Arc Jihad(アークジハード) -愛の終わりと滅びの始まり-

ジュナス・コーベット♂ 22歳 ミスティオンの構成員、セレスの秘書、本業である学者の助手でもある。
真面目で丁寧な性格、力仕事は自信無し。
ヘクター・マクニール♂ 27歳 チンピラ、粗暴で配慮が浅い、恐喝や強盗で日銭を稼いでいる。
体は割と鍛えている方。
トリスタン♂ 36歳 円卓の騎士のパーソナリティをインストールされた男性。
ノリが軽く、気さくで親しみやすい兄貴分。
エマ・アッシュベリー♀ 22歳 ミスティオン、アメリカ支部の構成員、経理担当、ジェイクの義理の娘。
明るく元気な子、仕事に関しては真面目。
モルゴース♀ 36歳 魔女のパーソナリティをインストールされた女性。
計算高くそれでいて残忍、人を利用する事をなんとも思わない。





ジュナス♂:
ヘクター♂:
トリス♂:
エマ♀:
モル♀:



技の説明

for Isolde(イゾルデのために) 読み:フォーイゾルデ
イゾルデを守るという制約の元、自身を大幅に強化する術。
その実体は対象である女性をイゾルデであると信じ込むという自己暗示を遵守する条件付けである。
マージ・ウェイク以上の出力を出す事を可能とするが、暗示が解けてしまった時の反動もそれ以上のものとなる。





