Arc Jihad(アークジハード)-知恵の騎士- 作者:秋鹿珠之助


登場人物 3:2:0

アキト:♂
 両親が亡くなってしまい妹と生活している。
 高校を中退してフリーターをしている。
 妹の事になると熱くなってしまう。


フィン・マックール:♀
 異世界から来た金髪美女。
 前の世界ではフィアナ騎士団の団長をしていた。
 口調がなんか騎士っぽい。


シン:♂
 シンはあだ名で本当の名前は「シンタロウ」。
 アキトの幼馴染。アキトと同じく両親がいない。
 昔の自分を嫌っている。ヤンキー口調。


クー・フーリン:♂
 異世界から来た黒髪イケメン。
 昔はフィンと同じ勢力にいたのだが…なぜか敵勢力にいる。
 基本面倒くさがりだが、戦いを好む。


ミホ:♀
 アキトの実の妹。
 アキトが働いているお陰で高校に通っている女子高生。
 大事な事なのでもう一度言う。実の妹。



役表
 アキト♂:
 フィン♀:
 シン♂:
 クー♂:
 ミホ♀:


本編


アキト
 zzz…(むにゃむにゃ)


フィン
 私の声が聞こえますか?

 聞こえたら返事をしてください


アキト
 ん…?ミホか…?

 起きるのにチューしてくれないと…起きないよー…


フィン
 なっ…もうこんな時間だっていうのに…

 起きなさああああい!!


アキト
 ぎゃっ!!

 おいミホ!今日はバイトが休みなんだから、もう少し寝かせ…て…


フィン
 やっと起きましたか。


アキト
 金髪美人が浮いてる…


フィン
 それより貴方!


アキト
 は、はい!!


フィン
 私が見えているんですね。


アキト
 な、何を言って?


ミホ
 アキにぃ?起きてるのぉ?

 珍しー。いつも私が起こさないと起きないのに


アキト
 み、ミホ!!

 この空飛ぶ金髪美人が見えないのか!?


ミホ
 …キモッ。

 漫画の見すぎなんじゃないの?

 寝ぼけてないでさっさと起きてきてよね…。

 そんな事より朝ごはん作ってよ。

 私お腹すいたー。


アキト
 …


フィン
 今の私は他の人には見えないんですよ。


アキト
 じゃ、じゃあ俺はどうしてアンタが見えるんだ??

 アンタはミホが言ってたように俺の妄想なんじゃないのか??


フィン
 私は貴方の妄想なんかではありません。


アキト
 いいや!ミホが妄想だっていうなら妄想なんだ!!

 俺の妄想じゃないっていうなら、アンタは一体何者なんだ!?


フィン
 そうですね…貴方達でいう異世界から来た存在…でしょうか。

 あと、私の名前はアンタではありません。

 私の名はフィン・マックール。フィンとお呼びください。


アキト
 あ、あぁ…すみません。私はアキトと申します…

 って自己紹介じゃなくてさ!!

 異世界ってなんだよ!?


フィン
 えぇ。私はこの世界とは別の世界から来ました。

 私が見えるのは、貴方が私の適合者だからです。


アキト
 いや意味わかんねーし!!


フィン
 簡単に言えば、私の事が見えて私の武器が使えるってことです。


アキト
 ちゃんと話きいてるか!?

 …って今武器って言ったか??


フィン
 えぇ。私の剣(つるぎ)、マック・ア・ルインです。


アキト
 いや。俺は戦わなねぇから武器なんて使わないし、

 あと俺の可愛い妹の為に朝食をつくってあげないといけないの!!


フィン
 いえ、使わなくてはいけないのです。


アキト
 だから話を聞けって!!

 ってもういいや…聞いてやるから早くすませろよ…


フィン
 ありがとうございます。

 そういえば私がこの世界に来た理由を言ってませんでしたね。

 私達はある敵対勢力から私達の世界と、貴方達がいる世界を守る為にやってきたのです。


アキト
 世界を守る…ってわけわかんねぇよ!


