Arc Jihad(アークジハード) -王の矜持と騎士の誇り-

水騎剣♂ (みずき けん) 21歳 大学生、真面目かつお人よし、剣術を学んでいる。
テオドール・ブランシェ♂   25歳 フランス人、自称サイコ寄りの人間、人で遊ぶのが好き。
ランスロット♂   27歳 ランスロットのパーソナリティをインストールされた男性。
実直で固い性格。
アーサー♀   21歳 アーサーのパーソナリティをインストールされた女性。
真面目で丁寧、曲がった事が嫌い。







剣♂:
テオ♂:
ランス♂:
アーサー♀:






テオ「なぁ、本当にこんな国にいるのか?」

ランス「あぁ、間違いない、姉妹であるこの剣が反応を示しているんだ、
    奴は、ここにいる」

テオ「お前がそういうなら間違いないんだろうな、
   それならさっさと済ませよう」

ランス「もとよりそのつもりだ、・・・呪われし宿縁に決着をつけるぞ、アーサー」


剣「Arc Jihad(アークジハード) -王の矜持と騎士の誇り-」


アーサー「っ!」

剣「ん、どうしたんだ、アーサー?」

アーサー「い、いえ、なんでもありません」

剣「そっか、ならいいんだけど、最近は魔剣も多い気がするし、
  今倒した魔剣だって二組で行動をしていたから」

アーサー「そうですね、もしかすると、統制を取っている担い手がいるのかもしれませんね」

剣「・・・何か、気配を感じたのなら言ってよ、少し疲れたけど、まだ戦えるから」

アーサー「いえ、大丈夫です、今の所周りに魔剣の気配はありません」

剣「なら良かった、それにしても魔剣のグループ行動か、
  他の国でもあるのかな」

アーサー「あり得るとは思います、この国だけとは考えにくいですから」

剣「だよな、はぁ、なんとか出来ないかなぁ・・・」

アーサー「剣・・・」

剣「今すぐ出来ない事を考えててもしょうがないか、
  よし、ちょっと気分転換に散歩でもしてから帰るよ」

アーサー「分かりました、では私も・・・」

剣「いや、アーサーは先に帰っててくれよ、ちょっとだけ一人になりたいんだ」

アーサー「・・・分かりました、ではまた後ほど」

剣「あぁ、それじゃあまた後で」

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テオ「担い手と別行動か、何を考えているんだ、あの契約者は」

