クリスマス・エスケープ  作:福山漱流

三守俊(みかみ すぐる):平均的な少年。悪く言えば無個性的。なんでもある程度こなすことができて、それなりに力の抜き方も解っている。
            大学入試に向けて周りが張り切る雰囲気にうんざりしている。千紗菜とは中学校からの付き合いであり、好意を抱いている。

鞠戸千紗菜(まりとちさな):真面目一辺倒で過ごしてきた少女。大学入試に向け勉強中。しかし、親や周囲のプレッシャーから頑張るということにつかれてしまい、
                毎日通っていた塾の登校を突発的にエスケープしてしまう。
             
=============================

千紗菜:冬。音もなく降る雪が、街をうっすらと白く包んでいく。
    そんな街は、クリスマスの熱気に浮かれている。
    おもちゃをねだる子供。おそろいのマフラーを巻き、手をつないで歩くカップル。
    そんなもの、今の私にとっては別世界のお話。
    受験シーズン。大学受験が目の前に迫った人間にとっては忌々しい光景。
    ・・・でも、それが少しうらやましくて。苦しくて・・・。
    塾へ向かう電車の中、私は・・・。

(駅の入り口。一人立つ千紗菜。周囲は足早にどこかへ行く人達。クリスマスソングが聞こえてくる)


千紗菜:・・・やっちゃった。一駅前なのに、思わず電車降りちゃった・・・。
    私、ついに不良になったかも・・・。どうしよ・・・。

俊  :あ、不良みっけ。

千紗菜:っ!?・・・あ、三守君・・・?

俊  :よっ!奇遇だな。鞠戸。こんなとこで会うなんて。

千紗菜:う、うん・・・。って、三守君、塾は!?

俊  :うん?サボった。今日の単元あんまり受ける意義感じらんねぇから。

千紗菜:そんな、ダメだよ!受けなきゃ!

俊  :そういうお前も塾サボってんじゃん。

千紗菜:っ!それはっ!・・・そう・・・だけど・・・。

俊  :人のコト言えねぇんだぞー

千紗菜:わ、わかってるって!

俊  :ふーん・・・。

千紗菜:な、なによ・・・。

俊  :・・・食う?

千紗菜:えっ?

俊  :いや、肉まん。食う?

千紗菜:え、いや、いいよ。なんか悪いし。

俊  :遠慮しなくていいよ。むしろこれ、買いすぎたから食ってほしいんだけど。

千紗菜:あ、えと・・・。じゃあ、ありがと。

俊  :ほーい。

千紗菜:・・・・。

俊  :・・・・。

千紗菜:聞かないの?

俊  :あ?なにを?

千紗菜:私がサボった理由。

俊  :別に。聞いてほしいなら聞くけど。

千紗菜:そっか。

俊  :・・・で?

千紗菜:え?

俊  :あれ?聞いてほしかったんじゃないの?

千紗菜:いや、えっと。

俊  :ま、いいや。興味ないし。

千紗菜:うん・・・。だよね。

俊  :うし、食ったー。・・冷めるぞ?

千紗菜:う、うん・・・。

俊  :ったく、気にし過ぎなんだっての。

千紗菜:だって!・・・今までこんなことしたことないし。

俊  :だろうなぁ。真面目一辺倒の鞠戸がエスケープなんてイメージできないし。
    
千紗菜:うぅ・・・。・・・はぁ。・・・疲れたの。

俊  :疲れた?

千紗菜:いい子でいるのに疲れたの。
    親や、周りの期待に応えなきゃって思いがしんどくなって。

俊  :へぇ。期待かぁ。

千紗菜:高い授業料払って、塾に通わせてもらってるし、頑張らなきゃって。
    でも、今日はクリスマスで。そんな光景を見たらなんか・・・。

俊  :馬鹿らしくなったか?

千紗菜:カップルは多いし、周りはクリスマスソング流れてるし、楽しそうなのに。
    なんで、私はこんな日に気を張って歩いてるんだろうって思ったら、悲しくなった。

俊  :確かにカップル多いよなぁ。マジ爆ぜればいいのに。

千紗菜:は、はぜ・・?