フィン
 いきなりこんな事を言われても無理はありませんね…

 お願いです。私と世界を守るため私と契約を?


アキト
 断る!!!


フィン
 な…世界に危険が訪れようとしているのですよ!?


アキト
 そんな事を言われても…俺にはこの家を守る義務があるんだ!

 両親が二年前死別してからずっと。妹のミホを学校に行かせるのにも金がいるし…

 俺がバイトしないと生きていけないんだよ。

 あと大事な事だからもう一度いうが、

 俺の??可愛い″妹がお腹を空かせて俺の朝食を待ってるんだ!

 この話は終わり!!じゃな!!


フィン
 あ、待って下さい!!

 …あの人…アキトさんでしたか…

 やっと見つけた適合者…必ず契約してみせます。

 それまでここにお世話になってもいいですよね…。


間を空ける


アキト
 すまんな今から作るよ


ミホ
 遅いからもう食べちゃった。

 学校行ってくるね


アキト
 あぁ。ってか朝食くらい自分でも作れるんだから

 わざわざ起こしにくるなよ。

 あ、わかったぁ!お兄ちゃんと一緒にご飯食べたかったんだろぉ?


ミホ
 うるさい。


アキト
 素直じゃないんだから…。


ミホ
 無視、無視。

 あ、今日休みでしょ?

 ちょっと買いたい物があるから…

 帰りに一緒に来て荷物もってくれない?


アキト
 休みくらいゆっくりさせてくれよ…

 あ、そろそろシンが迎えに来るんじゃないのか?

 どーせ帰りも送り迎えしてくれるんだし、そん時一緒にいけばいいじゃねぇか。

 それとも、お兄ちゃんとお出かけしたかったのかぁ?


ミホ
 え?あぁ…そうだね。


アキト
 ん?何かあったのか?


ミホ
 んー…何か最近シンちゃん。変なんだよね…


アキト
 へん?


ミホ
 何て言うか…ちょっと怖い。


アキト
 ん?そうなのか?

 毎日お前を送り迎えしてるから見てるけど…そんな風には見えないぞ?


ミホ
 …そうだね。私の勘違いかも!


シン
 おーい。迎えに来たぞー。


アキト
 噂をすれば…おいシン!

 ちゃんとインターホン押してから来いって何度言えばわかんだよ!!


シン
 まぁいいじゃねぇかよ!

 昔からそうしてたんだし、いいじゃねぇか!


アキト
 ったく…


ミホ
 あ、じゃあ行ってくるね…


アキト
 行ってらっしゃい。最近ここらへんで通り魔が出てるらしいから気をつけろよ。

 あ、そうだシン


シン
 ん?


アキト
 ミホと何かあったのか?


シン
 え?何もないけど?

 それにミホちゃんと何かあったらお前が許さねぇだろ


アキト
 まぁそうだけどよ。

 …ミホがお前の事少し変わったって言っててな。


シン
 …俺は昔から変わってないぞ。


アキト
 まぁそうなんだけどよ。

 何かあったら言ってくれよ。ダチなんだから


シン
 心配してくれてありがとよ。

 じゃあ行ってくるな


アキト
 あぁ。まぁ心配ないと思うけど

 お前も通り魔に気をつけろよ?


シン
 …わかってるよ。


フィン
 …あの青年は?


アキト
 ん?あぁ幼馴染のシンタロウ。

 あだ名はシンって言うんだよ。

 …っていつから居たんだよ!!


フィン
 そうですか…何か邪悪な気配がしたもので…

 あの青年の強大な邪気で

 私が身を隠してしまうほどですから。


アキト
 本当にお前は話聞かないな…

 まぁアイツも色々あったからな。

 中学の頃はよく喧嘩してたし。

 …何自分の妄想と話てるんだろ。


フィン
 …気のせいだといいのですが…


間を空ける


アキト
 別に学校まで着いてこなくてもいんだぞ?


