな」

誠也「もう、僕たちが会って何年経ったと思ってるのさ」

千子「二年やそこら短い短い、っと言いたい所だが年頃の二年は大きい物よな」

誠也「ふふっ、そうかもしれないね、こんな経験させてもらってる同い年はそうそういないだろうし」

千子「そう褒めるな」

誠也「褒めてはないよ!」

千子「ん、待て」

誠也「もしかして聖剣?」

千子「まだこちらには気付いていないがな」

誠也「ここで戦いたくないなぁ・・・」

千子「拙者とてそこまで見境なしではない、が少し奇妙な気配がしてな」

誠也「奇妙?」

千子「少々無防備すぎるのよ、平時とは言えいただけない程にな」

誠也「し、仕掛けるなんて言わないよね?」

千子「ちょいと諌めに行くとするかね!」

誠也「ちょっと何言って、あ、千子!待ってよー!」

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アーサー「このショッピングモールというのは飽きが来ませんね剣」

剣「そうだね、俺もここまでしっかり回ったのは初めてだけど、
  これだけ見るものがあるとはなぁ」

アーサー「それは勿体無いですよ、こんなに楽しい場所を満喫したことがないなんて!」

剣「1人で来ると最低限の用事だけ済まして帰っちゃう事の方が多いからね」

アーサー「私はここなら1人で来ても楽しめますよ」

剣「羨ましいなぁ、ソフィは向こうでも買い物とか好きだったの?」

アーサー「あ・・・、あっちではあまり買い物は出来ないんです」

剣「出来ない?」

アーサー「はい、初めて会った時に魔剣はこちらの世界を侵略しに来ている、
     とお話しましたよね」

剣「あぁ」

アーサー「私たちの世界はとても困窮しているんです、
     それこそ日々の生活も一杯一杯な程に」

剣「だから魔剣はこっちの世界を?」

アーサー「はい、私はそうじゃないかと思ってます」

剣「そっか・・・、魔剣にも正義があったんだな・・・」

アーサー「だとしても許される事ではありません、
     違う世界の人の生活を侵すだなんて」

剣「そうかな?」

アーサー「え?」

剣「生き物は他の命を犠牲にして生きている、
  自国民の生活を守るために他の国を滅ぼす」

アーサー「っ!」

剣「俺は一緒だと思うけどね」

アーサー「それは・・・」

誠也「その話、僕も混ぜてもらっていいかな?」

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剣「ここなら落ち着いて話せそうだな」

誠也「快く受け入れてくれてありがとう」

剣「あぁ、気にしないでくれよ、俺も少し興味あったし」

誠也「それなら良かった、っと自己紹介がまだだったよね、
   僕は誠也だ、よろしく」

剣「剣だ、よろしく」

アーサー「アーサーです、よろしくお願いします」

千子「拙者は千子だ、いない者として話を進めてもらって構わんぞ」

誠也「でも本当に良かった、魔剣だって言うと次の瞬間には斬りかかってくる人ばっかりだったから」

剣「俺は魔剣と戦いにならなかった事がないから今でも不安だけどな」

誠也「うん、それなら今の所安心してもらって大丈夫だと思う、
   千子が戦いたいと思わない限りは戦う気はないから」

アーサー「つまり担い手が急に戦いたいと言い出したら・・・?」

誠也「んー・・・、その時はその時かな、でも急に襲い掛かることだけは絶対しない、
   それだけは剣に誓うよ」

剣「俺に?」

誠也「あ、そ、そうじゃなくて、斬る方のだね」

剣「あぁ!ごめん、俺もたまに同じ事言うのに勘違いしちゃって」

千子「ほう、っという事はお主も武士かよ?」

剣「ん、武士って名乗るのはちょっと気が引けるかな、
  でも剣の道は志しているからね」

千子「よかったな誠也よ、仲間に出会えたではないか」

誠也「・・・あの、人違いだったらごめんね、水騎剣さん?」

剣「え・・・!?」

アーサー「なんでフルネームを!?」

誠也「やっぱり・・・!剣道で伝説になってるんだよ!」