ランス「戦いを見ていた限りでは、考えなしに行動するような間抜けには見えなかったが・・・」

テオ「戦闘中だけしっかりしている奴だっているだろうさ、
   それで、担い手の方はどうなんだ、例の奴だったか?」

ランス「あぁ、あの剣は間違いなくエクスカリバーだ」

テオ「そうか、で、どうするんだ、今ならどっちを狙っても確実だと思うが」

ランス「手負いではないとはいえ、疲労したアーサーを斬った所でこの宿縁は絶えぬ、
    なれば今日は見送るまで」

テオ「なるほどな、まぁお前がそれでいいと言うなら俺も構わない」

ランス「すまないな、私の我侭につき合わせてしまって」

テオ「だから構わないと言っている、が、日本に着いてまだ遊んでいない、
   少し退屈しのぎをさせてもらうぞ」

ランス「主、何を?」

テオ「安心しろ、お前の興を削ぐような事はしないさ、
   それじゃあまた後でな」

ランス「担い手と別行動・・・・、主は何を考えているんだ・・・」

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テオ「エクスキューズモイ?」

剣「うん、な、なんですか?」

テオ「おっと、そういう類の警戒をしないでくれ、きちんと日本語の勉強もしてきている」

剣「ほっ・・・、よかった、外国語は弱いんで、それで、なんでした?」

テオ「いや、俺も契約者なんだ、それで少し話を、と思ってね」

剣「契約者!・・・どっちの?」

テオ「・・・どっちだと思う?」

剣「っ・・・・」

テオ「あっはははは!そんなに身構えないでくれ、今は担い手を連れていない、
   そもそも、どっちだと思うと聞いただけで、どちらかまだ分からないだろう?」

剣「・・・すみません、まだ聖剣の契約者にあったことがないんで」

テオ「なるほど、それなら当然の反応だ、からかってしまってすまなかった」

剣「いえ、大丈夫です、それで、結局どういった・・・?」

テオ「そうだったな、そんな事より堅苦しいぞ、丁寧な言葉は難しくなる、崩してくれ」

剣「わ、分かった、ありがとう」

テオ「よしよし、それじゃあ話していこうか、もちろん、この戦いについてな」

剣「この戦い・・・?」

テオ「そうだ、この聖剣と魔剣を使い、初対面の相手と殺しあうこの戦いについてだ、
   お前はどう思う、主観でいい」

剣「・・・早く終わらせないとって思ってる」

テオ「へぇ、それは何故?」

剣「何故って、そんなの当たり前じゃないか、見知らぬ人が殺しあうなんてダメに決まってる」

テオ「なるほど、なら見知った人同士ならいいと?」

剣「いや、そういう問題じゃ・・・!」

テオ「分かっている、言ってみただけだ、だが、
   この戦いが始まってから逮捕者が出たと聞かないのは何故だろうな?」

剣「・・・・え?」

テオ「もっと大騒ぎになっててもおかしくないと思わないか?
   なのにテレビに取り上げられすらしない」

剣「言われてみれば・・・」

テオ「俺は、何かが裏で動いていると思っているがね」

剣「その何かを倒さないとこの戦いは終わらないって事か・・・」

テオ「さぁ、俺もそこまでは知らないな」

剣「そっか・・・、なら君はこの戦いをどう思ってるんだ?」

テオ「法治世界で人が人を大義名分を持ち斬り合う、
   怠惰な世界に突如訪れた選ばれた者の娯楽」

剣「娯楽、だって?」

テオ「そうだ、娯楽だ、理由を持って人を斬れるなんてそうある事じゃない」

剣「くっ、剣を何だと思ってるんだ!」

テオ「力、武器、人を斬る道具」

剣「っ・・・!」

テオ「言い返せないか、そうだろうさ、間違った事は言っていない」

剣「そうじゃない、剣をそうとしか思ってないことに絶句したんだ、
  確かに剣は斬るための武器だ、力だ、けど、力は思いをこめて初めて意味を持つ、
  ただただ意味もなく斬る、それじゃ剣が可哀想だ!」

テオ「・・・・なるほどな、やっぱりお前は面白い」

剣「なんだって?」

テオ「いや、結構、なんとなくだがお前の人となりは分かった、満足だ、
   後は決まり通り殺し合うだけ」

剣「決まり通り・・・、まさかお前・・・!」

テオ「あぁ、魔剣だよ」

剣「っ!」

テオ「ふっ、あっはははは!お前は面白いな!実に素直な反応をしてくれる!」

剣「くっ、馬鹿にしているのか!」

テオ「そうとらえたか、それならお前の勘違いだ、遊んではいるが馬鹿にはしていない、
   今日は挨拶をしに来ただけなんだ」

剣「挨拶?」

テオ「その通り、すぐ近く、また来る、今度は相棒と来る、その時は殺し合いだ」

剣「・・・分かった、水騎 剣だ」

テオ「ん?」

剣「探す時に名前を分かっていた方が探しやすいだろ?」

テオ「なるほど、あいつに探させるつもりでいたからそこまで考えが行っていなかったな、
   これは失礼、俺はテオドール・ブランシェだ、ケン、覚えておく、それでは」

剣「テオドール・・・、いったい何のつもりで・・・」

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アーサー「先に戻ってきたのはいいのですが、やはり心配ですね・・・、
     先ほどの気配も気になりますし・・・」