エマ「うーん、空気が美味しいねぇ」

ジュナス「そうだね、都会でも大きい公園の中なら違うもんだなぁ」

エマ「当たり前でしょ?アメリカでもそうだったじゃない」

ジュナス「そうだっけ、あっちにいた時は研究所にずっと詰めてたから意識したことなかったなぁ」

エマ「だから今になって体力作りに困るんだよ、ちゃんと運動しないから」

ジュナス「う、反省してます・・・」

エマ「あははっ、ならよろしい、でも珍しいね、
   ジュナスから外に遊びに行こうーなんて」

ジュナス「え、だって最近ずっと関東支部で働き詰めだったでしょ?
     たまにはリラックスも必要かなぁって思って、その、ね」

エマ「気にかけてくれてたんだ、ありがとう」

ジュナス「へへっ、どういたしまして」

エマ「嬉しかったんだよ、私」

ジュナス「え?」

エマ「最近ジュナスも険しい顔ばっかりだったし、
   私も少しは力になれるかなって」

ジュナス「っ、あ、ありがと・・・」

エマ「あーあ、私も適合者みたいだし、パートナーがいたらもっと役に立てるのになぁ」

ジュナス「大丈夫だよ」

エマ「ん、何が大丈夫なの?」

ジュナス「エマは僕が守るから」

エマ「ふふっ」

ジュナス「え?」

エマ「トリスタンが、の間違いじゃなくて?」

ジュナス「っ、エーマー!」

エマ「あはは、ごめんごめん、冗談ー!」

ジュナス「もー、僕は本気だって言うのになぁ」

エマ「分かってる、分かってるよ、だからそんなに気張らないで」

ジュナス「っ、うん!」

ヘクター「おぉおぉ、見せ付けてくれるじゃねぇか」

ジュナス・エマ「っ!?」

ジュナス「下がってて、エマ」

ヘクター「棒切れみてぇなナリして張り切るじゃねぇか、
     身の丈にあわねぇカッコつけ方してっと、酷い目見るぜぇ?」

トリス「そうだぞジュナス、1人でカッコつけるのは無しだぜ」

エマ「トリスタン!」

ジュナス「ちょっと、僕の見せ場だったじゃんか!」

トリス「相手をよく見な、契約者だ」

ジュナス「えっ!?」

ヘクター「なんだ、ちゃんとお守がいるじゃねぇか、しかも著名な騎士様と来たもんだ、
     そんじゃあこっちもお披露目しねぇと、なぁモルゴース?」

トリス「っ、なんだって!?」

モル「何か用かしら、マスター?」

ヘクター「おぉ戦闘だ、得物をよこしなぁ」

モル「我が故郷よ、呼びかけに応え今ここに顕現したまえ、魔杖オークニー」

トリス「全てを射止めろ、そこに無駄など無し、フェイルノート!
    ジュナス!エマを連れて下がれ!」

ジュナス「う、うん!」

ヘクター「ハン、逃がすかよ!モルゴース!マージ・ウェイクだ!」

モル「承知しましたわ、マージ・・・」

ヘクター「ウェイク!」

エマ「っ、何、この力・・・!?」

トリス「流石は傾国の魔女か、だがそんなもんで怯んで、られるかよ!」

ヘクター「へっ、弱いな」

モル「バリア」

ジュナス「っ、あんな短い詠唱で!?」

トリス「こっちだって通常撃ちだっての、一点集中、ピアシングショット!」

ヘクター「単純な思考だな」

モル「ウォール」

トリス「ちぃ・・・!」

ヘクター「そんなんじゃ飽きちまうぜ、なぁ?」

モル「サモンソードソルジャー」

エマ「お化け!?」

ジュナス「兵士を召喚した・・・!?」

トリス「ちぃ!」

ヘクター「追え!」

トリス「っ、マジかよ、そら!」

モル「私の可愛い兵隊さんをよくもやってくれたわね」

ヘクター「だが弓兵の相手は楽だな、いいスペースだぜ」

モル「サモンチーム・ランスナイト」

エマ「同時に5人も・・・!」

トリス「これはきっついなぁ、ジュナス右!」

ジュナス「っ、うん!」

エマ「やった、一気に全部!」

ヘクター「あめぇんだよ!」

モル「ファイアボール」

トリス「まずっ・・・!うぉおお!?」

ジュナス「トリスタン!」

トリス「ぐっ、無事だよ・・・!」

ヘクター「おいモルゴース」

モル「遅いものでは対処されていたわ」

ヘクター「ちっ」

トリス「クソ、契約者はただのイカレだってのにあの女狐が厄介だな・・・!」

ジュナス「僕たちもマージ・ウェイクで・・・」

トリス「いや、お前さんはエマを守っててくれ、奥の手も視野に入れる」

ジュナス「っ、分かった」

エマ「ジュナス、奥の手って・・・」

ジュナス「後で説明するよ」

エマ「う、うん」

ヘクター「奥の手か、見せてくれよ、ブリテン随一のプレイボーイが秘める奥の手をよぅ!」

モル「サモンチーム・ソードナイト、サモンチーム・アーチャー」

ジュナス「いっ、あんな同時に・・・!?」

トリス「底なしかよ・・・!ジュナス!エマ連れてもうちょい下がれ!」

ジュナス「エマ」

エマ「う、うん!」

トリス「我らが王に仇なす奴と同じ力だから使いたかなかったが、
    四の五の言ってられん、走れ雷、ショックシュート!」

モル「バリア」

エマ「っ、凄い、あれだけの数を同時に・・・!」

ジュナス「でも本体には全然効いてない」

モル「この程度であの子と同じですって、馬鹿にしないでもらえるかしら・・・?」

トリス「属性がってこったよ!ピアシングボルト!」

モル「っ、サモンシールドナイト、ウォール」

トリス「国民を楯扱いかよ、大した、女王さまだなぁ!」

モル「女で身を滅ぼした放蕩騎士に、言われたくないわね!」

エマ「凄い、これが担い手の戦い・・・」

ジュナス「大丈夫、エマは絶対守るから・・・!」

ヘクター「さっきから見せ付けてくれるじゃねぇかよぉ!」

ジュナス「っ!?」

ヘクター「バースト!」

トリス「うぉっと!」

ヘクター「おいモルゴース、あれやんぞ」

モル「承知しましたわ、マージ・ウェイク解除」

トリス「ここで解除した・・・?」

モル「ポゼッション・キングロット」

トリス「っ!?」

ヘクター「うぉぉぉおおおおおおお!」

モル「サモン・レギオン」

トリス「嘘、だろ・・・!?」

ジュナス「軍隊を、召喚した・・・!?」

ヘクター「注目すべきはそこじゃねぇぞガキ共!
     俺様こそアーサーに牙剥きし王、キングロットだ、
     一介の雑魚騎士が勝てると思うなぁ!行くぞ野郎共!」

