Arc Jihad(アークジハード)-隠していた疵(きず)と目を背けていた事実- 作:冬木零&福山漱流
ジェイク・アクランド♂ | 36歳 | ミスティオン、アメリカ支部の構成員、本業は要人警護。 気さくでいいおじさん、人をからかうのが大好き。 |
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ガラハッド♂ | 26歳 | 円卓の騎士のパーソナリティをインストールされた男性。 真っ直ぐで疑う事をあまりしない性格。 |
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ムカゼ♂ | むかぜ丸の担い手。長年放置された妖刀「むかぜ丸」から生まれた付喪神の人格をインストールされた異世界人。 「災厄をもたらすもの」としての力を有しており、毒や幻覚などのトリッキーな能力を持つ。 性格は、ひょうひょうとしており快楽的。自分が楽しいこと(戦闘や殺戮もその内)に目がない。 その一方、大事なものへの執着は強く、パートナーである伽子や知人が傷つくことは許せない「在り方を間違った『人格者』」 担う魔剣は「妖刀 むかぜ丸」。災厄をもたらす太刀。むかぜ(ムカデの古語読み)の名の通り、大ムカデの形をした爆弾を放つ。 また、幻覚及び致死性の毒をまき散らす事も可能。トリッキーな能力のため、使い手を選ぶ一振り。 |
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白鳳 伽子♀ | はくほう かこ | 20歳 | 適合者。白鳳会というヤクザの一人娘であり現組長。感情の起伏が激しい一方、頭のキレる人間。 父親殺しをした契約者を殺すためムカゼと契約した。親殺しの相手に復讐をするという狂気性が潜んでいるため、 戦闘となると刀の担い手であるムカゼの狂気と同調し、内面の狂気性が増幅され、戦闘狂になる。 ムカゼとの契約期間が長いため、ムカゼの持つ「狂気性」に精神が侵され、精神が不安定化している。 |
赤阪 彩瑛♀ | あかさか さえ | 17歳 | 適合者。ポンヤンペの前契約者であった秋弥の妹。 理知的で、柔和かつ清廉。兄思いの少女。原因不明の病があり、失明状態だった。 自分を救う為、また、兄が命を懸けて守ろうとした世界を救う為、契約者となった兄の遺志を継ぎ、自分自身も契約者となる。 「人の意志」を何よりも重んじるため、「人の在り方や意志を踏みにじる」ことがらに対して怒りを表す。 それがたとえ『「兄の仇」と「兄の意志を少しでも愚弄した者」どちらか一方しか殺せない』となったとしても揺るがず、 「兄の意志を愚弄した者」を選び取る。 「常識から外れた正義感」を持つある種「歪んだ清廉さ」 |
ポンヤンペ♀ | 聖剣クトネシリカの担い手。ポンヤンペという名前だが、正確にはポンヤンペの人格をインストールされた異世界人。 自然の力を借り、攻撃へと転用できる力を持つ。神格も持つため、高火力な中距離攻撃を得意とする。 男勝りな性格で、姐御肌。何があっても人を守り、魔剣を滅ぼすという信念を持ち、がさつなようで実は思いやりに長けた人間。 秋弥と契約していた時は、秋弥の幼さに苛つきながらも、相棒としては評価していた。 担い手が彩瑛となったのちは、秋弥を守れなかったことから自責の念を感じている。 担う聖剣は「クトネシリカ」。自然の力を司る刀であり、脇差。リーチは短いが、自然を味方に付けることができるため、中~遠距離の戦闘に向く。 |
ジェイク♂:
ガラハッド♂:
ムカゼ♂:
伽子♀:
彩瑛♀:
ポンヤンペ♀:
伽子「あー、だりぃ。ねみぃ」
ムカゼ「へいへい伽ァ子ォー。テンションはァ、アゲてこうぜェ~ぶべらっ!」
伽子「るっせぇ、ムカゼ。ワァワァ喚くな、頭に響く」
ムカゼ「伽子ってばひどい・・・ってか、二日酔い?」
伽子「・・・まぁ、んなとこだ。気にすんな」