フィン
 いえ。

 騎士たるもの、常に守る対象と一緒にいなくてはいけません。


アキト
 守るって…

 それで、今朝言ってた契約の話だけど?


フィン
 契約してくれるのですか!?


アキト
 いや、しないけどさ。

 …やっぱり怪我とかしちゃうのか?


フィン
 良くて怪我。悪くて死にますね。


アキト
 …。


フィン
 い、いえ!!アキトさんは私がいるから大丈夫ですって!!

 それに…もし私達が負けてしまうと、犯罪が許される世界になってしまうんですよ。

 そんな世界になったら…アキトさんの大切な物も奪われてしまうかもしれません。


アキト
 …もう少し考えさせてくれ。

 痛いのも死ぬのも嫌だけど…ミホが危険な目に合うほうが嫌だからな…


フィン
 契約してくれるんですね!!


アキト
 だから考えさせてくれって言ってるだろ!!

 それにしてもミホ遅いなぁ…

 あ、メール来てた。


フィン
 メール?


アキト
 あぁ、ケータイって言う通話をする機械で、手紙がとどくんだよ。

 えっと…『シンちゃんと帰る事になったよ』

 ってまじかよ…


フィン
 なるほど。私達の世界では、科学が廃れて。魔法が繁栄されましたから…

 こういう便利な物は初めてみました…。


アキト
 便利って、魔法のほうが便利っぽいけどな。

 機械にたよらないでできるわけだし


フィン
 いえ、魔法だと人によって使えませんし

 ですが機械は全ての人が使えるので、便利ですよ。


アキト
 あぁ、そういうもんか…

 ん?今度は電話か…もしもしミホ?


ミホ
 アキにぃ助けて!!


アキト
 !? ミホどうしたんだ!?


ミホ
 シンちゃんが急に襲ってきて…

 今隠れてるの。助けて!!


アキト
 ミホ!今どこにいるんだ!?


ミホ
 助けて助けて助けて…!


シン
 みーつけた。


アキト
 !?

 ミホ!!今どこにいるんだ!!…っ!切れてやがった…


フィン
 どうしました?


アキト
 ミホが…ミホが…!

 くそっ!!どこにいんだよ…


フィン
 落ち着いてください!

 何があったんですか!?


アキト
 落ち着いてなんていられねぇんだよ!!


フィン
 いいですか?

 落ち着かなければ、解決できるものもできませんよ

 だから落ち着いてください。


アキト
 …ミホがシンに襲われた…

 でも…場所がわからないんだ…くそっ…


フィン
 …


アキト
 こんな時に指なんて咥えて?


フィン
 (指を咥えながら)申し訳ありません。こうしなければ知恵の魚の力が使えないもので


アキト
 知恵の…魚?


フィン
 (指を咥えながら)知恵の魚とは食べれば世界中の知恵を手に入れることができる魚なんです。

 (指を離す)妹さんの居場所がわかりました。


アキト
 なっ…どこにいるんだ!!


フィン
 今朝妹さんが言っていた場所にいるはずです

 買い物ができる場所…しょっぴんぐもーる?


アキト
 ショッピングモールか!


フィン
 そこです!!急ぎましょう


アキト
 なんか俺の妄想すげぇな…

 お、おう!!


間を空ける


シン
 どうして逃げたりしたんだ?


ミホ
 だ…誰だって逃げたくなるわよ…


シン
 俺が怖いのか?

 昔からの長い付き合いじゃねぇか


ミホ
 貴方は…貴方は一体誰なの!?


シン
 誰って…シンタロウ?


ミホ
 私の知ってるシンちゃんは私を襲ったりしない!!


シン
 …プッ…(狂笑)


ミホ
 !? な、何がそんなに可笑しいの!?


