Assault Memories ~不明存在~ 第四話 鮫と猫


トーマ=アサクラ♂ 20代半ば
搭乗機体『エンドレス』(終わりがない)
傭兵団『ラインゼーレ』所属の傭兵、エンドレス隊の隊長。
根はマジメだが面倒臭がりやで短気。
長時間戦う事を得意としており、視野も広く幅広い戦い方をする。


タクト=カシマ♂ 10代後半
傭兵団『ラインゼーレ』に新たに入団した傭兵、エンドレス隊隊員。
ビックマウスかつ小心者、すぐテンパる。
ヒットアンドアウェイを得意としており、近~中距離で暴れまわる。


ヒューガ=ミヤモト 30代半ば
登場機体『スクアーロ』()
傭兵団『ラインゼーレ』所属の傭兵、ズー隊の隊長。
緩い空気を持った悪戯好きの先輩、面倒見がいいため慕われてはいる。


カークス・ブライアント♂ 30代後半~40代前半
シュナイドリス軍の教官、大勢の凄腕を送り出している。
人として経験も豊富なため、大人な対応が出来る。
ライフル・ミサイルポット・ブレードを使って堅実な戦いをする。


ユーナ=トージョー♀ 20代半ば
搭乗機体『シーカー』(探求者)
傭兵団『ラインゼーレ』所属の傭兵、エンドレス隊のオペレーター。
面倒見はいいがサラっと核心を突いてくる、物腰は柔らかい。
索敵特化の機体に乗っており、基本的に敵前に立つことはない。


シオン=キサラギ♀ 10代後半
搭乗機体『ノイジィ』(騒がしい)
傭兵団『ラインゼーレ』に新たに入団した傭兵、エンドレス隊隊員。
丁寧で真面目な性格、戦闘になると人が変わる。
固定砲台かつトリガーハッピー、高めの火力を可能な限り撃ちまくる。


レーラ=サクラバ♀ 20代後半
登場機体『プッシーキャット』(メス猫)
傭兵団『ラインゼーレ』所属の傭兵、ズー隊の隊員。
面倒見のいい姉御肌、ただし趣味は男漁り。







トーマ♂:
タクト♂:
ヒューガ♂:
カークス♂:
ユーナ♀:
シオン♀:
レーラ♀:






タクト「おいおい・・・、これ、大丈夫なのかよぉ・・・?」

トーマ「何がだー?」

タクト「だって、こんな山道、アームドメタルで走る場所じゃねぇだろぉ・・・」

トーマ「何言ってんだ、スムーズに走れてんだ、まともな道だろうが」

ユーナ「まぁグライドだし走るとも言いがたいけどねぇ」

トーマ「おいそこ、揚げ足とってんじゃねぇよ」

ユーナ「ふふっ、ごめんねぇ」

シオン「おじさん、目的地までは後どれくらいで到着するんでしょうか?」

カークス「まだ少しある、この山道は結構長くてな、
     キャラバンがその村で夜を過ごしたりもするくらいだ」

シオン「という事はまだかなりありそうですね・・・」

カークス「なに、出発が遅かったとはいえ日没までには着くだろう」

タクト「えぇー、まだそんなにあるのかよー!」

トーマ「ゲリラで密林に潜むより全然マシだ、アームドメタルで行けるだけ楽だろうよ」

タクト「比較対象がおかしいんだって!」

トーマ「あっははは!悪い悪い!っと通信だ、ちょいと失礼、
    こちらトーマ、どうしたユーナ?」

ユーナ「こちらユーナ、あのおじさん、馴染むの早いね、大丈夫かな」

トーマ「お前がそんな心配するなんて珍しいな、問題ねぇよ嘘吐いてる音じゃねぇだろ?」

ユーナ「そこは心配してないよ、あの二人まだ合流したばっかだし、篭絡されないかなって」

トーマ「それこそ心配する所じゃねぇよ、スクールの教育がそんな甘いかよ」

ユーナ「んー・・・、それもそうか、それじゃあ一先ず置いとく、ごめんね」

トーマ「いんや、俺も少し気に留めとくよ、ありがとな」

ユーナ「ん、それじゃ」

トーマ「おう」

カークス「そろそろか」

タクト「村か!?」

カークス「いや、そうじゃない」

タクト「なんだ・・・」

カークス「あそこを曲がるとちょっとした広場に出る、
     アームドメタル5機が並ぶくらいのスペースはあるからそこで休憩しよう」

タクト「休憩!やった!」

シオン「アサクラさん、どうしますか?」

トーマ「んー、場所見て決めるか、安全そうなら休憩で」

シオン「はい、分かりました」

ユーナ「シオンちゃんは誰が隊長かちゃんと分かってるみたいだね、偉い偉い」

シオン「ありがとうございます」

タクト「お、俺だって分かってるし!」

トーマ「へぇー、俺の指示なしで休憩しようとした奴がー?」

タクト「うっ・・・、ごめんなさい」

トーマ「あっははは!怒ってねぇよ!そんなちっさくなんな!」

ユーナ「うん、簡易スキャンに反応はないね、問題ないと思う」

トーマ「オーケー、んじゃ行こうか」

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ユーナ「・・・うん、これなら大丈夫そうだね」

トーマ「そうだな、こんだけ木が生い茂ってりゃアームドメタルが潜む隙間もねぇし、
    広場の出入り口だけ警戒しとけば後は大丈夫だろ」

カークス「ならば休憩で問題ないか?」

トーマ「そうだな、道のほうは俺とユーナで見張っとく、
    お前らは奥の方で休んどけ」

シオン「アサクラさん達は休憩されないんですか?」

トーマ「まだ大丈夫だ、それに警戒しなきゃいけない方向が減るだけでかなり楽になるしな」

シオン「無理はなさらないでくださいね」

トーマ「おぅ、ありがとよ」

ユーナ「ほら、人に気遣ってないで休んできなさい」

シオン「はい、ありがとうございます!」

タクト「ひゃっほー!休憩だ休憩ー!」

カークス「・・・思いの他部下思いなのだな」

ユーナ「必要な事だと分かっているだけだよ、その人を思って行動するのと、
    仕事で必要だから行動するのとは違うでしょ?」

カークス「分かっていても出来ぬ者は多い、
     それが出来ている上官はいい上官だと私は思うがな」

トーマ「はいはい、褒めてもなんも出ねぇぞ、さっさとおっさんも奥で休んで来い」

カークス「ではお言葉に甘えさせてもらうとする」

トーマ「おぅ、・・・さて、俺ものんびり見張るとしますかねぇ」

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タクト「んー!やっと休める!広いって素晴らしい!」

シオン「こんなに長い時間アームドメタルに乗っていたのも初めてですし」

カークス「意外だな、君たち位の年であの腕だ、もっと乗っているのかと思ったよ」