俊  :あれ?知らね?「カップルマジ爆ぜろ」って。ネットスラングみたいなやつ。

千紗菜:知らない。悪口?

俊  :みたいなもんか。カップルに投げつける恨み節みたいなやつ?
    幸せそうにしやがってこのやろぉ!みたいな。

千紗菜:アハッ、なにそれ、ばかっぽい。

俊  :ま、そう言いたくもなるだろ。こっちは一人でいろいろ頑張ってるのに幸せそうにしやがってって。

千紗菜:そういう人の所には幸せなんて来ませんよー。

俊  :それは勘弁してほしいなぁ。

千紗菜:・・・はぁ。どうしよ。

俊  :あ?塾の事か?いいんじゃね?サボったって

千紗菜:でも!理由なくサボるのは悪いことで。

俊  :俺、しょっちゅうサボってるけどなにも言われねぇよ?

千紗菜:それは、ちょくちょくサボってるからじゃ・・・。

俊  :いや?最初っからなにも言われないけど。塾から電話なんてかかってこないし。

千紗菜:え、でも、連絡ない欠席は自宅連絡するって

俊  :書いてあるだけっぽいぞ。まぁ、掛ける時間がもったいないんじゃね?

千紗菜:そんな、いい加減な・・・。

俊  :というわけで、親に自ら言わない限り、バレないことは俺が保証しよう。

千紗菜:そんな自信たっぷりに言われても・・・。

俊  :・・・あ、そうだ。

千紗菜:ん?なに?

俊  :よし、鞠戸。今日付き合え。

千紗菜:へっ!?な、なにに?

俊  :サボりに。どうせ今から塾行っても、着く頃には授業終わってるだろ?

千紗菜:そ、それはそうだけど・・・。

俊  :今日はいい子の鞠戸はお休みして、悪い子になろうぜ。

千紗菜:悪い道にそそのかされてる気がするんだけど。

俊  :そそのかしてる。割と真面目に。

千紗菜:悪者がいるここに。退治してくれる!

俊  :ぐはーやーらーれーたーぁ(棒読み

千紗菜:・・・ふぅ。今日ぐらいいいかな?

俊  :ああ、いいだろ。だってクリスマスだしな。
    神様も大目に見てくれるんじゃね?

千紗菜:そっか。・・・じゃあ、付き合う。

俊  :よし、そうと決まったら、さっそくエスケープだ。
    どこ行きたい?

千紗菜:えっ、私が決めるの?

俊  :この辺りはしょっちゅうふらついてるし、どこに何があるかも知ってる。
    ということで、サボり初心者の鞠戸が行きたいってとこに、俺がエスコートしてやっから。
    行きたいとこがあれば言えよ。

千紗菜:えっと・・・。あ、じゃあ1つ。行きたいところがある。

俊  :おう、んじゃ、そこに行こうぜ。どこだよ。

千紗菜:私が行きたいのは・・・。


=============================

俊  :ほい、一名様ごあんなーい

千紗菜:こ、こんなにうるさいんだ・・・。

俊  :これが普通。ってか、ゲーセン行きたいってなんだよ。

千紗菜:だ、だって行ったことなかったんだもん。

俊  :へぇ、ゲーセンにねぇ?それって校則で禁止されてるからって?

千紗菜:うん。校則違反はできないし。

俊  :とはいえ、もう入っちまったから校則違反だぜ?

千紗菜:制服着てないからぎりぎりセーフ!

俊  :それ、屁理屈っていうんだぜ?

千紗菜:そ、そうなんだけどね・・・。

俊  :ま、悪さに誘ったのは俺だから別に「ワルイ奴だー!」とかは言わねぇけどな。

千紗菜:言った瞬間に全力で叩く。

俊  :わー、それは痛そうだなー(棒読み

千紗菜:けど、私。なにがどう遊ぶって知らないんだけど・・・。

俊  :んー。そうだな。簡単に遊べそうなやつ・・・。じゃあ、まずはこれからやるか

千紗菜:これは・・・、太鼓?