ランス「それならば安心してもらっても構わない、私ならばここにいる」

アーサー「っ、誰です・・・!ランスロット・・・ですか?」

ランス「如何にも、久しいな、アーサー」

アーサー「久しい、と言うのにも違和感がありますね、私の覚えている姿とは全然違うのだから、
     なのに一片の疑いもなく貴方だと分かる、不思議なものです」

ランス「そうだな、だがそれ故に在りし日の事が脳裏に甦るのも事実」

アーサー「貴方が思い返しているのは、いつの頃の記憶なんでしょうね」

ランス「相変わらず人の心を読めぬ人だ」

アーサー「かつての友が魔剣を携え現れたと言うのに言葉を交わしてくれている、
     一縷の望みを、信じてはいけませんか?」

ランス「今この時だけは許そう、だがアーサーよ、お前は聖剣の担い手、
    そして私は魔剣の担い手なのだ、油断している隙に殺されかねないぞ」

アーサー「・・・決別した後も、貴方は騎士の鑑でした、例え魔に堕ちようと揺るがぬ物、
     違いますか?」

ランス「何故だ」

アーサー「え?」

ランス「何故あの時その様に信じてくれなかった!何故彼女を責めた!
    少し違えば、あの結末は迎えなかったはずだ!」

アーサー「・・・私は王でした、王がそれを許してしまっては、民に示しがつかないんです」

ランス「・・・やはり心を読めないのではなく、読まないが正しいか」

アーサー「意に介さぬことであろうと、飲み込むことが必要な事だってある、
     人の上に立つと言うことはそういう事、違いますか?」

ランス「知らぬ、私は騎士だ!やはり人として会ったのは間違いだった、
    これならば時を待ち、ただ敵として立ち会えばよかったのだ!」

アーサー「我が国無きこの地であれば、再び分かり合えると思ったのですが・・・」

ランス「そうさせぬのは貴様だアーサー!」

アーサー「・・・そうかもしれませんね、では言葉で分かり合えぬのであれば」

ランス「剣で語るのみだ」

アーサー「では、出でよ・・・!」

ランス「待て、その状態で私とやりあえるとでも思っているのか」

アーサー「っ、どういう事です?」

ランス「先ほどの戦い、見させてもらった、万全でない貴様を倒した所で何も意味はない、
    明日だ、明日までに完全な状態にするのだ」

アーサー「ランスロット、貴方は・・・」

ランス「それ以上は聞かぬ、次に語るのは、剣戟の響きよ、では、次会うのは戦場でだ」

アーサー「・・・聖剣を手に取ったあの日から覚悟はしていましたが、思った以上に辛い物ですね・・・」

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ランス「主」

テオ「ん、おぉ、お前か、やっと見つけてもらえたか、いや失敗だったな、
   集合場所くらい決めておくべきだった」

ランス「本来であれば単独行動を避けるべきなのだが・・・」

テオ「問題ないだろう、今の所、聖剣持ちで契約者を狩るような奴には遭遇していない、
   悪意を持って暴れまわっていれば別だろうがな」

ランス「魔剣に同族狩りがいないとは限らない、そういう意味では警戒すべきだ」

テオ「いや、そういう輩は俺と同類だ、担い手のいない契約者には手は出さない、
   殺しがしたいのではなく、殺し合いがしたいのだから」

ランス「一般人を襲う契約者もいないとは限らない、
    そういう手合いに遭遇したらどうするつもりだったのだ?」

テオ「その時はお前か他のペアが介入してくるのを抵抗しながら待つさ、
   間に合わなければ俺自身がそれまでだった、それだけのこと」

ランス「そこまで言うのであれば今回はここまでにしておこう、
    だが今後は気をつけていただきたい」

テオ「ククッ、分かっているさ」

ランス「所で主よ、退屈しのぎは出来たのか?」

テオ「あぁ、面白いモノを見つけられたおかげでな、
   殺し合いがより楽しみになったよ」

ランス「まさか、アーサーの契約者と・・・」

テオ「その通り、いや、実に面白い男だった」

ランス「はぁ・・・、自ら危険を冒しに行くとは・・・」

テオ「それはお互い様さ、お前だって担い手と話してきたんだろう?」

ランス「・・・そうだな、まさしくその通りだ」

テオ「さて、何はともあれ宿を探そう、明日は荒れる」

ランス「む、私は明日が戦いの日と伝えたか?」

テオ「たった今な、それなら尚更だ、さっさと行くぞ」

ランス「あ、あぁ」

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剣「ただいまー」

アーサー「剣、おかえりなさい、遅かったですね」