タクト「まぁ物心付いた時にはもうアームドメタルに乗ってたからな」

カークス「物心付いた時には、もう・・・?」

シオン「カシマさん」

タクト「へ、あ、あぁー、今の聞かなかった事にして!」

カークス「私としては捨て置けぬ事だが、何か事情があるのだろう?」

タクト「そうそう!そういう事で!」

カークス「ならば聞かんさ」

シオン「ご理解いただけて助かります」

タクト「はぁ・・・、外部の人と一緒に行動って大変だなぁ・・・」

シオン「そうですね、カシマさんはもう少し気をつけて喋らないと」

タクト「分かってるよ!ほら、このおっさん、なんか話しやすくてさ」

カークス「そう思ってもらえるのは光栄だな」

シオン「私は、よく分かりません」

タクト「キサラギは人と話すの苦手だったもんな」

シオン「今もですよ」

タクト「へぇ、そうなのか?」

カークス「上官や私とも普通に話しているように見えたが・・・」

シオン「苦手なだけで、話せない訳じゃありませんから」

カークス「なるほどな・・・」

タクト「まぁ回りもそんな感じの奴の方が多かったしなぁ」

シオン「そうですね」

カークスM「何故あんな事をした後に平然としていられるのか疑問だったが、
      この子達にとって死とはありふれた物だったのかも知れんな・・・」

ヒューガ「おいそこの、動くんじゃねぇ!」

カークス「っ!?」

タクト「な、なんだぁ!?」

シオン「っ、敵!くっ!」

レーラ「おっとアームドメタルに逃げようたってそうはさせねぇよ!」

シオン「きゃぁ!?」

ユーナ「っ、銃声!?」

トーマ「ゲリラか、けどアームドメタルに乗ってりゃ対人ゲリラなんか・・・、
    ってあいつら降りてやがる!?」

ユーナ「嘘でしょ!?」

トーマ「ちぃ、あんなに近付かれてちゃ敵だけ撃つってのも出来ねぇし・・・!」

レーラ「おいそこのレクレス!大事なお仲間を殺されたくなきゃ降りてきなぁ!」

トーマ「っ、しょうがねぇ、一かばちか・・・!」

ユーナ「待ってトーマ!」

トーマ「なんだよ!」

ユーナ「あの声聞き覚えない?」

トーマ「はぁ?」

レーラ「おーい!早く降りてこねぇと本当に撃っちまうぞー!エーンドーレスー!」

トーマ「・・・・もしかして、あれ?」

ユーナ「あははぁ、間違いなさそう、行こっか」

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トーマ「降りてきたぞ、これでいいか」

ヒューガ「おぉー、思ったより素直じゃねぇか」

ユーナ「さっきの銃声、ウチの子に当ててないでしょうね?」

レーラ「あったり前だろうが、当てちゃ交渉にならねぇだろ、なぁ嬢ちゃん?」

シオン「っ、すみません・・・」

トーマ「・・・そろそろ悪い冗談はやめにしねぇか?プッシーキャットさんにスクアーロさんよ」

タクト「っ、し、知り合いなのか・・・?」

トーマ「知り合いも何も、そこの二人もラインゼーレの団員だよ」

カークス「なっ・・・!?」

ヒューガ「ぷっ、あっはははは!おいおいエンドレス、ネタバレが早すぎやしねぇか?
     折角作った空気が台無しじゃねぇか!」

トーマ「ウチの新入りがガチビビリしてんだろー、止めてくれよー、
    まだ仕事始まったばっかりなんだよぉ」

レーラ「けち臭い事言うなよ、あたしらだってシュナイドリス入ったばっかなんだ、
    しばらく娯楽らしい娯楽もねぇんだしさ、少しくらいいいだろ?」

ユーナ「レーラさんの趣味はどこでも出来るでしょ?」

レーラ「バッカ、潜入先で男漁り出来るわけねぇだろ」

シオン「あ、あの、さっき、私撃たれましたけど、ほ、本当に・・・?」

レーラ「あぁあれか、当てる気なんてはなからねぇよ?」

シオン「そ、そうなん、ですね・・・」

タクト「じ、じゃあ、俺たち、殺されない・・・?」

ヒューガ「ったりめぇだろ、トーマも言ってたろ、悪い冗談だって」

タクト「よ、よかったぁ・・・・」

カークス「トーマ」

トーマ「ん、なんだよおっさん?」

カークス「これは、どういう事だ・・・?」

トーマ「え、俺に説明求められんの?」

カークス「本人に聞いても答えは期待できないんだろう?」

レーラ「よくお分かりで」

カークス「であれば、旧知の仲であるお前に聞くのが筋だろう」

トーマ「うわぁー、そうなるってかそう来るかぁ」

ユーナ「えっとね、この二人はラインゼーレでも結構古株で、