俊  :そ、このバチでこの太鼓をたたく。タイミングはこのマークがここに来た時に「ドン」って。

千紗菜:へぇ、これなら、できそうかも。

俊  :よし、じゃあ最初はこれだな。・・・勝負してみっか?

千紗菜:えっ!?初心者相手に勝負って。

俊  :ハンデはつけてやるから。そうだな・・・俺は片手しか使わない。

千紗菜:それって、ハンデになるの?

俊  :案外むずかしいんだからな?ハンデになるって。じゃ、そういうことで。

千紗菜:難しい曲はだめだからね!

俊  :はいはい。解ってるってー。

=============================

千紗菜:うぅ~・・・くやしい。

俊  :いやぁ、腕疲れたー。

千紗菜:三守君ずるい。上手いじゃん!

俊  :だから手加減したろ?ハンデもつけて、

千紗菜:ハンデになってない!

俊  :はいはい。すんませんしたねー。つか、鞠戸。お前案外負けず嫌いか?

千紗菜:うぅ~悔しい・・・。

俊  :あ、聞いちゃいねぇ。まぁいいや。んじゃあ、次な。

千紗菜:次は私でも勝てるやつ!

俊  :んじゃー、クイズゲームするか。

千紗菜:クイズゲーム?なにか問題だすの?

俊  :ここ二人でやってどうすんだよ。
    そういうゲームがあるの。こっち。

千紗菜:え?なになに。

俊  :ほれ、ここ座れ。

千紗菜:う、うん。これ、どうすればいいの?

俊  :これ、画面がタッチパネルになってっから。問題に合わせて答えを選べばいい。
    早押しとか、○×問題とかあるから。

千紗菜:へぇ、これならできそうな気がする。

俊  :じゃあ、これで勝負な。全国対戦選んでー

千紗菜:えっと、これかな。

俊  :よし、それじゃあ対決だ。

=============================

千紗菜:また負けた・・・。

俊  :あっぶねぇ。負けるとこだった・・・。

千紗菜:ずるくない!?スポーツなんて知らないって!

俊  :俺も文学ジャンル知らねぇし!誰だよ!魯山人(ろさんじん)って!

千紗菜:もー、少しは接待してよね!

俊  :そしたら怒るだろ。

千紗菜:もちろん!

俊  :なんだそりゃ。まぁ、いいや。次は・・・。

千紗菜:あっ。

俊  :ん?どうした?

千紗菜:あ、ううん。なんでも・・。

俊  :クレーンゲーム?

千紗菜:・・・人形。

俊  :あぁ、最近流行ってるよな。このテディベア。

千紗菜:いいなって思っただけ。次いこ!次!どれやんの?

俊  :お、おう。じゃあ、次は・・・。

=============================

千紗菜:んーっ。つかれたー。けど楽しかった。

俊  :ならよかった。いい息抜きになったかい?

千紗菜:うん。ありがとね。

俊  :うーん・・・。

千紗菜:うん?どうしたの?

俊  :わりぃ、すこし忘れもんしたから取ってくるわ。

千紗菜:えっ、そうなの?

俊  :すぐ取ってくっから。寒いし、向かいの喫茶店入ってて。

千紗菜:うん。わかった。

俊  :んじゃ、後でな!

=============================

千紗菜(M):クリスマスソングが流れる店内。
      電車から降りた時に、感じていた私の鬱々としていた気持ちがなくなっていた。
      新しい年を祝い。よろこぶクリスマスソング。
      周りが浮かれている中で、一人だけ取り残された気持ち。
      たった、少しの間の気晴らしが、こんなに気分を変えるものとは思わなかった。