ムカゼ「へぇー、お大事にー」
伽子「他人事かよ。腹立つな。ってか、目的はわかってんだろうな?」
ムカゼ「ん?全然しらない」
伽子「ぶっとばすぞ」
ムカゼ「ごめんごめん、嘘嘘!地雷原の張り直しでしょ。知ってる知ってる」
伽子「こないだのバートリとの一戦で、一部壊されたからな。用心のためにも張り直すぞ」
ムカゼ「はいはーい。にしてもさ。さっきからどうも気になるんだけど」
伽子「あ?なにがだ」
ムカゼ「担い手らしき反応があるんだよねぇ。気づいてなかった?」
伽子「そのことか、ほっとけ。どうせブラフだ。
あんだけ、さも『見つけてください』なレベルで垂れ流してる奴は何か変な考えをしてる奴だ。近づかねぇ方がいい」
ムカゼ「でもよぉ?そいつがもし仇だったら?」
伽子「だとしたら、こんなに見つけるのに苦労してねぇよ、バカ。いいから、さっさと行くぞ」
ムカゼ「へぇい。・・・でも、なぁんか引っかかるんだよなぁ」
彩瑛「Arc Jihad(アークジハード)」
ポンヤンペ「-隠していた疵(きず)と目を背けていた事実-」
ガラハッド「なぁ、主よ、一つ尋ねても良いだろうか?」
ジェイク「何だ、ガラハッドよ」
ガラハッド「いつもに比べて気配がなんというか、目立っている気がするのだが、
それはワザとなのだろうか?」
ジェイク「おぅこれか、よく気付いたな、その通り、ワザとだ」
ガラハッド「それでは見つけてくださいと言っているようなものではないか」
ジェイク「なぁに言ってやがる、俺たちの仕事は仲間を探す事だ、
より多くの担い手達に見つかるにはこれが一番だろう」
ガラハッド「確かに方針はぶれてはいない、ぶれてはいないが・・・」
ジェイク「おぉ、何か言いたげだな?」
ガラハッド「危ういのだ、主の放つ気が、今までのそれとは違う気がしてならない」
ジェイク「・・・おぉ、お前さん、思いのほか聡いのな」
ガラハッド「この数年ずっと共にいるのだ、その変化に気付かない訳がないではないか」
ジェイク「いやぁもっとニブチンだと思ってたぜ」
ガラハッド「ニブチンでは聖杯は見つけ出せない」
ジェイク「聖遺物以外にも敏感ってか、こいつは一本取られたなぁ!」
ガラハッド「作戦変更があるのなら私にも教えて欲しい」
ジェイク「これまで通りなのは変わらんさ、より多くの担い手に見つけて貰う、
ただ明確に遭遇したい奴が出来たってだけだ」
ガラハッド「モルゴースか、主よ、アレはブリテンを破滅させた女だ、
ただ力の強いだけの者ではない」
ジェイク「結果としてだろ?大丈夫だ、その辺の手癖の悪さなら負けやしない」
ガラハッド「む、それは否定出来ないな」
ジェイク「そうだろうそうだろう、つー訳で、オーケィか?」
ガラハッド「オーケィだ」
ジェイク「よぅし、そんじゃ魔剣探しだ、やべぇ奴を探すんだ、やべぇ気を追えば当たるだろ」
ガラハッド「なるほど、よりやべぇのを探せば良いのだな」
ジェイク「おう、頼むぞ、聖杯を見つけしガラハッドさんよぅ」
ガラハッド「・・・・ふむ、これは」
ジェイク「ん、どしたぃ?」
ガラハッド「飛びっ切りやべぇのがいるのだが」
ジェイク「だが?」
ガラハッド「お目当ての者ではなさそう、いや、断言出来る、ではない」
ジェイク「ほぅ、そんなに特殊かね」
ガラハッド「あぁ、言葉として形容するなら『厄災』だ」
ジェイク「厄災か、なら大丈夫じゃねぇか」
ガラハッド「む、何故だ主よ、これは飛びっ切りの厄災だぞ」
ジェイク「お前さんはそういうの効かんだろうが、まぁ俺は絶賛厄真っ最中だが」
ガラハッド「そうだ、私は主の心配をしている」
ジェイク「おう、そしたらお前さんが守ってくれぃ」
ガラハッド「なるほど、では主もその野生の勘で厄を躱してくれ」
ジェイク「任せとけ、そんじゃあ運試しと洒落込もう」
ガラハッド「今回は肝試しに近い気がするぞ、主よ」
ジェイク「お、言うようになったじゃねぇか」