モル「・・・雑ね」

ジュナス「あ、あんなの僕たちだけじゃ無理だよ!
     一回逃げてみんなに助けを・・・!」

トリス「ダメだ」

ジュナス「えっ!?」

トリス「こいつ1人にみんなの計画が台無しにされかねない!
    だから、こいつはここで止めなきゃならねぇ!」

ジュナス「えぇ!?」

トリスM「例え相打つことになろうとも・・・!」

トリス「行くぜぇ・・・、for Isolde(イゾルデのために)・・・!」

エマ「っ、バリアーが私たちに・・・?」

ジュナス「違う、これは君を守るための物なんだよ」

エマ「え?」

ヘクター「押し潰せぇえええええええ!」

トリス「イゾルデには、指1本触れさせねぇ!サンダーレイン!」

ヘクター「ちぃ、兵隊共が、こんの、舐めやがって!」

トリス「テメェこそ、円卓の騎士舐めんてんじゃ、ねぇ!」

ヘクター「くっ、弓兵が接近戦かよ!」

トリス「俺は騎士だから、な!」

ヘクター「ぐぅ!?・・・なんてなぁ!」

トリス「うぉ!?」

ジュナス「ダメだ!相手はマージ・ウェイクをしてない!」

トリス「ちぃ、このままだと俺の攻撃が効かねぇか・・・!」

モル「そんな穴だらけのものが奥の手だと言うのなら、
   あなたに勝機はないわよ、トリスタン」

トリス「いいや、俺は負けられねぇんだ、イゾルデの為に!」

ヘクター「ならこのロットをなんとかしてみやがれぇ!」

トリス「言われなくとも!」

エマ「ジュナス、このままじゃトリスタンが・・・!」

ジュナス「この技を解除すれば手助けは出来るかもしれない、
     でもマージ・ウェイクじゃ届かないんだよ・・・」

エマ「どういう事・・・?」

ジュナス「トリスタンは今イゾルデを守る為にっていう制約で戦っている、
     強い制約は強い力を与えてくれるんだ」

エマ「その、イゾルデって・・・」

ジュナス「君のことだよ」

エマ「え?」

ジュナス「今君がイゾルデなんだよ」

トリス「うぉぉおおおおお!」

ヘクター「ちぃ、うざってぇんだ、よぉ!」

トリス「ふっ!そんな大振り当たるかってのぉ!」

ヘクター「くっ、だから効かねぇって言って・・・!」

トリス「んなこた分かってんだよ!」

ヘクター「うぉ!?」

トリス「俺の狙いはその鎧だ、行くぞフェイルノート、撃ち、貫けぇ!」

ヘクター「っ、うぉぉおおおおお!?」

ジュナス「やった!」

エマ「鎧が砕けた!」

ヘクター「へっ、だが担い手であるテメェの攻撃なんざ俺様に、は・・・、ぐぅ!?」

トリス「なっ、効いただと?」

モル「リスク管理が甘いのよ、ヘクター」

ヘクター「ん、だと・・・?」

トリス「っ、モルゴース!」

モル「サモンシールドナイト、ふっ!」

トリス「くっ・・・!?」

モル「偽物の愛に殉ずるのはここでお仕舞い、
   その幻想、消してあげる」

トリス「止めろ・・・!」

モル「その女は、あなたのイゾルデじゃ、ない」

トリス「っ・・・!?」

エマ「トリスタン・・・!」

トリス「・・・すまねぇ、エマ、ジュナス」

モル「やっぱりね、よくもまぁそんな脆い物を奥の手だなんて言えるわ」

トリス「クソ、まさかテメェ・・・」

モル「私は傾国の魔女よ、気付かないと思って?」

ヘクター「どういう、事だ、モルゴース・・・!」

モル「見ての通りよ、立っていられるのは私だけ、この時を待っていたの」

ヘクター「裏切った、のか・・・・!」

モル「いいえ、最初から利用していただけよ、貴方はただの繋ぎ」

ヘクター「んだと・・・?」

モル「使えない貴方がいけないの、その術のリスクにすら気付けない契約者は、いらない」

エマ「人のまま担い手と戦えるようにする術に、リスクが無いわけがない・・・?」

モル「・・・へぇ、その通りよ」

ジュナス「っ、来るな!」

モル「その要求は呑めないわね」

ジュナス「来るなって言って!・・・あれ、あれ!?」

モル「無駄よ、その弓は無駄無しの弓、無駄の余地がありうる以上、矢は放てない」

ジュナス「そんな・・・!」

トリス「逃げろ・・・!そいつに関わっちゃ、ダメだ・・・!」

モル「大丈夫よ、私の契約者はもうじきに死ぬわ、
   この世界との繋がりを失う担い手に何か出来ると思う?」

ヘクター「待てよ・・・!ふざけんな・・・、助けろよ、助けてくれよ・・・!」

モル「そう言って助けを請うた相手をどれだけ殺してきたのかしら」

ヘクター「っ・・・!」

モル「悪党の最後なんてそんなものよ」