千紗菜 :んー・・・。にしても三守君遅いな・・・。

俊   :よぉ、お待たせ。

千紗菜 :あ、やっと来た。遅いよ。どこまで探しに行ってたのよ。

俊   :いや、なかなかに手間取ってなぁ。

千紗菜 :全く、暇すぎて死にそうだったわ。

俊   :悪いね。んじゃあ、これ。

千紗菜 :ん?なにこれ?・・・あ。これって・・・。

俊   :クリスマスプレゼント。さっき見てたろ。

千紗菜 :クレーンゲームの・・・?えっ、じゃあ、さっきの忘れ物って。

俊   :うん。嘘。いやぁ、むずかったわ。あのクレーンゲーム。
     だが、俺にかかれば千円以内で入手可能だ。褒めたたえるがいい。

千紗菜 :えっ・・・えと、えっと・・・

俊   :おーい。大丈夫かー?

千紗菜 :う、うん。大丈夫。ちょっと、慣れてなくって。

俊   :あ、贈り物に?ふぅん?じゃあ、「ありがとう」って言ってみな。

千紗菜 :あ、ありがとう?

俊   :どういたしまして。よし!帰るか!

千紗菜 :いや!そうじゃなくって!私、お返しとかできるもの何も持ってなくって!
     
俊   :ああ、別にいらね。つかプレゼントって言ったじゃん。お返しもらいたくてやったんじゃないから。

千紗菜 :でも、なんか悪いし。

俊   :んー。じゃあ・・・付き合って。

千紗菜 :えっ・・・?

俊   :俺と付き合ってくんね?

千紗菜 :え、その。付き合うって・・・

俊   :うん・・・また、現実逃避に。

千紗菜 :・・・あっ。そっち。

俊   :ん?なんだよ。

千紗菜 :いや、なんでもない!なんでも!

俊   :おう、なら約束な。今度、お互いに疲れた時に現実逃避ってね。

千紗菜 :ふぅ・・・。うん、わかった。乗りかかった船だしね。

俊   :よし!じゃあ、契約成立ってことで。

千紗菜 :いやな契約だなぁ。

俊   :悪魔との契約じゃぁぁ!なんつって。

千紗菜 :はいはい。魂までは取らないでくださいねー。

俊   :・・・さて、そろそろ帰るか。時間が時間だし。

千紗菜 :あ、ホントだ。

俊   :送っていくよ。駅まで。ここら辺ちょっと物騒だし。

千紗菜 :うん。ありがと。

=============================

俊   :あの言葉。実は、及び腰になっただけだ。
     本当は告白のつもりだった。けれど、口から出た言葉はすぐに言い訳を並べ立てた。
     珍しく二千円もかけて人形を取ったし、実はそんなに入ったことのないゲームセンターという場所でエスコートまでした。
     普段の自分らしくないことを今日はやってみた。こんな偶然を逃さないために。

千紗菜 :三守君とは、中学校からの知り合いだった。
     「クラスのムードメーカー」というより裏番長。
     クラス全体で何かをするときには、目立たないが、ひっそりと裏で手を回して、物事がスムーズに行くよう調整するフィクサー。
     そんな彼と私は、しょっちゅうイベントなどでは共謀して盛り上げたりしていた。・・・中学校までは。

俊   :高校に入ってから、少し、意識するようになってしまった。
     きっかけなんかはない。ただ、「ダチ」と思っていた奴が。ふとした瞬間に「かわいい異性」に見えてしまい。ドギマギした。
     それ以来、俺は鞠戸から距離を取って過ごすようになった。会話をしても塾のことくらい。以前みたいに喋れなくなった。

千紗菜 :高校以降、少し距離を感じた。嫌われたかな?なんて思ってヘコんだこともあった。
     思えば、私は実のところ、彼を悪くは思っていないんだろうと思いつつも、今に至っている。

俊   :ほんの少しの勇気。この「友人」という関係性を崩したくないが故に、俺は本当のことを言えないままでいる。
     嫌われたくない。そんな、ヘタレた思いが先立って、言葉を伝えられずにいる。

=============================

千紗菜 :・・・今日はありがとね。駅まで送ってきてくれて。

俊   :ああ、いいって。どうせ、俺も帰るとこだったし。
     息抜きにはなったか?