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伽子「ったく。手間取ったな。ここまで壊されてたとは」
ムカゼ「まったくもって。あー疲れた」
伽子「さてと、んじゃあこれで帰るとしますか」
ムカゼ「相手さんが帰してくれるんだったらだけど」
ジェイク「ここまでやって交戦の意思はありませんって言ったらおじさんは嘘吐きかい?」
伽子「さぁな。あんたらがどォいう輩か知らねぇからな。こっちとしちゃ、さっさとそこをどいてもらったら助かるんだが?」
ジェイク「どういう輩かって聞かれたら答えない訳には行かないなぁガラハッドよ?」
ガラハッド「いや主よ、相手はそこを気にしている訳ではないと思うぞ」
ジェイク「そうかぃ?まぁいいや、俺たちはミスティオン、セレス一派の聖剣使いだ、
流石に一般人が通りそうな場所にこんな物騒なもんは放置しとけねぇんだよなぁ、
撤去、しといて貰えないかねぇ、お嬢さん方?」
伽子「断る。そもそも一般人が触れてどうにかなるシロモノじゃねぇからな」
ムカゼ「オレ様特別製爆弾だもんね」
伽子「うるせぇ、お前は黙ってろ」
ガラハッド「ふむ、なるほど、では一般人と担い手を識別する機能でも付いているのだろうか、
私がうっかり踏んでしまった時は問答無用で爆発したのだが」
ジェイク「俺が三歩後ろを歩く奥ゆかしい大和撫子じゃなかったら今頃お陀仏だぜ」
ガラハッド「アレを三歩というのなら何も言うまい」
伽子「あのバカはお前らだった訳か。ったく、仕事を増やしてくれる」
ムカゼ「あれ?ってか爆弾踏んでピンピンしてるっておかしくね?」
ガラハッド「ふむ、少し痛かったが、あの威力ならば鎧を着ていなくても問題は無いな」
ジェイク「相手さんが突っ込みたいのそこじゃねぇんだよなぁガラハッドよ」
ガラハッド「あぁ毒の事か、アレは良くない、普通の担い手なら三日三晩寝込むところだ」
伽子「耐毒スキルって所か。偉く厄介なのとぶち当たったもんだな」
ムカゼ「あっちゃー。めんどくさいねぇ」
伽子「んで、わかってるんだろうな。ムカゼ」
ムカゼ「はいはい。わかってますよーだ。3、2、1.ドン」
ガラハッド「うぉ!?」
ジェイク「っと、無事かガラハッド!」
ガラハッド「驚いたが問題ない、兵装招来、我が盾、ナイツオブホワイト、
相手に交戦の意思ありならば、防具だけでも着させて貰おう」
伽子「西洋の騎士様と来たか。心当たりは無いことは無いが。そうなると分が悪りぃな」
ムカゼ「じゃあ、どうするんだよぉ。逃げるとかオレ嫌なんですけど!やる気満々なんですけど!」
伽子「わかってるっての。・・・三段階目までなら許す」
ムカゼ「マジで!やりぃ!久々にやっちゃうか!」
ジェイク「おっと、交戦の意思はないって言ってたんだけどなぁ」
ガラハッド「主よ、今回は流石に無理があるぞ」
ジェイク「おぅ知ってるよ、剣よこしな、あ、俺はそっち行かねぇから」
ガラハッド「あぁ、その方が良い、選びし者よ、我らに探し出す力を、選定の剣(つるぎ)、ふっ!」
ジェイク「サンキュー、いつも通り前よろしくぅ」
ガラハッド「承った!」
ムカゼ「ありゃ、来ないんだってさ。残念だったね。伽子」
伽子「テメェと一緒にすんな。戦いたいならテメェとでやってろ」
ムカゼ「ちぇー。ってことで、あんたがオレの相手。伽子は傍観ってことなんだけど。オッケー?」
ガラハッド「主は戦わなくて良いと言う事か、願ってもない、オーケィだ」
ムカゼ「騎士道精神ってやつね。んじゃ、早速やりますか。災いは結び、吹き荒れ、火を起こす。・・・むかぜ丸の力。見せてやるよっ!」
ガラハッド「油断をしてはいけない相手だ、ならばこちらも剣の力を始めから解放させて貰おう、
選び定める運命よ、場を満たせ、そして我にその資格を見出せ!」
ムカゼ「ハァン?いい圧出すじゃねぇの。んじゃ、コレはどうかねぇ?小手試しだ。出でよ百足(ひゃくそく)!爆炎乱打!」
ガラハッド「ふっ!足下を救うのが得意とみたが、騎士とは開戦直後に駆け出す者!