    みんなの厄介な先輩って立ち位置なんだ」

トーマ「間違いない」

カークス「それは分かった、何故このような事を・・・」

トーマ「知るかぁ!俺も聞きてぇよ!」

ヒューガ「あっははは!悪かった悪かった!いやぁしかし、また珍しい奴連れてんなぁ」

トーマ「まぁ新入りでおっさんは珍しいだろうな」

ヒューガ「いや、そういう意味じゃねぇよ、シュナイドリスの人間だろ、そいつ」

ユーナ「誤魔化そうとしても無駄でしょ、いくらウチが人種の坩堝(るつぼ)とはいえ、
    シュナイドリス人は見たことないよ」

トーマ「あー、言われてみれば確かに」

レーラ「まぁそんな小難しい話はどうでもいいんだ、そのナイスミドルと、
    ちっこいの二人は何て名前なんだ?お互い自己紹介もまだだろ」

トーマ「そういやそうだな、それぞれ名前と機体名言ってくれ」

シオン「はい、シオン=キサラギです、あの子の名前はノイジィ、よろしくお願いします」

タクト「タクト=カシマだ!えっと機体名は・・・」

ユーナ「ティミドゥス」

タクト「へっ?」

ユーナ「ティミドゥス、良い名前だと思わない?」

トーマ「いいんじゃね?ぴったしだと思うけど」

タクト「え、ど、どういう意味?」

トーマ「臆病、だ」

タクト「えぇー!?そ、そんなんヤダ!かっこわりぃじゃん!」

トーマ「似合いそうなのがあったら付けてくれって自分で言ってただろ」

タクト「そ、そうだけどよぉ!」

レーラ「いいんじゃねぇの?さっきもビビリまくってたし」

ヒューガ「俺もぴったりのいい名前だと思うけどなぁ」

タクト「うっ・・・、き、キサラギ・・・?」

シオン「私も否定は出来ません、ごめんなさい」

タクト「・・・タクト=カシマ、機体名はティミドゥス、です・・・」

ヒューガ「あっはははは!こいつ良いキャラしてんなぁ!」

レーラ「いいねぇ、あたし好きだぜ、お前みたいな奴、
    どーせまだだろ、相手してやろうか?」

タクト「・・・何がだよ」

レーラ「筆おろ・・・」

ユーナ「はーいそこまでー、ウチの子に手出さないでくれないかなぁ?」

レーラ「あっははは!冗談だよ!流石にこれはあたしでも守備範囲外だ!」

タクト「守備範囲・・・?」

トーマ「お前はまだ知らんでいい」

レーラ「そんな事よりも、そっちのナイスミドルはシュナイドリスの誰さんなんだ?」

カークス「トーマ、どう名乗ればいい?」

トーマ「あぁー・・・」

ヒューガ「ん、なるほどな、まだアルティサノン名付けてねぇのな」

トーマ「名前考えるの苦手なんだよな・・・」

ユーナ「んー、ワタル、とかどうかな?」

カークス「ワタル、か」

ユーナ「そ、あっちからこっちに渡る、的な意味の」

カークス「なるほど・・・、悪くないな」

レーラ「ファミリーネームはミズチってどうよ、ワタル=ミズチ、かっこよくねぇか?」

カークス「ワタル=ミズチ・・・、そうだな、そうするとしよう、
     では改めて、ワタル=ミズチという、機体名はグロウスだ、よろしく」

レーラ「いいねぇ、大人の男はやっぱこうじゃねぇとな」

ヒューガ「んー?なんだー?それは俺に不満があるみたいな言い方じゃねぇの」

レーラ「そう言ってんだよ、分かんなかったかぁ?」

ヒューガ「生憎育ちがよくないもんでなぁ、
     高等なジョークを理解できる教養は持ち合わせてねぇんだ」

レーラ「あぁ?それはあたしの育ちがよくないっていいてぇのか?」

ヒューガ「おぉ、そういったつもりだったがなぁ、分かんなかったかねぇ?」

レーラ「てんめぇ・・・」

ユーナ「はいはい、そんな事言ったらここにいる人間の大半が育ち悪いでしょー、
    巻き込まないで欲しいなぁ」

トーマ「俺は否定出来ねぇけどなー」

ユーナ「私とシオンちゃんは否定してもいいと思うんだけどなぁ」

タクト「お、俺は・・・!」

レーラ「坊主はあたしらの仲間、だ」

タクト「そんなぁ!」

ユーナ「育ちのよさと言えば、今回ヴァルトヴァイゼは一緒じゃないの?」

ヒューガ「あいつならこの先の村でちぃと仕事中だ、留守番って奴だな」

ユーナ「あ、仕事は一緒なんだね、よかった」

シオン「よかった、というのは?」

トーマ「この二人といつもチーム組んでるのがもう一人いるんだ、
    別行動してるってなると、また色々怪しいからなぁ」

レーラ「怪しいとは人聞きの悪い、あたしらは至って真面目に仕事をしに来てるんだからなぁ」

