なんで誕生日ってめでたいの?

宗太♂ そうた 20台前半
一般企業に勤める会社員、悩みなさそうだねって言われるタイプ。
もちろんそんな事はなく、普通の成人男性。

成実♀ なみ 20台半ば
パートで生計を立てている、よく大丈夫?って心配されるタイプ。
生まれつき体に障害を持っているが、日常生活には支障はない。


宗太♂:
成実♀:



宗太「お、てっぺん超えたな」

成実「本当だ、超えたね」

宗太「誕生日おめでとー」

成実「・・・あぁ、そういえば今日誕生日だっけか、ありがとー」

宗太「やっぱたまたまじゃなかったんだ」

成実「ん、何が?」

宗太「ほら、去年も忘れてたじゃん、自分の誕生日」

成実「そうだっけ、まぁあんまり興味ないからなぁ」

宗太「誕生日?」

成実「そう、誕生日」

宗太「でも俺の時結構盛大に祝ってくれたじゃん」

成実「あー、まぁね、それ言っちゃう?」

宗太「俺なんか変な事言った?」

成実「ううん、宗太は変な事言ってないよ、変なのは私、分かってるよ」

宗太「な、何が?」

成実「私さ、何がめでたいか分かんないんだよね」

宗太「誕生日?」

成実「この流れでお正月とか言い出したらもっと変な人だよね」

宗太「いやそれはそうなんだけどさ、なんか理由とかあるの?」

成実「もちろん」

宗太「聞いて良い?」

成実「なんて言うのかな、この日ってお墓にまた一歩近づく日って感じがして」

宗太「まだ20台半ばじゃん」

成実「そんな濁さなくてもアラサーって言ってくれてもいいんだよ?」

宗太「今日の成実、自虐的だね」

成実「だってめでたいと思えない日だもん」

宗太「んー、でもまだそう感じるには早いと思うけどなぁ」

成実「でもさ、私たちの年齢だともう成長って止まっちゃってて、
   後は衰えてくだけなんだよ、成長する年の子におめでとうは分かるんだけどさ」

宗太「まぁ、それは確かに、じゃあ何で俺の誕生日は祝ってくれるの?」

成実「だって、宗太喜んでくれるでしょ?」

宗太「そりゃ好きな人におめでとうって言われたら嬉しいからね」

成実「・・・でしょ、だからだよ」

宗太「なんでそっぽ向くのさ」

成実「不意打ちはずるい」

宗太「相変わらず慣れないね、こういうの」

成実「うるさいなぁ」

宗太「ごめんって」

成実「・・・普通の人は祝われたら嬉しいって分かるからね、
   喜んで欲しいから祝うのよ、・・・だって、好きだから」

宗太「そっか、ありがと」

成実「やっぱ敵わないなぁ」

宗太「張り合ってる?」

成実「張り合ってる」

宗太「負けず嫌いだなぁ」

成実「そりゃ負けず嫌いですよ、負けっぱなしは悔しいから」

宗太「頑張れー」

成実「人事だなぁ」

宗太「負ける気しないからね」

成実「悔しい・・・」

宗太「ごめんごめん、んで話戻すけど、めでたいと思えないのは成長しない年齢だからってこと?」

成実「んー・・・、ほら、私ってこんな体じゃん」

宗太「ん、そうだね」

成実「やっぱり、これで人に迷惑も掛けたし、苦労もしてるから、
   私にとって生まれた日ってこれを授かった日でもあるんだよね」

宗太「なるほどね・・・、ヘビーだなぁ」

成実「それじゃ別れる?」

宗太「だから言ってるでしょ、重いのは理由になりません」

成実「・・・ありがと」

宗太「でもそっか、それでも俺はめでたいよ、成実の誕生日」

成実「この話聞いてもそう思うんだ、やっぱり宗太も変わってるね」

宗太「よく言われる、後、人変えるのも好きなんだよ」

成実「散々変えられましたからね、あなたに」

宗太「今日も変えてあげようか」

成実「今度は、何を・・・?」

宗太「誕生日おめでとうじゃなくて、生まれてきてくれてありがとう」

成実「っ・・・」

宗太「俺にとって、今日この日、成実が生まれた日はめでたい日だよ、
   だってそうじゃなかったら俺は成実に出会えてないから」

成実「・・・くさい、飛びっ切りくさいよ宗太」

宗太「悪かったな、でもそう思うよ、本当に」

成実「ありがと、そっか、うん、誕生日、いいなって思ったよ、少しだけ」

宗太「少しなんだ?」

成実「マイナスがプラスになったんです、それで満足してください」

宗太「やった、大躍進だ」

成実「あー悔しいなぁ、いつになったら私はあなたに勝てるんでしょ」

宗太「一生負ける気はないんでよろしく」

成実「そっか、勝つ為には一生一緒にいないといけないのか」

宗太「そういう事だね、待ってるんでよろしく」

成実「くそー、この人腹立つー」

宗太「よし、また俺の一勝」

成実「何でもかんでも勝ち負けにしないで」




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