一手遅い!はぁ!」
ムカゼ「おわっとと!ですよねぇー。まぁ、そう簡単にやられてたまるかってもんだ・・・なっ!」
ガラハッド「っと、視界が狭かろうと盾は死角になりえんぞ、日の本の騎士よ!」
ムカゼ「オレは騎士ってほど、心優しくはないんだけどねぇ?吠えな、むかぜ丸!」
ジェイク「いっ!こいつぁデイヴのバイオリンよりひでぇや、ガラハッド!」
ガラハッド「問題ない!小手先の、妨害なんぞ!」
ムカゼ「いってぇ!どつくのは卑怯だろ!」
伽子「れっきとした戦法だバカ。つぅか、遊んでねぇでまともに戦え」
ムカゼ「ひぃん。伽子ってば人使い荒いー」
伽子「うるせぇ!いいから前見ろっての!来てんぞ!」
ガラハッド「よそ見は厳禁だと、何度も言っている!」
ジェイク「そいつには初めてだぞガラハッドよ!」
ガラハッド「はぁあああ!」
ムカゼ「よっと!へへーん、心配すんなって伽子。オレ様ってば頭の後ろにも目が付いてるからさ!」
伽子「はぁ・・・わかったから私に絡むな。集中して戦え」
ムカゼ「あいよー!ってな感じで唸れ業火。超絶ムカゼ君爆炎斬!」
ガラハッド「む、大技か、ふっ!」
ジェイク「半分は技名じゃねぇよ!よく見ろ!」
ガラハッド「ぬ、大きく躱す程ではなかったか!」
ムカゼ「真面目すぎんだよ!そぉら!爆弾のおまけだ!」
ガラハッド「くっ!ブラフか、だがこの程度なら!」
ジェイク「おぉ、爆風に乗ったか、そのままやっちまいな!」
ガラハッド「うぉぉおおおお!」
ムカゼ「・・・ハッ!ば~か」
ガラハッド「ふっ、実体がないのは読めている!」
ムカゼ「ありゃ、ばれてましたか。んじゃー、今俺がどこにいるのかもお察しって訳かなー?」
ガラハッド「当然、そして武装が既に済んでいる事さえ、認識済み、だ!」
ムカゼ「あら。んじゃ、隠れてる必要ないねぇ。改めて、どうも。西洋の騎士さん」
ガラハッド「むっ、その姿、忍者か!?」
ジェイク「どっちかって言わなくても武将だなぁ!?」
ムカゼ「アッハハハハ!やっべぇ!伽子ォ!こいつらおもしれぇ!」
伽子「はいはいよかったな。んで、いつになったら終わるんだ?タバコ切れそうなんだが?」
ムカゼ「んー?わっかんねぇ!あ、備蓄ならポーチにいれてあるぜー?」
伽子「チッ、お気遣いどーも。つかいい加減終わらせろ、バカ!まだ、一段階目だろうが!」
ムカゼ「いやぁ、ちょーっと不細工になるしさぁ?」
伽子「いいから・・・やれ」
ムカゼ「あー。あれ、マジの顔だ。ってことで騎士サマ?ちょっとばかし化けモンになるけど気にしないでネ?」
ジェイク「っと、こいつぁ下がった方が良さそうだ、つーかやれるかガラハッドよ」
ガラハッド「化物退治など、ブリテンでは日常茶飯事だ!竜でも猪でもなんでも来い!」
ムカゼ「んじゃ。我が祖には執着と執念。来たれ災禍ッ!この身の内に!」
ガラハッド「ぬっ、スケルトンナイトと言ったところか、従来なら下級の使い魔と言ったところだが・・・」
ジェイク「看過出来るシロモノじゃぁねぇな、おい嬢ちゃん!」
伽子「あ?んだよ。オッサン」
ジェイク「目がブレてっけど、クスリじゃねぇよな?」
伽子「ンなモンやるかよ。つぅか、馴れ馴れしいんだよ。ハジくぞテメェ」
ジェイク「これで馴れ馴れしいって言われちゃ名前も呼べねぇぜ、
最近の若い子はおじさんに優しくないねぇ、あ、銃は止めときな、俺には勝てねぇぜ、
分かってんだろ?」
伽子「ちっ!ムカゼ!薙ぎ払え!」
ムカゼ「あいよー。んじゃ、耐えられたら褒めてやるよ、騎士サマ?混沌の種は災厄を呼び起こす。むかぜ丸三式・火流薙(かりゅうなぎ)」
ガラハッド「耐えれば良いのか、ならばお手の物。あらゆる不運を跳ね退けるは意思の力なり!
満たせ運命<サダメ>よ、壁となりて道を護りたまえ!」
ジェイク「おいお前・・・、そんな事出来たのか!」
ガラハッド「出来る!」
ジェイク「もっと早く言えバカ!」
ムカゼ「ったく、嫌になるねぇ!ホントにッ!」
伽子「・・・っく」
彩瑛「ポンちゃん!いっちゃってっ!」
ポンヤンペ「雷帝衝戟(らいていしょうげき)!」
ムカゼ「うぉっ!?」
ジェイク「このタイミングで横槍か!?」
ガラハッド「主、私の後ろに!」
ジェイク「もういる!」
彩瑛「よかった・・・間に合った」
ポンヤンペ「間に合ったようには見えんが。まぁ、互いに死んでないならいいんじゃないか?」
伽子「彩瑛か・・・要らん横槍を・・・」
ジェイク「彩瑛・・・ってぇと、赤坂さん所のか?」
彩瑛「あ、はい。赤坂彩瑛といいます。ミスティオン関西支部から・・・」
ジェイク「おぉ!そいつぁ良かった!俺はミスティオンアメリカ支部のジェイクだ!