千紗菜 :うん。楽しかった。すこし、頑張れる気がする。

俊   :そうか。・・・・うん。

千紗菜 :あ、・・・えっと、それじゃ、そろそろいくね。

俊   :鞠戸。・・・その、さ。

千紗菜 :ん?なに?

俊   :その、俺・・・。受験なんだけど、お前と同じ学校志望してんだよ。

千紗菜 :うん、そうだったね。一緒に頑張ろう。残り短いし。

俊   :それでさ。えっと・・・。

千紗菜 :うん、なに?

俊   :もし、同じ学校受かったら。付き合ってくれねぇ?

千紗菜 :んっと、それってゲーセンにってこと?

俊   :じゃなくて、その。彼氏彼女的な・・・。

千紗菜 :あっ・・・えっ、その・・・。

俊   :いや、うん!わりぃ!変なこと言ったな!気にしないでくれ。
     無し!今の無しだから。うん。

千紗菜 :・・・いいよ?

俊   :・・・え?

千紗菜 :その、告白なんだよ・・・ね?

俊   :うん。一応。

千紗菜 :いいよ。付き合う。

俊   :え、マジ・・・?

千紗菜 :うん。マジ。だから・・・無しじゃなくていい。

俊   :・・・あ、アハハハ・・・。

千紗菜 :ちょっ、何笑って・・・。

俊   :いや、その、なんか。断られるって思ってたから、オッケーって言われてちょっと気が抜けたっていうか。

千紗菜 :ば、バカじゃないの。

俊   :いや、うん。ごめん。

千紗菜 :まったく・・・。じゃあ、頑張らなきゃね。お互い。

俊   :え?

千紗菜 :受験。お互いに成功しないと。

俊   :あ、おう。それな!

千紗菜 :とりあえず、今後サボりはしないこと!

俊   :え、めんど・・・

千紗菜 :面倒とか言わない!

俊   :はいはーい。

千紗菜 :ちゃんと監視するから。

俊   :うわ、言うんじゃなかったかな。

千紗菜 :リコールは効きませんので。

俊   :消費者センターも泣いて逃げ出す勢い。

千紗菜 :文句でもありますぅ?

俊   :ないですー。

千紗菜 :アハハ。よし、それじゃ、本当に帰るね。

俊   :おう、また明日な。

千紗菜 :うん。また明日。ありがとね。

=============================

千紗菜 :帰りの電車の中。少し、気恥ずかしくなった。
     なにせ、今までこんなことを言われたこともなければ、自分から言ったこともない。
     すこし、ふわついた気持ちを抱えながら私は電車に揺られていく。
     外に見える街の明かりが少し、いつもよりきれいに見えた。

俊   :走らせる自転車。風が気持ちいいはずなのに、少し熱く感じるのは自分が高ぶっているからだろう。
     我ながら恥ずかしい。人前で大胆なことをしたと思う。
     しかし、よかった。嬉しさがこみあげてくる。
     自然とにやける口元を隠すように、マフラーを上げると俺は力強くペダルをこいだ。

=============================

千紗菜 :すーぐーるー!起きなって!講義始まるよー

俊   :う・・・、もう10分、いや15分・・・

千紗菜 :延ばすな!とやっ!

俊   :さむいさむい!布団めくるな!

千紗菜 :ほら!さっさと準備して大学いくよ!

俊   :はいはい。いくよ、いけばいいんだろ!

千紗菜 :わかればよろしい。・・・ふふん。

俊   :ん?どうした?(着替えながら

千紗菜 :ん?なんでもなーい。

俊   :あいよ。準備できた。

千紗菜 :よし、それじゃ。行こうか!

俊   :ちょっ!?手ぇ引っ張るなって!

千紗菜 :ふふーん。やっぱりいいね。

俊   :なにが!?

千紗菜 :なーんでーもなーい。

=============================

千紗菜 :すこし、楽しい。そんな日々。

俊   :クリスマスのあの日にやったエスケープ。
     
千紗菜 :それは、とっても幸せな逃避行。



もどる