剣「ごめん、ちょっと外で他の契約者と話してて」

アーサー「契約者と・・・、もしかして聖剣のですか?」

剣「いや、魔剣のだけど・・・」

アーサー「魔剣の!?」

剣「あ、あぁ、でも、担い手は一緒にいなかったんだ、だから戦闘もしなかったし、大丈夫だよ」

アーサー「なら良いのですが、気をつけてくださいね、魔剣陣営は知っての通り血気盛んな者が多いので・・・」

剣「分かってるよ、今まで戦ってきた相手で嫌って言うほどね」

アーサー「なら良いのですが・・・」

剣「だから急に襲われたときでも大丈夫なように、護身用のナイフを持ち歩いてるんじゃないか」

アーサー「そうですね・・・、本当は剣(つるぎ)を持てれば良かったんですけどね」

剣「流石に日本じゃなぁ、そういう意味ではコピーを出したり消せたり出来るのは便利だよな」

アーサー「偶然なのか、それとも必然なのか、この世界に適合した機能になっている・・・、
     だとしても、来たばかりに想像したほど騒ぎにならないのも・・・」

剣「やっぱり、アーサーもそう思うか?」

アーサー「私も、というのは」

剣「今日話した契約者も同じ事を言っていたんだ、この戦いの裏で何かが動いているって・・・」

アーサー「・・・だとすれば、最近魔剣の担い手と頻繁に遭遇するのも肯けるかもしれませんね」

剣「そうだな・・・」

アーサー「魔剣、か・・・」

剣「何か、あったのか?」

アーサー「えぇ・・・、実は・・・」

テオ「ムシューミズキ!イマスカー!」

剣「っ、この声!?」

アーサー「まさか!」

剣「あぁ、さっき話してた契約者だ」

アーサー「くっ、まさか家まで来るなんて、剣、武器を渡します!
     出でよ、聖剣、エクスカリバー!」

剣「ありがとう」

テオ「ん、いるじゃないか、入らせてもらうぞ!」

剣「鍵は閉めたはず、まさか壊してまで・・・」

テオ「っと、甘い鍵だな、ケン、もっといい物に変えたほうがいいぞ」

アーサー「なっ!?」

剣「ぴ、ピッキング!?」

テオ「その通り、っとやはり既に臨戦体勢か、今日は約束を取り付けに来ただけだ、
   収めてくれるとありがたい、ここではやりづらいしな」

剣「なんで、ここが分かったんだ?」

テオ「答えを見せよう、おい」

ランス「はっ」

アーサー「っ、ランスロット!?」

ランス「・・・その日の内に会うとは思ってなかったな」

アーサー「私もですよ」

剣「アーサー、後で詳しく聞かせてもらうから」

アーサー「分かっています」

テオ「建物さえ分かれば後は部屋を探すのは簡単だったぞ、日本人はお人よしだな」

剣「どういう事だ?」

テオ「ムシューミズキの部屋はドコデスカー?って聞いたらすぐに教えてくれたぞ」

アーサー「・・・・」

剣「よ、よくやるな・・・」

ランス「あのような主を見たのは私も初めてだ」

テオ「滅多にやらないからな、だがしかし時々やると楽しいぞ、道化も」

剣「そ、そうなのか・・・、ってそうじゃなくて、何の用なんだ!」

テオ「あぁ、明日の待ち合わせをしておこうと思ったんだ」

ランス「時間と場所が分からないと大変だと言うことが分かってな」

アーサー「それは同感ですね」

剣「空き地だ」

テオ「ほう?」

剣「見ていたんだろ?今日俺が魔剣と戦っていたあの空き地に昼過ぎの1時、それでどうだ?」

ランス「そちらから場所を指定とは、何か企みか?」

アーサー「剣はその様な卑劣な真似をする者ではありません、見くびらないでください」

ランス「大した信頼だな、アーサー」

アーサー「当然です、エクスカリバーを託すに相応しいと私が判断した人ですから」

テオ「フッ、いいだろう」

ランス「主?」

テオ「心配するな、問題ない、その様な小細工が出来るような人間じゃないのは分かっている、
   むしろ俺の罠を警戒してのことだろう、やはりこういう気は回るらしい」

剣「了承してもらえた、って事でいいのか?」

テオ「もちろんだ、クックク、今から楽しみだ、・・・・逃げるなよ?」

剣「当たり前だ」

テオ「よし、それでは俺も仮宿に戻るとしよう、行くぞ」

ランス「御意、・・・アーサーよ、明日こそ、この呪われし宿縁に決着を」

アーサー「ランスロット・・・」

剣「・・・アーサー、食事にしよう、明日に備えないと」

アーサー「そうですね、・・・ありがとうございます」

剣「どういたしまして」

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テオ「なぁ、殺し合いってのは向き合う前から始まってるんだ、
   どういう事か分かるか?」