もしかしてあちらさんと知り合いかね?」
彩瑛「はい。彼女は白鳳伽子さんといって、現状我々に協力していただいていて・・・」
伽子「慣れ合ってるつもりはねぇぞ、彩瑛。私はテメェが気に入ったから育ててやってるだけだ」
ムカゼ「おいおい、ペット扱いってか?」
伽子「アホか、そういう意味じゃねぇよ」
ジェイク「あーなんだ、どっちにしろ休戦って事でいいんだな?」
伽子「萎えた。終わりだムカゼ。とっとと戻れ」
ムカゼ「ちぇー。あーいよ。了解ぃ~」
ポンヤンペ「なるほど。お前も隠し種を持ってた訳か」
ムカゼ「おうよー。つってもこれでも半分も出てねぇけどな」
ガラハッド「ふむ、アレで半分か、全力で来られたら流石に破られるやもしれぬな」
ジェイク「んー、なぁ彩瑛ちゃん、ちょっといいかい?」
彩瑛「はい。なんでしょう。あ、というか、は、初めまして。えと、その・・・」
ポンヤンペ「なぁ、サエ。今更照れるところか?」
彩瑛「いや、あのコレは不可抗力だから!」
ジェイク「お、こんなおじさんで照れてくれるなんて嬉しいねぇ、
って言ってるアレじゃねぇな、あんたから見てあの子はいつも通りかい?」
彩瑛「え?あ、はい。いつも通りだと思いますけど・・・」
伽子「あ?なんだ。私の顔になんか付いてるか?」
ムカゼ「キャー、目つきわるーい。とか言われてんじゃね?」
伽子「ぶっとばすぞ、ムカゼ」
ムカゼ「なんで俺!?」
ポンヤンペ「はいはい、わかったからちょっと黙ってろ。ムカゼ」
ジェイク「んー、そうか、まぁ傍目から見りゃそうだよなぁ」
ガラハッド「主にも見えるのだろうか、アレが」
ジェイク「あ?お前さんにも分かるか」
ガラハッド「あぁ、彼女の体には良くない物が残っている」
ジェイク「ほぅ、じゃあ俺の目に狂いはなさそうか」
彩瑛「えっと、それはどういう・・・?」
伽子「なぁ、そこでひそひそ話は良いんだがよ。いい加減帰っていいか?だるいんだが?」
彩瑛「あ、そうですね。じゃあ、一先ず戻りましょうか」
ガラハッド「む、まだ話が終わって・・・」
ジェイク「んじゃあおじさんも同伴させてもらうとするかねぇ!」
伽子「断る。ウチになんでこんな胡散臭い奴を入れねぇといけねぇんだ」
ポンヤンペ「まぁ、落ち着け、カコ。この者はこんな体(てい)だが、信用できる奴だ。
それに、ともすれば、お前の仇の話を知ってるかもしれないぞ?」
伽子「・・・本当か?」
ジェイク「情報が足りなさすぎて本当だとも知らんとも言えんがな」
ポンヤンペ「さぁ、どうする?ここで帰して情報源をフイにするか、少々の精神的苦痛を我慢して情報を手に入れるか」
伽子「チッ、わぁったよ。ついて来い」
彩瑛「じゃあ、決まりですね」
ジェイク「んー、可愛い女の子の助け船程嬉しい物はないねぇ」
ガラハッド「フォロー感謝する、ポンチャン殿」
ポンヤンペ「なっ・・・!?ぽ、ポンちゃん殿・・・!?」
彩瑛「あはははっ!いいじゃん!ポンちゃん殿。可愛い」
ポンヤンペ「よくない!!オレにはポンヤンペというれっきとした名前が・・・」
伽子「置いてくぞお前ら」
ムカゼ「ほらほらー急いで急いでポンちゃんど・の」
ポンヤンペ「ムカゼ!テメェぶっ飛ばすっ!」
ガラハッド「主よ、私は何か悪い事を言っただろうか・・・・?」
ジェイク「あっはっはっは!良い、今日一番面白いぞガラハッドよ!勲章物だ!」
ガラハッド「流石にそれは馬鹿にされてると分かるぞ・・・!」
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伽子「んで?テメェはどこの馬の骨さんですかねぇ?ウチまでズケズケ入ってきたんだ。
しっかり教えてもらわねぇと、ここで死ぬことになるぞ?」
ジェイク「ジャパニーズマフィアは物騒だねぇ、まぁ別に隠す気はねぇし、しっかりお答えしようか、
俺ぁミスティオンアメリカ支部のジェイク・アクランドだ、んでこっちが・・・」
ガラハッド「アーサー王が円卓の騎士、ガラハッドだ、以後よろしく」
伽子「・・・あー、頭痛くなってきた」
彩瑛「だ、大丈夫ですか?頭痛薬でも持って来ましょうか・・・?」
伽子「そうじゃねぇよ。ったく、コイツ、マジで馬鹿じゃねぇか?」
ポンヤンペ「ん?どういう意味だ?」
