Arc Jihad(アークジハード) -二つの復讐と騎士の誓い-

テオドール・ブランシェ♂ 25歳 フランス人、自称サイコ寄りの人間、人で遊ぶのが好き。
ガウェイン♂ 33歳 円卓の騎士のパーソナリティをインストールされた男性。
生真面目で実直な性格。
ランスロット♂ 29歳 ランスロットのパーソナリティをインストールされた男性。
実直で固い性格。
アシュレイ・コールソン♀ 24歳 イギリス出身、地元ではアルバイトをして生活をしていた。
快活で友好的な性格、一人称は僕。





テオ♂:
ガウェ♂:
ランス♂:
アシュ♀:




アシュ「日本にもこんな広い公園があるんだなぁ」

ガウェ「あぁ、そうだな」

アシュ「ジュナス、上手く行くと良いね」

ガウェ「残念ながら脈があるとは思えないが」

アシュ「それでも応援するのが仲間ってモンでしょ!」

ガウェ「なんだ、アシュリーも分かっているのではないか」

アシュ「それとこれは話が別だよ」

ガウェ「ふむ、そういうものか」

アシュ「そういうものだよ、いやでも、ガウェインは恋愛ごとには疎そうだよね」

ガウェ「否定はしないが、私はこれでも妻帯者だぞ」

アシュ「えぇ!?ガウェインが!?」

ガウェ「ん?あぁ、そうだな、ガウェインがだ、私がと言うのなら元をつけるべきだったな」

アシュ「元?」

ガウェ「元だ」

アシュ「別れたの?」

ガウェ「色々あったんだ、ここではなんだ、今度ゆっくり話そう」

アシュ「長い話になりそうなんだね」

ガウェ「そういう事だ」

アシュ「そっかぁ、ガウェインもそういう経験してるんだなぁ」

ガウェ「アシュリーはないのか?」

アシュ「んー、彼女はいた事あるんだけどね」

ガウェ「彼女?」

アシュ「あー、女子校だったから」

ガウェ「なるほど、閉じたコミュニティだとそれに対応して進化するのと同じか」

アシュ「そ、そういう言い方やめよう、微妙に傷つく」

ガウェ「ふっ、それはすまない事をした」

アシュ「まったく・・・、あぁー、僕にもなんかいい出会いないかなぁ」

テオ「エクスキューズモイ マドモアゼル?」

アシュ「まさか早くも出会い?は、はい、なんでしょうか?」

テオ「イギリスか、それなら話せるな、出会いを求めてるとの事だったが、
   隣の彼は彼氏ではないのか?」

アシュ「っ、ガウェイン今・・・」

ガウェ「あぁ、消している」

アシュ「って事は・・・?」

テオ「おぉ、なかなか鋭いな、そう、俺も契約者だ」

アシュ「あ、でも話しかけてきたってことは聖剣だよね?」

テオ「さて、どっちだろうな?」

アシュ「っ・・・!」

テオ「あっはははは!そんなに身構えないでくれ、
   そもそも、どっちだと思うと聞いただけで、どちらかまだ分からないだろう?」

ガウェ「聖剣かと訊ねられ、はぐらかした時点で魔剣だと思うのは自然じゃないのか」

テオ「そこに気付くとは流石だ、ん、どうしたガラティーンの担い手よ、
   汗が凄いじゃないか、今日はそれほど暑くないはずだが」

ガウェ「っ!」

アシュ「ガウェイン?」

ガウェ「奴から目を離すな」

アシュ「っ、うん」

テオ「警戒されたものだな、まだこちらの手札すら見せていないというのに」

ガウェ「円卓にいれば嫌でも人を見る目は養われるというもの、
    何かが告げるのだ、貴様は危険だと・・・!」

テオ「大した観察眼だなぁ、だがそれにしては粗末な契約者を連れている」

アシュ「っ、僕が粗末だって?」

テオ「誤解を招くと面倒だから補足をしておこう、人間だの女だのという点ではないぞ」

アシュ「じゃあ何だって言うんだ」

テオ「兵士としてだ、危機感がまるでない、生まれたばかりの赤ん坊のようにな」

アシュ「くっ、馬鹿にするな!」

テオ「おっと、馬鹿にしたつもりはない、ただ事実を感じたまま言ったまでよ」

アシュ「・・・!」

ガウェ「馬鹿にしにきた訳ではないのなら、一体何用だ?」

テオ「今回、俺は特に用がないんだ、ガウェイン、お前に客を連れてきた」

ガウェ「私に?」

テオ「おい、出てきてもいいぞ」

ランス「はっ・・・」

ガウェ「貴様、まさか・・・!」

ランス「久しぶりだな、ガウェイン」

ガウェ「ランスロット!」

アシュ「っ、ガウェイン・・・?」

ガウェ「漆黒の闇を払う太陽の輝き、ガラティーン!
    抜け魔剣士ランスロット、全ての恨み、ここで晴らしてくれる!」

ランス「堕ちし聖剣の淀んだ輝きよ、今ここに、来い、アロンダイト、
    余計な言葉は語らん、来いガウェイン!」

ガウェ「うぉぉぉおおおおお!」

(ランス剣で受け鍔迫り合いに)