ランス「もちろん、私も軍の指揮を取った事のある身だ」

テオ「そうだったな、では今回、俺は既に策を弄している、
   それが何なのかは分かるな?」

ランス「主が弄した策・・・、それは今日に入ってからの事か?」

テオ「おいおい、質問を質問で返すなよ、せめてひとつはこれだと思う物を出してみろ」

ランス「む・・・、んー、昨日ドアを壊さずに鍵を開けて踏み入った事か?」

テオ「いや、それは騒ぎになるのが面倒だっただけだ」

ランス「・・・ヒントは貰えないのだろうか?」

テオ「ではさっきの質問に答えてやろう、その通り、今日に入ってからの事だ」

ランス「今日・・・、起床し、食事を取り、少し早めに約束の地へ到着した・・・」

テオ「あぁ、そうだな、今日した事といえばそれくらいだな」

ランス「この中にあると言うのか・・・」

テオ「正しくその通りだ、よし、難しいだろうからな、
   理由は分からずとも正解としてやろう、最大限の譲歩だぞ」

ランス「んー・・・、少し早めにここへ来た事、か?」

テオ「正しくその通りだ!素晴らしいぞお前、ちなみに理由は分かるか?」

ランス「すまないが、そこまでは」

テオ「まぁそうだろうな、それくらいでいい、それくらいがいい」

ランス「それはどういう意味だ?」

テオ「理由はその内分かるさ、それその物が策だと分かっていればいい、
   さぁ、そろそろ来るぞ、宿縁の相手が」

ランス「む、主、気配が読める様に?」

テオ「いいや、時間さ」

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テオ「ボンジュール、ケン、遅かったじゃないか、待ちくたびれたぞ」

剣「え、遅かったってまだ約束の三十分前じゃ・・・」

テオ「その通り、まだ定刻じゃない、なのに待ちくたびれた、
   っという事はそれだけ早く来ていたと言う事さ」

剣「いったい何時からここに?」

テオ「それは内緒だ、それを話してしまってはこっちの手の内がバレてしまうかもしれない」

アーサー「っ、まさか先回りして、罠を!?」

テオ「さぁ、それはどうだろうな?」

アーサー「くっ、剣、あの契約者、要注意です!」

剣「あぁ、分かっている!」

ランス「主」

テオ「お前の言いたい事は分かる、が余計な事に気を取られていると足元をすくわれるぞ?
   分かったらコピーを」

ランス「くっ、堕ちし聖剣の淀んだ輝きよ、今ここに、来い、アロンダイト!」

テオ「メルシー、さぁケン、お前も抜け、始めよう殺し合いを」

アーサー「出でよ、聖剣、エクスカリバー!剣!」

剣「ありがとう!」

アーサー「ランスロットは、私が」

剣「分かった、頼む」

テオ「仲のいい事だな、楽しいか?」

剣「楽しい?」

テオ「主従関係ごっこだよ、楽しいか?」

剣「主従関係ごっこ、だって?」

テオ「その通り、異世界から来た本名すら言わない偉人の紛い物を付き従える、
   これをごっこ遊びと呼ばずして何と呼ぶ、
   そもそもお前は王を従えるような立場の人間じゃないだろう」