伽子「コイツはな。私と会った直後から担い手の真名をばらしてたんだよ!・・・ブラフと思って流してたが、本当だったとはな」
ジェイク「隠す必要があるか?ガラハッドは分かる人には分かるビッグネームだが、
その存在を知ったからと言って弱点を突かれるような奴じゃねぇし」
ガラハッド「何に強いかは分かったとて、何に弱いかはバレぬ自信がある」
ジェイク「お前さんは酒に弱い」
ガラハッド「主が強すぎるのだ!」
伽子「あのなぁ?弱点がどうの、勝てるかどうのの話じゃねぇんだよ。いいか?真名がわかれば対策を練られる。
弱点を突くに至らなくても、『自分が勝ち残る算段』を相手は考えるんだよ」
ポンヤンペ「つまり、敬遠や、もしくは他の手順で排除しようと目論みやすくなる。ということか」
伽子「そういうことだ。・・・まぁ、どうせ言ったところで聞きゃしねぇんだろうけどな」
ジェイク「おぅよ、手段選ばなきゃ勝つのは俺だからな」
伽子「わりぃ彩瑛。私の部屋にある銃持ってきてもらえるか?今すぐコイツの眉間に風穴開けてやる」
彩瑛「お、抑えて抑えて。ジェイクさんは決して悪気があって言ってるわけじゃない・・・と思います」
ポンヤンペ「ほら、ムカゼからもなんとか言ってやれ」
ムカゼ「んあ?あー、伽ァ子、ファーイト☆」
伽子「ホウ酸団子食わすぞムカゼ」
ムカゼ「あはー、それは勘弁」
ポンヤンペ「話を振ったオレがばかだった・・・。ときに、ジェイク殿。我々にコンタクトを取ってきたのは何故(なにゆえ)に?」
ジェイク「どっから話したもんか、まぁ誤解を招きそうな所は省くか?」
ガラハッド「いや、私はそこも話した方が良いと思う、先に刺激をしたのは我々だからな」
ジェイク「そうかぃ?んじゃそこからだ、俺たちはセレスの陣営に仲間を増やす為に動いてる、
聖剣魔剣関係なくな、だからまずは敵味方判別する為に極力多くの担い手と接触するようにしてるんだ」
ガラハッド「その旅路の最中(さなか)、厄災のような気配を感じ取ったのだ、
敵ならば叩かねばならぬし、敵でないのであれば話合う必要があると思った次第」
ジェイク「これが一番最初の理由だ」
伽子「要はリクルーターって訳か」
彩瑛「まぁ、端的に言ってしまえばそういうことかと」
伽子「ま、だが。私がコイツに言える言葉はただ一つだ『とっとと失せろ』」
ジェイク「安心してくれよ、おま・・・、んー、伽子さん?を勧誘しようなんてこれっぽっちも思ってない」
彩瑛「えっ、そうなんですか!?私はてっきり・・・」
ポンヤンペ「オレはそうじゃないかと思ってたがな」
ジェイク「少し話しゃ分かる、仲間になってくれるかくれないかくらいな、
そうだろうガラハッドよ?」
ガラハッド「それは主だけかと」
ジェイク「慣れろ慣れろ、まぁだから敵にならないでくれればいい、
伽子さんもちょっかい掛けられなきゃ喧嘩しない口だろ?」
伽子「ハッ、生憎と低血圧なモンでね。面倒は嫌いなんだ。吹っ掛けられても、うまみがねぇんなら手は出さねぇ」
ジェイク「おぅ、なら大丈夫だ、じゃあそれはそういう事で、んでそれはそれで、
こっちの一個目は終わったからそっちに益のある話だ」
伽子「彩瑛。コイツはどこまで知ってる?」
彩瑛「たぶん、大体の事は知ってるかと」
伽子「へぇ?つまり、コイツの上にはあの『片腕ヤロウ』も絡んでるのか」
ポンヤンペ「その言い方は少々無礼ではないか?」
伽子「いいんだよ。面と向かって言ってるんじゃねぇし。そもそも、私はアイツの事は気に入らねぇからな」
彩瑛「あ、アハハハ・・・。えっと、ジェイクさん。白鳳組(はくほうぐみ)の事は・・・」
ジェイク「組長がこの戦いで・・・って話か?」
彩瑛「はい。その通りです。それで、こちらの伽子さんがその組長さんの娘さんで・・・」
伽子「まだるっこしいな。単刀直入に聞く。東条辰則(とうじょう たつのり)ってやつを知ってるか?」
ポンヤンペ「さっそく本題って訳か」
ジェイク「顔見知りだ、なんなら写真もある、今いる場所は知らねぇがな」
伽子「ほう?」
ポンヤンペ「ほら、アタリ。だな?」
伽子「そのしたり顔は気に入らないが、まぁいい。ジェイク、だったか?ソイツのナリが分かる物は手に入るか?」
ジェイク「俺が持ってるあいつの写真は少し古いが、渡せるぜ」
ガラハッド「主よ、その者は知り合いなのだろう、良いのか、殺されてしまうのかもしれないのだぞ」