ランス「っ、相変わらず、攻撃的な剣だな、ガウェインよ・・・!」

ガウェ「貴様こそ、あの時と変わらぬ、見え透いた手を・・・!
    そう何度も、同じ手が通用すると思うなぁ!」

ランス「ぬっ!」

ガウェ「輝けし陽の光よ、その力を我に!
    燃え上がれ、ガラティーン!はぁ!」

ランス「強く眩しいほどの力だ、だが真っ直ぐすぎる!」

ガウェ「くっ、だりゃあ!」

ランス「ふっ!」

ガウェ「っ、クソ、正々堂々、戦え!」

ランス「やはり変わらぬな、このまま受けきり、正午を待たせてもらうぞ!」

ガウェ「このぉおおおおお!」

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テオ「さて、あちらは始まったようだが、こちらはどうする?」

アシュ「どうするって、そっちは剣を持ってないじゃないか」

テオ「悪に加担する魔剣の契約者を相手に、そんな悠長な事を言っていていいのか」

アシュ「僕は殺しをしたい訳じゃない、抵抗の出来ない相手に剣を振る訳がないでしょ」

テオ「ほぉ、剣がなければ抵抗が出来ないか、んー、お、これは丁度いいな」

アシュ「木の、棒・・・!?」

テオ「折れた木の先は危ないだろう、武器には十分だ、
   これだけの太さがあれば殴打も出来るぞ」

アシュ「馬鹿にして・・・!」

テオ「おや、剣を強く握ったな、抵抗の出来ない相手には剣を振らんのだろう?」

アシュ「くっ・・・!」

テオ「扱いやすいことだ、それでは長生き出来んぞ、そら!」

アシュ「っ!ふざけやがって!」

テオ「っと、剣を振ったな、やっと対等だ、ふっ!」

アシュ「そんな見え見えの攻撃なんて!」

テオ「流石に振りづらいか、だがこれならどうだろうなぁ!」

アシュ「だから見え見えだって、言ってるでしょ!」

テオ「っ、木が短く・・・!」

アシュ「人を馬鹿に、しているから!」

テオ「なんてな」

アシュ「っ!?」

テオ「それ!」

アシュ「いっ・・・!」

テオ「おや、掠っただけか、やはりコピーの有無は差が出るな」

アシュ「こいつ、短くなった木で・・・!」

テオ「長さが変われば間合いが変わる、ならば詰めるだけだ、
   それに見てみろ、ガラティーンの切れ味は鋭いなぁ、綺麗な切り口だろう?」

アシュ「さっきよりも鋭く・・・!」

テオ「さて、これで分かったな、これは人を殺傷できる立派な武器だ、
   死を感じろ、そして己が殺意を自覚しろ、これは殺し合いだ、でなければ面白くない」

アシュ「くっ・・・!」

テオ「さぁ、動かなくていいのか、俺は木の棒、お前は剣、どちらが有利かは明白だ、
   更に言えばお前の持っているのは聖剣だ、身体能力も強化されている、
   勝てるはずだ、お前は俺を殺せるはずだ、さぁ、さぁさぁさぁ!」

アシュ「あ、あぁあああああ!」

テオ「全くもって簡単だ、そら」(足をかける)

アシュ「っ、うわぁ!」

テオ「よっ、これで・・・」(押さえ込むと同時に肩を外す)