剣「そうさ、俺は一学生だ、人を従えるなんてそんな大層な人間じゃない、
  だから俺はアーサーをパートナーだと思ってる」

テオ「パートナーか、ククッ、なるほどなるほど、王と騎士の違いか、
   まぁ楽しんでいるのならそれでいい、その方が面白い」

剣「・・・・・」

テオ「おや、だんまりで剣を構えたか、やはりこういう察しは良いようだ、
   それじゃ、始めるとしようか、殺し合いを!ふっ、そぅら!」

剣「はぁ!」

テオ「とっ、巧い、素人じゃないな」

剣「よく初太刀で分かるな」

テオ「分かるさ、筋が違う、だが」

剣「っ!」

テオ「綺麗過ぎる、そら!」

剣「くぅ!だっ!」

テオ「おぉっと、よく苦手な角度を返した、だがまだ止まらない、ふっ!」

剣「ちぃ!」

テオ「そらそら!どこまで凌げる!俺の期待を、裏切ってくれるな!」

剣「くっ、勝手な、っ、期待をされて、ふっ、裏切るなと言われても、困る!」

テオ「おっとと、やはり巧い、あれだけ苦手な所を攻められ一太刀で返すとはな」

剣「お前だって、どうしてあそこまで的確に苦手な所が分かるっていうんだ・・・」

テオ「見ていれば分かる、としかな、お前はそれでも少ない方だ、見事な物だよ、
   だが気概が足りない」

剣「俺の、気が抜けてるって言うのか」

テオ「戦意は十分さ、足らないのは、殺意だよ」

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ランス「主たちも始めたようだ」

アーサー「そのようですね」

ランス「では私たちも始めるとしよう、
    堕ちし聖剣の淀んだ輝きよ、今ここに、来い、アロンダイト」

アーサー「出でよ、聖剣、エクスカリバー、行きます!」

ランス「行くぞアーサー!うぉぉおおおおおお!」

アーサー「はぁぁああああああ!」

ランス「この日をずっと待っていた、なんのしがらみもなく、
    ただただ貴様と、斬り合えるこの日を!」

アーサー「ならば私もそれに応えて見せましょう!はぁ!」

ランス「ふっ、ぜぇい!」

アーサー「っ、くぅ!?」

ランス「どうしたアーサー、軽いぞ、貴様の剣の重さは、国の重さはその程度か!」

アーサー「堕落したものですねランスロット」

ランス「なんだと?」

アーサー「初太刀で剣を見極めようなどと、それでも円卓一と呼ばれた騎士ですか!
     湖の乙女よ、我が刃にそなたの加護を、エクスカリバー二号、開放!行きますよ!」