ジェイク「ガラハッドよ、お前さんが言いたい事は分かる、がこういう場ではフラットであるべきだ、
そうだろう、カコ・ハクホウ?」
伽子「ま、そりゃあな。あくまでここは交渉の場だ。そこに私情を挟んだら足元を見られて『デッドエンド』って訳だ」
彩瑛「あくまで、情報交換ということですね」
ジェイク「そういう事だ、ガラハッド、その純粋さはお前さんの良い所だ、
だから汚れ仕事は俺に任せておけ、いいな?」
ガラハッド「・・・イエス、マイマスター」
ジェイク「すまねぇな、野暮な話挟んじまって、まぁ古いっつっても成人後だ、
大きくは変わっちゃねぇだろうよ」
伽子「十分だ」
ポンヤンペ「ほう?それだけでいいのか?」
伽子「ここら辺が釣り合うだろ?こっちの戦力調査とイーブンにするならな」
ジェイク「これで手打ちにしてくれるってんなら安いもんだろ、
流石に持ち歩いちゃいねぇからな、戻ったら送る、指定の場所がありゃ教えてくれ」
伽子「ここは足が付く可能性があるからな。・・・「スリーピィ・ホロウ」ってバーがある。
そこに送ってくれ。住所やらなにやらは後で知らせる」
ポンヤンペ「では、これで終い。でいいか?互いに」
ジェイク「んー、少しだけおじさん、伽子ちゃんと二人っきりでお話ししたい事があるんだよなぁ」
伽子「あ?私にはねぇんだがな」
彩瑛「あの、伽子さんになくともジェイクさんにはあるってことじゃ・・・」
ポンヤンペ「ふむ。では、我々は席をはずそうか。いくぞ、彩瑛」
彩瑛「あ、うん。じゃあ、ごゆっくり」
伽子「はぁ・・・んで?話したい事ってなんだよ」
ジェイク「ガラハッド、お前さんもだ」
ガラハッド「それでは主を護れなく・・・」
ジェイク「俺ぁ二人っきりで話したいつったんだ」
ガラハッド「・・・分かった、主は危うい所がある、生きて帰ってくるのだぞ」
ジェイク「あはは、そんな物騒な話はしねぇよ、ほら」
ガラハッド「では失礼する」
伽子「本格的にサシって訳?んで?何が気になってんだよ」
ジェイク「出来たらムカゼ君も外して貰えるとありがてぇなぁって思うんだが、
それはやっぱり難しいかぃ?」
ムカゼ「ちっ、気配消してたのにバレてたか。あいあいわかりましたよ。ポンちゃんたちとあそんでこよーっと」
ジェイク「単刀直入に言うぞ、体、万全じゃないだろ」
伽子「・・・あ?」
ジェイク「ガラハッドはな、力に敏感だ、んで俺は人の機微に敏感だ、
この二人が言うんだ、間違いない」
伽子「・・・ハッ。何を言うかと思えば。残念だったな。私は万全だ。むしろ今までにないくらいにな。節穴だったんじゃねぇか?」
ジェイク「眠剤飲まねぇと寝れねぇ奴が万全?よく言うぜ」
伽子「さてね。なんのことだかさっぱりだ」
ジェイク「残念ながら見ちまったんだよなぁ、さっき家の中でさ」
伽子「・・・手癖が悪いにも程があるな」
ジェイク「原因に心当たりがない訳じゃないだろ?」
伽子「はぁ・・・。解ってるよ。ムカゼの事だろ」
ジェイク「分かってるなら良いんだ、大丈夫だとは思うが用法用量は間違えるな、
あんたの腕なら復讐は果たせるだろうが、その前に正気を失っちゃ世話ねぇ」
伽子「小言がうるせぇよ。テメェは私のオヤジか」
ジェイク「ははは、年寄りのお節介みてぇなもんだ、悪い事は言わねぇあいつは止めとけだとか、
復讐なんざするもんじゃねぇなんて言わねぇ、長く付き合う方法を考えた方が建設的だろ」
伽子「・・・わぁってるよ。ただ、どうにも、な。頭の中で叫んで止まらないんだよ。殺せ!壊せ!憎めってな!」
ジェイク「あいつ曰く魔剣の力が体に溜まってるらしい、
人の力でどうにか出来るもんじゃねぇとは思う」
伽子「人を狂わす魔剣とはよく言ったもんだよ。私まで食い尽くすつもりとはな」
ジェイク「聖剣魔剣関わらず契約者に影響を与えるモンは結構ある、
アレは特級品だがな、まぁそれはあんたが一番よく知ってるだろうが」
伽子「まぁな。毒を食らわば皿までだ。最後まで使い抜いてやるよ。・・・つーか、どうしてテメェはこうもズケズケと人の内側に入ってくるんだ」
ジェイク「タダのお節介、ってのと困ってる女がいると放っておけないんだ」
伽子「紳士的なお節介どうも。地獄に落ちやがれ」
ジェイク「あっはっは!地獄は飽きる程見てきたつもりなんだがなぁ!