ヘクター「クソ・・・、そんなのありかよ、俺は、こんな所で、死にたく、ない・・・」

モル「本当に無様ね、さて」

エマ「っ!」

モル「締めと行きましょうか」

ジュナス「逃げよう!」

エマ「でもトリスタンが・・・!」

トリス「逃げろ、エマ・・・!」

モル「もう遅い、貴女は私の物よ」

エマ「えっ?」

モル「契約<コントラクト>」

ジュナス「エマ!」

エマ「きゃぁああああああああ!?」

ジュナス「エマァアアアアア!」

モル「ふっふふふ、あーっははははははは!」

トリス「ぐっ、これ以上思い通りに、させるかぁ・・・!ふっ・・・!」

エマ「お姉さま」

モル「バリアー」

トリス「っ!?」

ジュナス「エ、マ・・・?」

エマ「エマ?そんな人間みたいな名前で呼ぶのやめてくださる?」

ジュナス「え・・・?」

エマ「私の名前はモーガン・ル・フェイ、キャメロットに仇なす者よ」

トリス「モーガン・・・!?」

ジュナス「違うよ、君の名前はエマ・アッシュベリーだ!」

モル「モーガン、戯言に耳を貸す必要はないわ、それはトリスタンの契約者、憎むべき敵よ」

エマ「へぇ、そうなのね、残念だわ、優しそうな殿方なのに」

ジュナス「そいつの言う事を聞いちゃダメだ、目を覚ましてよエマ!」

トリス「よせ、逃げろジュナス、それはそんな生易しいものじゃない・・・!」

ジュナス「嫌だ、僕はエマを置いて帰りたくない!」

エマ「そっ、じゃあ仕方ないわね」

ジュナス「っ・・・!え・・・?」

エマ「まだ捕まるわけには行きませんの、だって目が覚めたばかりですもの」

ジュナス「エ、マ・・・」

トリス「ジュナス!」

モル「動かないで、今この場を支配しているのは私よ」

トリス「うるせぇ!相棒が倒れてん・・・!」

エマ「煩いのは貴方でしてよトリスタン!」

トリス「っ・・・!?」

エマ「私たちが命を握っているのはソレだけではないって事をお忘れかしら」

トリス「まさか」

エマ「エマ・アッシュベリー、この体の持ち主、私なら簡単に殺せるのよ?」

トリス「くっ・・・!」

ジュナス「あぁ・・・、エマ・・・、ごめんよ・・・、僕が不甲斐ないばかりに・・・」

エマ「そうだよジュナス、貴方のせいで、私こんな風になっちゃった」

ジュナス「っ・・・!」

エマ「なんて言ったら、貴方は死んでしまいたくなるのかしら、
   まぁ自殺する体力もないのでしょうけど、あっはははは!」

トリス「人の心を、弄ぶな・・・!」

エマ「不貞で身を滅ぼした人間に言われたくないですわね」

トリス「あれは、そういうのじゃ・・・!」

エマ「そんな言い訳は聞きたくありませんわ」

トリス「っ・・・!」

エマ「さっ、そろそろ限界そうですわね、何か言い残すことはあるかしら?」

ジュナス「・・・エマ、愛して、る・・・」

エマ「・・・・・・」

トリス「ジュナス・・・」

エマ「よし、後は放蕩騎士だけですわね」

モル「お待ちなさいモーガン」

エマ「ん、なぁに、お姉さま?」

モル「彼にはメッセンジャーをしてもらいましょう、アーサーへのね」

エマ「ナイスアイデアですわ、でも復讐とかされたら手間ですもの、よいしょ」

トリス「っ、何を」

エマ「えい」

トリス「ぐぁぁああああああ!?」

エマ「弓は片腕じゃ引けないものね」

モル「素敵よモーガン、さ、よく聞きなさいトリスタン、
   探し出してでも伝えるのよ、私たちは必ず貴方を不幸にすると、ね」

トリス「あぁ、伝えてやるさ、あんたらの手口と一緒になぁ・・・!」

モル「好きにするといいわ、私の計画はその程度で崩れるようなものじゃない」

エマ「せいぜい絶望させてあげてくださいまし、私たちの強大さでね」

モル「それではまた会いましょう、次会うときは楽にしてあげるわ」

エマ「後悔して生き延びなさいな、トリスタン」

トリス「・・・クソ、俺はいったい何をやっているっていうんだ、クソ!」



to be continued...




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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w


こちらの台本はコンピレーション企画「Arc Jihad(アークジハード)」にて
書かせて頂いたものです。
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