ランス「その程度まだ、まだだ!」

アーサー「ふっ!」

ランス「はぁ!」

アーサー「っ、これに何の術もなく打ち合ってきますか、流石はランスロット、ですが!」

ランス「ぬっ!?」

アーサー「コード・ニムエ、レイクド・スラッシュ!」

ランス「っ、ぐぁ!?」

アーサー「これで・・・!」

ランス「っぐ、この程度で倒れて、堪るかぁ!」

アーサー「ぐぅ!?」

ランス「ごほっごほっ、流石は希代の聖剣エクスカリバー・・・、
    魔剣の力なくして勝てる物ではないか・・・、ならば・・・」

アーサー「づぅ・・・、ランス、ロット・・・?」

ランス「気をつけるがいいアーサー、創造物は現実を更に悲惨な物として突きつける」

アーサー「あなたは、いったい何を・・・!」

ランス「友の血を吸い堕ちた聖剣よ、思い出せ己が名を!
    アロンダイト、開放、うぉぉぉぉおおおおおおおおお!」

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剣「はっ!そらぁ!」

テオ「ふっ、よっ、そうだ、いいぞ、もっとだ・・・!」

剣「くっ、こ、の!」

テオ「おっと、ハハハッ!巧い巧い!」

剣「ちぃ、人の事をおちょくってぇ!」

テオ「おちょくってなどいないさ、欲しいのは、こういう一撃だ!」

剣「うぁ!?」

テオ「貰った」

剣「っ、まず・・・!」

テオ「オルヴォワール、ケ・・・、っ!」

剣「っく、下がった・・・?」

テオ「いやはや、そんな隠し玉を持っているとはな、全て見る前に殺してしまっては面白くない」

剣「隠し玉、っ、エクスカリバーの二号開放・・・!あいつ、発動する前に感じ取ったって言うのか・・・!」

テオ「性質は違うが、こいつも似た様な物を持っているからな、流石は姉妹剣と言った所だ」

剣「ならそっちが開放する前に・・・!」

テオ「残念ながら、もう遅い」

剣「何、っ!?」

テオ「ちぃ、相も変わらず気に障る力だ、実に煩わしい、
   あいつだけならまだしも、俺にまで干渉しやがる」

剣「干渉・・・?」

アーサー「っ、うあぁ!?」

剣「アーサー!?」

テオ「ちっ、こっちまでふっ飛ばしてきたか、全く興ざめする・・・」

剣「大丈夫か?」

アーサー「くっ、えぇ・・・、ですが・・・!」

ランス「おぉぉおおおおおおおおおおお!」

剣「っ、なんだ、あの禍々しい力・・・」

テオ「友の弟を切り、友に死へ繋がる傷を付け、魔へと堕ちた聖剣、
   自分の持つ剣の力は知っているだろう、それが負へ反転したと考えてみろ」

アーサー「エクスカリバーの聖と同等の、負の力・・・」

テオ「コピーから漏れる力でも分かるだろう、それと同じだ、ケン」

ランス「何処だ、アーサァァアアアアアアア!」

剣「・・・アーサー、マージ・ウェイクだ」

アーサー「っ、危険です!」

剣「しないと勝てない」

アーサー「ですがこの状況で二対一になっては・・・!」

テオ「あぁ、こちらなら気にするな、俺はとうに興醒めしている、
   後は勝手に楽しめ」

剣「アーサー」

アーサー「・・・分かりました」

剣「よし、行くぞ、マージ・・・」

アーサー「ウェイク!」

剣「ランスロット!」

ランス「グゥゥ・・・!」

剣「アーサーならここだ!」

ランス「見つけた・・・、アーサー・・・!うぉぉおおおおお!」

アーサー「彼を止めたいです」

剣「分かった」

アーサー「・・・ありがとうございます!」

剣「狂気で曇った剣なんて怖くもなんともない、行くぞ!
  うぉぉおおおおお!」

ランス「ガァ!」

剣「当たるか!だあっ!」

ランス「グゥ、ァァアアア!」

剣「くっ!?」

アーサー「いくら鎧を纏っているとはいえ、よろめきもしないなんて・・・!」

テオ「狂っていても技の冴えまでは鈍らないらしいぞ、気をつけろ」

剣「あいつ、どっちの味方なんだ・・・!」

アーサー「剣、目の前の相手に集中を」

剣「分かってる、はぁ!」

ランス「グルァ!」

剣「づっ!重い・・・!」

アーサー「体の支配権を私に!」

剣「っ、あぁ!」

アーサー「もう好きには、させません!はぁああ!」

ランス「グウゥ!?」

アーサー「コード・エレイン、マルチレイド!」

ランス「グゥゥォォオオオ!?」

剣「やったか!?」

アーサー「まだです、ふっ!」

剣「っ、なんで後ろに下がって?」

アーサー「一号を解放します」

剣「分かった、任せるよ、アーサー」

アーサー「ありがとうございます、楽園の妖精よ、我が最期を見届けし乙女よ、
     来(きた)る夜明けを今こそ!エクスカリバー一号、開放!」

テオ「・・・あれが、エクスカリバーの光か・・・、ふっ、噂以上だ、
   流石は聖剣の代名詞、魔剣どもが怯えるのも肯ける」

アーサー「ランスロット!」

ランス「グ、ウゥゥ・・・」

アーサー「我々の決着は、こんな形で終わるものではありません、
     その様な闇、今すぐ打ち払い、眼を覚まさせてあげます!」

ランス「アーサー・・・、アーサァァアアアアア!」

アーサー「行きます、コードアヴァロン・エクス、カリバァァァアアアアア!」

ランス「グゥゥオオオオオオオオ!?」

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ランス「ぐ、ぅ・・・、ここは、私は・・・」

アーサー「目が、覚めましたか、ランスロット」

ランス「っ!アーサー!づっ・・・!」