剣「で、伝説・・・!?」

誠也「練習試合とかにしか出ないけど負け知らず、ノータイトルのまま高校を卒業していった無冠の帝王って!」

剣「あー・・・、そんな事になってたのか・・・」

アーサー「剣のことで間違いないんですか?」

剣「あぁ、部活に入ってなかったから県大会とかは出られなかったんだけど、
  友達や父さんに暇さえあれば試合に出させられて・・・」

千子「あっははは!少年同士の試合とはいえ不敗とは中々のものよな!」

誠也「僕だって同世代には負けたことないよ、まぁ胸張って言えることではないんだけど」

剣「それじゃお互い公式大会出てたら優勝を争ってたかもしれないのか」

誠也「んー、結局僕も最後の大会は出られなかったからそれはなかったかな」

剣「そうなのか?」

誠也「その頃は千子と旅をしてたからね、人よりお先に引退させてもらってたんだ」

アーサー「失礼ですが今何歳なんでしょうか?」

誠也「19歳だよ、だから当時は17歳だね」

アーサー「っ、2年もこの戦いに身を置いているのですか!?」

誠也「そうだよ」

アーサー「・・・私が来てからまだ1年経っていないので失念していました、
     もう戦いが始まってからそんなに経っているのですね」

誠也「お陰で僕は得難い経験を沢山させてもらってるけどね」

アーサー「辛くは、ないのですか?」

誠也「まぁ千子が自由人だから大変だなぁって思うことはあるけど」

千子「あっはっは!誠也も言うようになったなぁ」

誠也「千子のおかげだよ、この2年が無かったら初めて会う人と普通に話すなんて考えられなかったし」

アーサー「魔剣士から、良い影響を・・・?」

千子「ふむ、拙者が言うのもなんだが、お主何か思い違いをしているようだな」

アーサー「思い違い?」

千子「聖剣は正しく魔剣は間違っている、っというものよ」

アーサー「・・・いえ、そうとまでは思っていません、
     ただこの戦いに置ける魔剣の行いを悪だと思っているだけです」

千子「おぉそれよそれ、その断じるというのがいかんと言っている」

アーサー「何が言いたいのですか?」

千子「確かにこちら側の世界から見れば魔剣は悪だろうよ、
   だが拙者達の世界から見てこの侵略という行為はどう見えるかね」

アーサー「っ・・・!」

千子「拙者はお主の中にいる英雄の事はよく知らんが、
   王であるならば分かるのではないか?」

アーサー「えぇ、そうですね、確かにそうだ、魔剣の行いはかつて私の国がした事と同じです」

千子「何を落ち込んでおる、競い合い以外の戦いなんぞそういう物であろうて」

アーサー「っ、ではあなたは何が言いたいんですか!?」

剣「きっとその人は色眼鏡を外したらどうかなって言ってるんだと思うよ」

アーサー「色、眼鏡・・・」

剣「そういう事だよな、千子さん」

千子「あっはっは、綺麗に纏められてしまったなぁ!まぁそういう事だ」

アーサー「・・・では、この戦いは間違っているんですか?」

剣「正しい戦いなんてないんじゃないかな」

アーサー「っ!」

剣「だから自分の信じているモノの為に戦うんだと俺は思ってる」

アーサー「自分の信じているモノの為に・・・」

誠也「そう、僕は千子を信じてる、だから千子と一緒なら戦える」

アーサー「たとえそれが、あ、えっと、例えですよ」

誠也「うん、そっちの例えだね」

アーサー「はい、その、間違っていたとしても、ですか?」

誠也「間違ってたら止めるだけだよ」

アーサー「間違ってたら止める・・・」

誠也「まぁそんな事はないって意味でも信じてるんだけどね?」

千子「あっはっは!何も持っとらん拙者を信用してもらって有り難い限りよ」

アーサー「・・・・・・」

剣「大丈夫だよアーサー」

アーサー「剣・・・?」

剣「俺だってアーサーを信頼してるから一緒にいるんだ」

アーサー「・・・ありがとうございます」

剣「うん、それで誠也、大分本題から逸れてしまった気がするんだけど、大丈夫か?」

誠也「あ、そうだった、ごめんね、って言ってもさっき千子に殆ど話されちゃったんだけど」