生憎と今地獄見てる真っ最中なんだわ!」
伽子「そうかい。んじゃ、せいぜいその苦しみが長く続きますように」
ジェイク「まぁ嫌でも長続きするだろうさ、魔剣が絡んでる以上な、
っとそうだ、これ、多分今飲んでる薬よりは効くだろうよ、薬局で処方して貰ってくれ」
伽子「・・・あんた。ホントに何者だ?」
ジェイク「タダのお節介なおじさんかね?」
伽子「そうかい。んじゃ、話はここまでだ。奴らの所に行くかね」
ジェイク「おぅ、そうだな」
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彩瑛「いぃぃ痛い痛い痛いっ!むり!無理だから!それ以上曲がらないからっ!」
ガラハッド「これくらいは出来ないと戦いで怪我をしてしまう、それにまだ、大丈夫だ」
彩瑛「死ぬっ!無理!ほんっと・・・うぐっ!」
ムカゼ「おい、なんか潰れたカエルみたいな声したけど大丈夫か?」
ガラハッド「問題ない、ゆっくり戻すから息をゆっくり吸うのだぞ」
彩瑛「は・・・はふ・・・」
ポンヤンペ「んー。やはり柔軟性が足りないか・・・」
ムカゼ「いや、回復とかしてやった方がいいんじゃねぇか?」
ガラハッド「加減はしているし、ダメな感触はなかった、問題はないはずだ」
ポンヤンペ「それに。今後残るのはこれ以上の力を持った剣だ。それの太刀を避けられなければ意味はないからな」
彩瑛「死んだ・・・私、今死んだ・・・」
ムカゼ「おーい、嬢ちゃん。傷は深いぞ。安心しろ~」
ガラハッド「何を言っている、私が円卓で育てられた時はこんな物ではなかった、
持てば死ぬと言われる盾を渡され、抜けば死ぬと言われた剣を抜き・・・」
ポンヤンペ「うむ。わかるぞ。オレも、昼には熊と鮭を奪い合い、夜には狼と・・・」
彩瑛「わかった、わかったから。とりあえず・・・みんな基準で私を育てようとするのはやめてくれない!?私泣きそうなんだけど!?」
ガラハッド「大丈夫だ、ちゃんと人間大にスケールダウンしているつもりだぞ」
ムカゼ「してねぇんだよなぁ・・・」
伽子「おい。何やってんだお前ら」
ジェイク「ガァラハッドゥ、てめぇ女の子虐めるたぁ、いい度胸だなぁ」
ガラハッド「は、いや、主よ、これはトレーニングをしているだけで・・・」
ジェイク「問答無用!」
ガラハッド「うぉ!?ま、待ってくれ主よー!?」
伽子「ったく。なにやってんだ。・・・ムカゼ」
ムカゼ「んー?なぁにぃ?伽子ぉ」
伽子「・・・いや、なんでもねぇ。気にするな」
ムカゼ「ハッ!ついに伽子が俺にデレた!?これはゴールインフラグ待ったな・・・ごふっ!?」
伽子「ぶっ飛ばすぞ」
ポンヤンペ「・・・ぶっ飛ばしてから、言ってるのに気付いてるか?」
彩瑛「ポンちゃん。つっこんじゃダメ」
to be continued...
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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w
こちらの台本はコンピレーション企画「Arc Jihad(アークジハード)」にて
書かせて頂いたものです。
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