テオ「まだ動かない方がいい、いくらアロンダイトによる強化があったとはいえ、
   エクスカリバーの直撃を食らったんだ、大人しくしておけ」

ランス「何故だ・・・」

テオ「ん?」

ランス「何故私は未だに生きている!答えろ、アーサー!」

アーサー「貴方は、私との決着があんな物でよかったのですか?」

ランス「っ、だがしかし、あんな醜態を晒し、敵に命を救われ、
    どの面下げて生きろというのだ」

剣「話が変わってるよ、ランスロット」

ランス「貴様に何が分かる!」

剣「何も分からない、けど、生きてるなら取り返しは付くだろ」

ランス「っ・・・!」

剣「次は醜態を晒さないようにすればいい、敵に命を救われたくないのなら、
  勝てばいい、勝てなかったとしても、生きて還ればいい」

ランス「敵に、背を向けろというのか・・・?」

剣「死ぬことが騎士道だっていうならもう何も言わない」

ランス「・・・・・・」

テオ「お前の負けだ、戦闘も、口でもな」

ランス「主・・・」

テオ「悪かったな、寝具を借りてしまって」

剣「構わないよ、戦いが終われば、聖剣も魔剣も関係ないだろ?」

テオ「クックク、本当にお人よしだ、いつか寝首をかかれるぞ、
   と言いたいが、その心配はないか、戦闘の事になるとお前は意外と隙がない」

剣「ありがとう」

テオ「本当はもう少しからかってやろうと思っていたのだが、
   あまりに斬り合いが楽しくて忘れていたほどだからな」

アーサー「・・・そうです、いったい罠とはなんだったのですか?」

テオ「俺の口から説明しろというのか、王は中々酷な事をおっしゃられる」

ランス「私もそれは気になっていたのだが・・・」

テオ「ふむ、ケンは分かったか?」

剣「罠があるように見せかけて警戒させる事、それその物が罠って事か」

テオ「その通りだ」

ランス「それその物が、罠・・・?」

アーサー「剣、どういう事なのですか?」

剣「余計な事に気を取られていると、剣が鈍るからな」

テオ「正しくその通り、いやはや、流石というべきか」

アーサー「・・・なんというか、小ズル賢いというか」

ランス「そんな、小さい策だったのか、主・・・」

剣「いや、戦闘中の会話で臭わすような言葉があれば、相手によっては効果的だと思うぞ」

テオ「敵の失敗した策を補うような会話はやめて欲しいものだ」

剣「あ、ご、ごめん」

テオ「さてと、おい、そろそろ動けるだろ、行くぞ」

ランス「あ、あぁ」

テオ「世話になった、この借りはいずれ返しに来るぞケン、ではおさらばだ」

ランス「・・・失礼する」

剣「あぁ、それじゃあ・・・・、これでよかったんだな、アーサー?」

アーサー「はい、あの形で決着をつけるのは、彼も本当に望んでいる事ではないでしょうから」

剣「そうだな・・・」

アーサー「・・・本当に、ありがとうございます」

剣「何が?」

アーサー「剣は、いつも一言だけで察してくれる、
     私にとって、それはこの上なく有難い事です」

剣「俺はそんなに察しよくないよ、ただ、それがその時必要だって思っただけ」

アーサー「・・・そうでしたね、だとしても、ありがとうございます、ですよ」

剣「・・・うん、どういたしまして」

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テオ「どういうつもりだ」

ランス「・・・何が、だろうか?」

テオ「捜し求めていた相手だったんだろうが、何故理性を手放した」

ランス「あれは、そうしなくては勝てないと判断したからだ」

テオ「そうだろうさ、それは間違った思考ではない」

ランス「主だっていつも言っていることだ、それが一体・・・?」

テオ「ならばお前の口癖は何だった、言ってみろ」

ランス「っ、呪われし宿縁に、決着を・・・」

テオ「その宿縁とやらは、あんな戦いで終わるものなのか」

ランス「それは・・・」

テオ「お前がいつ何処でどう死のうが俺は構わない、興味もない」

ランス「・・・・・・」

テオ「だが信念は曲げるな、譲るな、死ぬまで貫き通せ、
   それが貴様の存在証明だ」

ランス「すまなかった・・・・」

テオ「そう思うのなら魔剣を使いこなせ、そして制御しろ、
   あの力は気に障る」

ランス「分かった・・・、では、次、奴らと相見えるその時までに、必ず」

テオ「それでいい、さて、そうと決まれば仮宿へ帰るぞ、
   渡航先を考えなくちゃならない」

ランス「そうだな、そうしよう」

テオ「日本語は難しかったからな、次はもう少し簡単な言語の国がいい、
   ドイツ、イタリア、イギリス、アメリカ辺りは習得済みだから気が楽だぞ」

ランス「・・・この世界の国のことはよく分からない」

テオ「そうかそうか、なら地図で見て決めろ、母国は却下だ、飽きたからな」

ランス「そうだな、あの国で戦った担い手たちは大したことなかった」

テオ「そういう話ではないのだがまぁいい、さぁ今日の夕食は何にするかね」





to be continued...






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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w


こちらの台本はコンピレーション企画「Arc Jihad(アークジハード)」にて
書かせて頂いたものです。
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