シン
 いやいや…やっぱり長い付き合いだとバレちゃうか…

 アキトは気づいて無いみたいだけど…

 あぁ、アイツは頭悪いから仕方ないか。


ミホ
 だから貴方は誰なの!?

 本物のシンちゃんは、何処にいるの!?


シン
 本物?本物のシンタロウって言うのは一体どんな人間なんだ?

 親に捨てられながらも健気(けなげ)に生きている俺か?

 そんな人間、いるわけねぇだろ!!


ミホ
 ひっ…


シン
 いいか?俺らみたいのは世間から見たらゴミみたいに見られてんだよ!!

 そんな世の中を変える為に、俺はこの世の人間を殺し続けるんだ!!!


ミホ
 そんな事…そんな事しても誰も幸せになんてならないよ!!


シン
 幸せ?そんな物俺が全て奪ってやる!!

 クー・フーリン!!姿を現せ!!


クー
 (欠伸)ったく面倒くせぇな…


ミホ
 !? 人が急に現れ…


クー
 一般人はまだ殺すなって。何度言えばわかんだよ…

 まぁ女が恐怖する顔が見れるのは嬉しいがな。


シン
 ゲイボルグを…


クー
 はいはい…

 『出でよ我が無限の稲妻…ゲイボルグ!!』


ミホ
 やり…?


シン
 そうだ。これで幾つもの命を絶ってきた…

 このゲイボルグで…君の命を奪い、俺の過去を無くす!!


ミホ
 助けて…アキにぃ…アキにぃぃぃぃ!!


アキト
 ミホ!!!


ミホ
 アキにぃ!!

 来てくれたんだ…ね…。


アキト
 シン…てめぇ…


シン
 早かったな…

 ミホちゃんを殺してからお前を殺すつもりだったが…

 お前から先に殺してやるよ


フィン
 やはり…あの青年は…

 アキトさん!今すぐ私と契約しなさい!!

 彼は担い手(にないて)と契約しています!!


アキト
 うるせぇ!!またわけわからねぇ事言いやがって!!

 妄想は引っ込んでろ!!


フィン
 いいから聞きなさい!!

 担い手とは私達のような異世界から来た人間の事です。

 彼が持っている槍は…私のよく知っている人物の物です…


シン
 なるほどねぇ…お前にもクー・フーリンみたいな異世界人がついているのか。


クー
 そのようだな…まだ契約してはいないみたいだが…

 誰だろうと俺には敵いやしねぇさ。


シン
 ほら、契約して俺と戦えよ。

 ゴミ同士仲良く殺し合いも。悪くねぇよな…


アキト
 シンにはフィンが見えて…。

 …妄想じゃなかったのか…。


シン
 どうした?早く契約しろよ。

 …早くしろ!!!


フィン
 アキトさん…

 私と契約して今の生活を失うという恐怖もわかります。

 ですが大切な物を守る為に戦わなければならない時もあるのです…


アキト
 いや…確かにそうだけどよ。

 本当にお前は現実にいるんだなーって思ってな…

 …ミホと平和に暮らすため。

 契約してやる…ミホを守る為に、世界を救ってやる!!


フィン
 …よく決心してくれました…。

 この剣を御取りください。

 『来たれ一振りの流星!マック・ア・ルイン!!』


アキト
 …取ればいんだな?


フィン
 はい。

 この剣を持てば契約成立となります。


アキト
 …っ

 剣って重いと思ってたけど…

 案外軽いんだな。


シン
 ったく待たせやがって…

 それじゃあ、仲良く殺し合うか!!

 おらぁ!!


アキト
 っ!?


フィン
 アキトさん!!


クー
 よぉ。元気にしてたか?