アシュ「っ・・・!?」

テオ「これで分かっただろう、自分の粗末さが、
   命のやり取りを自覚し、うろたえるなど兵士にはあってはならない」

アシュ「そんな・・・、コピーを持ってない人間に、負けた・・・?」

テオ「その通りだ、あぁ言っておくぞ、今の言葉の中にも敗因はある」

アシュ「え・・・?」

テオ「木の棒なんかには負けないという驕りだ、そのせいで俺に対する意識が疎かになっていた、
   それでは勝てるものも勝てなくなる」

アシュ「僕が、悪いって言うのか」

テオ「そうだ、俺が強いからではない、お前が弱いから負けたんだ」

アシュ「っ、嘘だ・・・そんなの嘘だ・・・」

テオ「さて、あちらはどうなるか」

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ガウェ「コード・サン、プロミネンス!」

ランス「コード・ニムエ、レイクシールド」

ガウェ「くっ、燃えろガラティーン!っだぁ!」

ランス「水を湛えよアロンダイト、ふっ!」

ガウェ「っ、ちぃ!」

ランス「消えた、いや左!」

ガウェ「はぁ!」

ランス「その程度のフェイクで!」

ガウェ「まだだぁ!」

ランス「何!?」

ガウェ「はぁぁあああああああ!」

ランス「くぅぅうう!ここまで上がるか!」

ガウェ「見えたぞランスロット、ここだぁ!」

ランス「まだだ」

ガウェ「なんだと、うっ!?」

ランス「お前の時間は終わりだ、ガウェイン!」

ガウェ「正午か・・・!」

ランス「歴史は、覆らない!」

ガウェ「いや、歴史は変えられる、ふっ!」

ランス「っ、速さが、変わらないだと!?」

ガウェ「あぁぁああああああああ!」

ランス「がっ!?くっ!」

ガウェ「逃がすかぁ!」

ランス「ちぃ、ガラティーンの加護は既にないはず、なのに何故だ!」

ガウェ「これは私の力だ!」

ランス「っ!」

ガウェ「もう誰にも負けない為に、もう誰も失わない為に!
    私は強くなる!お前を超えてみせる、ランスロットぉぉおおお!」

ランス「うぉぉおおおお!?」

ガウェ「はぁ・・・はぁ・・・、鎧を砕いただけか・・・、
    だが、次こそは息の根を止めてくれる・・・!」

ランス「ぐっ・・・!まだだ、私とてまだ死ぬ訳にはいかぬ、宿縁を断ち切るまでは・・・!
    そうだ、奴に出来て私に出来ぬはずがない・・・!」

ガウェ「っ、させるか!」

ランス「湖の乙女よ、我が定めにそなたの加護を、アロンダイト二号、開放!」

ガウェ「だぁぁあああ!」

ランス「ぐっ、うらぁああああ!」

ガウェ「っ、うぉ!?」

ランス「くぅ・・・、なんと禍々しき力か、今なら主の言葉が分かる、
    確かにこれは気に障る・・・!」

ガウェ「それが・・・、お前の力か、血と憎悪に塗(まみ)れたそんな物が、
    お前の力だというのかランスロット・・・」

ランス「そうだ、友の血を吸い、堕ちたこれこそが私の力だ」

ガウェ「ならば私は負ける訳には行かない、お前が我らが王に仇なす存在である以上、
    負ける訳にはいかない・・・!」

ランス「止めて見せろ」

ガウェ「止めてやるさ!うぉぉおおおおおお!」

ランス「はぁぁああああああ!」

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テオ「ん、終わったな」

アシュ「あ、ガウェイン・・・、ガウェイン!」

テオ「慌てるな、肩をはめてやる」

アシュ「いっ、くっ、ガウェイン!」

テオ「っと、全くもって度し難い、よくもまぁただの兵器にあそこまで入れ込めるものだ」

アシュ「貴様よくも!」

ランス「っ、落ち着け、殺してない」

アシュ「え、ガウェイン!」

ガウェ「ぅ・・・、アシュリー、か・・・?」

アシュ「あぁ、よかった、生きてた・・・!」

ガウェ「生きてた・・・、ではランスロットは!づっ・・・!」

ランス「残念だったな、今回は私の勝ちだ」

ガウェ「何故、殺さなかった・・・!」

ランス「殺せなかった」

ガウェ「なんだと?」

ランス「お前の技に憎しみはなかった、ただ負けたくないという想いだけが込められていた・・・!」

ガウェ「ランスロット・・・?」

ランス「もはや私はそうあれぬ、1人の騎士としてただただ眩しかった」

ガウェ「・・・だとしても、最後に立っていた者が勝者だ、志がどうあろうと、お前が勝者だ」

ランス「まだだ、お前は生きている、あの時のように、何度でも私を殺しに来い、ガウェイン」

ガウェ「言われなくとも、お前は私が殺してやる、だからランスロット、それまで、死ぬな・・・!」

ランス「あぁ、待っているぞ」

アシュ「っ、待てよ!」

テオ「なんだ、決着ならついただろう」

アシュ「殺し合いじゃ、なかったのか・・・!」

テオ「そうだ、この戦争は殺し合いだ」

アシュ「じゃあ、なんで・・・」

テオ「お前と俺とでは殺し合いが成立しない、それだけの事だ」

アシュ「殺し合いが、成立しない・・・?」

テオ「せいぜい担い手の足手纏いにならぬようになぁ、それは良い兵器だ、
   無駄死にさせるなよ」

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ランス「感謝する、主よ」

テオ「気にするな、俺は何もしていない」

ランス「だとしても奴と巡り合せてくれたのは主だ、
    ありがとう」

テオ「そんな事よりもだ」

ランス「ん、なんだろうか?」

テオ「お前達が立ち会い始めた頃、別で気に障る力が動き始めた、
   今も近くにいるが、お前はアレを知っているか?」

ランス「・・・っ、これは・・・!」

テオ「やはりか、気に食わん、俺たちは羊として使われた訳だ」

ランス「奴も担い手になっていたのか・・・!主」

テオ「放っておけ」

ランス「だが!」

テオ「あれも魔剣だ、今はまだ敵対するまでじゃない」

ランス「・・・分かった、采配は委ねよう」

テオ「そうしてくれ、どこの誰だか知らんが、覚えておくぞ、その気配」



to be continued...




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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w


こちらの台本はコンピレーション企画「Arc Jihad(アークジハード)」にて
書かせて頂いたものです。
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