千子「おや、さっきのアレがそうだったか、それはすまん事をした」

誠也「ううん、いいんだ、剣君は少ない言葉で多くを語る人みたいだし」

アーサー「そうですね、剣はいつも私に必要な言葉をかけてくれています、
     まるで私がその時欲しているものが何でも分かっているかのようなんですよ」

剣「や、やめてくれ、流石にそれは恥ずかしい・・・」

アーサー「あ、す、すみません!」

誠也「あはは!剣君もそういう所あるんだね、ちょっと安心した」

剣「ど、どういう事だよ?」

誠也「いや、あまり年相応に感じなくてね」

剣「それはお互い様だよ」

誠也「そうかな?」

千子「まだまだ未熟だが、同年代の幼子と比べれば確かに大人びてるかもしれんなぁ」

誠也「幼子って、これでももうすぐ成人なんだよ?」

千子「拙者からすれば赤子も同然よ」

誠也「それ剣の腕の話でしょ?」

千子「上手い、これは一本取られたなぁ!あっはっは!」

誠也「はぁ・・・」

アーサー「お二人は仲がいいんですね」

誠也「ん、まぁね、剣君とアーサーさんには負けるけど」

アーサー「っ、あ、ありがとうございます」

剣「あー、思ってた通りこういうのは苦手だなぁ、この先慣れるのか・・・?」

アーサー「弱点は1つづつ克服していきましょう、剣」

剣「そうだな、っとなぁ誠也?」

誠也「何?」

剣「本題はほぼ終わったみたいだけど、この後はどうするんだ?」

誠也「そうだなぁ、個人的には剣君とは敵対したくないんだけど・・・」

千子「誠也がそう望むのなら構わん、拙者には聖剣と無理に相対する理由なんぞ無いからな」

誠也「よかった、そういう訳だから、連絡先交換しない?」

剣「あぁ、よろこんで」

アーサー「魔剣の手の物だとしても、こうして戦わずに済む、
     こんな行く末があると分かって本当によかった」

千子「お主は出会いに恵まれておらなんだか」

アーサー「貴方は、今までにも経験しているのですか?」

千子「大概剣を交えとるがな!」

アーサー「剣を交えたうえで、友好的になれる・・・」

千子「そうよ、お主も騎士なら分かるだろう、剣は口ほどに語る、よ」

アーサー「・・・そう、ですね」

千子「語る気さえあればだがな」

アーサー「ありがとうございます、その言葉は心強い」

千子「何を言っておる、剣士なら当然の事よ」

アーサー「ふふっ、そうですね」

誠也「よし、それじゃそろそろいい時間だし・・・」

剣「今日は解散かな」

誠也「一試合しよう!」

剣「そう来たか・・・」

アーサー「え、先ほど敵対したくないと・・・」

剣「よし、やろうか」

アーサー「えぇ!?」

剣「俺の実家に行けば竹刀も防具も貸せるぞ」

誠也「流石剣君、話が早くて助かるよ」

アーサー「あ、一試合ってそういう事なんですね」

千子「うむ、これぞ青春よな」

アーサー「わ、私には分かりません・・・」

千子「お主にはそれでよい、闘争の為の闘争を好むのは流浪人だけで十分よ」

アーサー「そういう物なんでしょうか?」

千子「それが分からぬのであれば人の上には立たん方がいいと、
   拙者は思うがね」

アーサー「っ・・・」

千子「さっ、誠也らに置いてかれるぞ、黄昏るのは男の腕の中だけにしておけい」

アーサー「え、あ、ま、待ってください!」

誠也「やっと無冠の帝王と試合が出来るぞー!」

剣「負けないからな?」

誠也「望む所だよ、僕だって負けないんだから!」





to be continued...






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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w


こちらの台本はコンピレーション企画「Arc Jihad(アークジハード)」にて
書かせて頂いたものです。
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