 フィアナ騎士団長。


フィン
 …お久しぶりです。

 雰囲気が随分お変わりましたね。


クー
 勢力が変われば雰囲気なんてあっという間に変わっちまうさ。


フィン
 …貴方は素晴らしい英雄だった…

 フィアナ騎士団ができたのも…貴方のお陰だ。


クー
 人間なんざ女一人で破滅しちまうもんさ。

 じゃあ適合者だけに戦わせるのも詰まらねぇし。

 俺たちも殺りあうか。


フィン
 …貴方をこれ以上堕とさぬ為に…

 私は貴方を倒す!!


クー
 クックック…

 そうこなくては…な!!


フィン
 くっ!

 なんて重い一撃なんだ…!


クー
 ほう…ゲイボルグの一撃を受け止めたか…

 全てを貫く、この槍の名が泣いちまうぜ。

 流石は神の血筋ってところか


フィン
 …そんな貴方も…クランの猟犬の名は伊達ではありませんね。


クー
 ただの昔の名だ。


シン
 おいクー・フーリン!

 遊んでないで戦え!!


フィン
 あ…。

 アキトさん大丈夫ですか!?


アキト
 今俺の事忘れてたろ…

 少し足をやられただけだから…大丈夫だ。


フィン
 っ!?

 早く治療を!!


クー
 無駄だ。

 ゲイボルグで傷ついた身体は治る事はない。


シン
 そういう事だ。

 アキト、ここまで戦ったお前を称賛してコイツで殺してやるよ。

 クー・フーリン!!


クー
 ったく担い手扱いが悪い適合者様だぜ…

 『我が契約者と共に、戦う力を!』


シン
 『マージ・ウェイク!!』


アキト
 なっ…人が武器の中に入った!?


フィン
 担い手は武器とシンクロし、適合者と共に戦うことができるのです…


アキト
 だったら俺たちも?


フィン
 しかしマージウェイクは担い手と適合者の、信頼がなければできません…。

 今の私達では…できるかどうか…。


アキト
 信頼…


シン
 お前には無理な事だよなぁ?

 信頼なんて事はよぉ!!


アキト
 …そうかもしれないな。

 だけど…コイツは俺を信頼して俺と契約してくれた。

 俺が必ず。契約するはずだと…!


シン
 !?

 アイツの剣が青白く光って…!


アキト
 妹を守る為に俺に力をくれた人間を…

 信頼しないでどうするんだよぉぉ!!

 やるぞ??フィン″!!


フィン
 …わかりましたアキトさん…

 いえ、アキト!!

 『我が契約者と共に、戦う力を!』


アキト
 『マージ・ウェイク!!』


シン
 なんて強い光だ…それに剣が変形して槍に…

 おい!…適合者が手に入れる武器は一つまでじゃなかったのかよ!!


クー
 その通りだ。だがマック・ア・ルインの意味は「槍の息子」。

 つまりあれが奴らの本当の武器の形ってことだ。


シン
 なんだと!!

 じゃあ奴らの武器は…


クー
 …剣と槍。二つの武器がある事になるな…


シン
 …。

 クー・フーリン。


クー
 わかってる。

 本気で行くぞ。


アキト
 …頭の中に何かが流れ込んでくる…

 武器が変形しても…なぜか納得できちまう…


フィン
 私にも…アキトの心が伝わってきます…

 なんて居心地がよいのでしょうか…


アキト
 あの技でいいんだよな?


フィン
 …はい。


クー
 『我が槍は稲妻!!投げれば敵を必ず貫く無数の稲妻なり!!」


シン
 『雷の投擲(ガイ・ボルガ)!!』


フィン
 『我が剣は流星!!そしてこの剣、我が一族を守りし宝剣!!』


アキト
 『銀色の腕の血族(アガー・トラーム・ダーナ)!!』


シン
 黒焦げになれぇぇぇぇぇぇ!!


アキト
 フィン!今だ!!


フィン
 はい!!

 ブラン!スコーラン!!


クー
 何!!気泡が二つに分かれただと!?


フィン
 貴方と正面から戦っても勝ち目は無いでしょう。

 ならば、私の従弟の一人に貴方の槍を受けてもらい

 もう一方で武器を離した適合者を倒すしかありません!!

 行きなさいスコーラン!!


クー
 くっ…戻れるか…

 いや、戻って見せる!!

 うおおおおお!!!


アキト
 やったか!?


シン
 …。


クー
 ハァ…ハァ…。


アキト
 なんて野郎だ…

 フィン、まだ打てるか?


フィン
 いえ、全力を出した一撃でしたので、出せません…

 それにあの技は二度目は通用しないでしょう…


シン
 クソがぁ…おいクー・フーリン!!

 もう一度放つぞ!!


クー
 …駄目だ。

 マージ・ウェイクは適合者の負担がでかすぎる。

 連続であんなデカい技を出したら俺にまで負担がかかる。


シン
 …どうしても駄目か。


クー
 そしたらお前を殺して次の適合者を探してやる。


シン
 …わかった。

 おいアキト!!

 この勝負、今回は引き分けにしておいてやる!!

 だが、次こそは…お前を殺して俺の過去を無くす!!

 それまでに首を洗っておくんだな!!


アキト
 …次もある…の…か…。


フィン
 アキト…?

 アキト!!


間を空ける


アキト
 ん…ここは…俺の部屋か?


ミホ
 アキにぃ!!

 気が付いたんだね!?


アキト
 ミホ…?

 大丈夫だったか…?


ミホ
 この…馬鹿!!!

 私を置いて死んじゃうんじゃないかと思ったじゃない!!


アキト
 そんなこと…あるわけねぇだろ…。

 …そういえばシンは…シンタロウはどうなったんだ!?


ミホ
 …シンちゃんは…あれから家には戻ってないみたい…。

 今警察の人が通り魔の疑いで身柄を探してるんだって。


アキト
 …あいつが…通り魔だったのか…?


ミホ
 (グスン)…あと…この人に感謝しないとね。


フィン
 お身体の調子はいかがですか?


アキト
 フィン…?

 ミホ…フィンが見えるのか?


フィン
 アキトと契約する事でこの世界に身を置けるようになったんですよ。

 霊体のままでは鍛錬もできませんしね。


アキト
 …すまんもう少しわかりやすく言ってくれないか?


フィン
 つまり、妹さんにも私が見えるって事ですね。


ミホ
 そういう事。

 それにフィンさんってすごいんだよ!水を掌にすくってただけで

 全ての傷と病が治るんだって!!


フィン
 しかしゲイボルグがかすっただけで良かった…

 あの槍の呪いをまともに受けていたら…


アキト
 …そうか。

 フィン…ありがとな。


フィン
 礼など要りません。

 私は当然の事をしたまでです。


アキト
 …でもお陰で助かった…。

 ミホを守ることができたのもフィンのお陰だ。

 本当にありがとな…。


フィン
 ほ、本当に礼は要らないので!!


ミホ
 あれ?フィンさん照れてる?


フィン
 き騎士が照れる訳ないでしょ!!

 ただ…あまり『ありがとう』という言葉を言われた事がなくて…


ミホ
 ふーん。


アキト
 あまり困らせんじゃねぇよ…。


フィン
 ともかく!!

 また敵対勢力がいつやってくるか、わかりません!!

 それまでに…アキト!

 貴方を鍛錬します!


アキト
 …え?


フィン
 なんですか!?そのやる気のない返事は!!

 今回は何とか勝てましたが、次勝てる保証など何処にもないんですよ!!


アキト
 ま、まぁそうだけど…

 今から?


フィン
 今からです!!

 貴方には剣(けん)と槍。二つの武器を扱えてもらえないと困るんですから!!


アキト
 ってちょっと!!

 はーなーせぇぇぇぇ!!!









Fin Arc Jihad(アークジハード)-知恵の騎士-





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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w


こちらの台本はコンピレーション企画「Arc Jihad(アークジハード)」にて
書かせて頂いたものです。
他の参加者様の台本はこちら