カークス「アルティサノンから、であろう、私たちからすると怪しい以外の何物でもないがな」

レーラ「それもそうだ、悪いなぁ、まぁ少なくともあたしはあんたの敵じゃないから安心してくれよ」

ヒューガ「おいレーラ、あんま余計な事喋るなよ?」

レーラ「分かってんよ、あぁそれより自己紹介だ、忘れてたぜ、
    あたしはレーラ=サクラバ、相棒の名前はプッシーキャットだ、よろしくな」

ヒューガ「俺はヒューガ=ミヤモト、愛機はスクアーロ、よろしく」

タクト「レーラにヒューガか、よろしくな!」

レーラ「おいトーマ、こいつの教育どうなってやがる」

タクト「へ?」

トーマ「気にすんな、初めて会った時からそうだ、つってもまだ昨日の話だけどな」

ユーナ「ごめんねぇ、教育時間もなくて」

タクト「な、何が?」

シオン「上官に崩れた言葉を使っているからだと思いますよ」

レーラ「そういう事だ、まぁあたしらもそんな綺麗な言葉使える口じゃねぇからよ、
    大目には見てやるが、あんまり調子乗ってると絞るぜ?」

タクト「ひっ!」

ヒューガ「お前さんが言うと卑猥にしか聞こえねぇがな」

レーラ「はん、そのままの意味に捉えて貰って結構だぜ?」

ユーナ「はいはい、そういう話は大人相手にしてねぇ」

レーラ「お、じゃあワタル相手ならいいのか?」

カークス「いや、私は遠慮しておこう」

レーラ「あーらら、振られちまった、釣れないねぇ」

カークス「そんな事よりもだ、この先の村で仕事と言っていたが、
     何を企んでいる?」

レーラ「ヒューガ、お前の方が余計な事言ってんじゃねぇか」

ヒューガ「まぁそれに関しちゃどっちにしろ話さにゃならんだろ」

レーラ「最初からそのつもりだったなら言えってんだ」

ヒューガ「悪かったな、おいエンドレス」

トーマ「なんだよスクアーロ」

ヒューガ「俺たちはこの先、シュナイドリスのレジスタンスとして蜂起する、
     あの村を拠点にな」

トーマ「・・・マジで言ってんのかよ?」

レーラ「そういう仕事なんだ」

カークス「ふざけるな、戦いの扇動などしてどうするつもりだ、
     我々の国民を巻き込むなどと、何を考えている!」

ヒューガ「扇動だなんてとんでもねぇ、俺達は彼らの意思を尊重してるつもりだ」

カークス「何?」

ヒューガ「デスグラッサの言いなりになんてなれるか、この国は自分の力で守るんだ、
     そんな人たちの代わりに俺たちがアームドメタルに乗って戦う」

レーラ「この国のために戦いたい、けどそんな力持ってねぇ、
    ならあたし達が戦ってやる、そんだけだ」

カークス「だがしかし・・・!」

ヒューガ「巻き込むも何も、この国が当事者だろうがよ、この戦争の」

カークス「・・・あぁ、そうだ、その通りだ・・・」

ヒューガ「という訳でだ、まだ蜂起前なんでな、あんま刺激したくねぇ、
     村には入らねぇでくれ」

タクト「えぇ!?待ってくれよ!それじゃ俺たちはどこで休めば!」

レーラ「テメェらもスクール出てんならアームドメタルの中で寝る練習くらいしてんだろ、
    この広場は安全なんだ、ここで寝てろよ」

タクト「だ、だけど・・・!」

レーラ「だけど、なんだ坊主?」

タクト「うっ・・・」

シオン「あの、食料はどうしたらよいのでしょうか?」

レーラ「んー?」

シオン「っ、も、もちろんアームドメタルで宿を取ること自体に抵抗はありません、
    ですが私たちもこれから潜入で色々な所を回る事になると思います」

ユーナ「そうだね、補給してとまでは言わないから、
    それくらいは用意して欲しいかな」

レーラ「へぇ、シーカーも中々言うようになったじゃねぇか」

ユーナ「どうも、これくらい口が達者じゃないとオペレーターやってられないからねぇ」

ヒューガ「分かった、それは後で持ってきてやんよ」

ユーナ「ありがと、感謝するね」

レーラ「嬢ちゃんよ」

シオン「っ、はい、なんでしょうか?」

レーラ「お前さん、中々見込みあるぜ、肝もそこそこ据わってるし、ちゃんと考えられる」

シオン「あ、ありがとうございます」

レーラ「後はトリガーハッピー直すだけだなぁ?」

シオン「っ!?」

トーマ「・・・なんでそれ知ってんだ?」

レーラ「さっきの戦闘、オープン回線使ったろ、お前ら」

トーマ「っ、まさか・・・?」

レーラ「そのまさかだよ」

ヒューガ「あいつがキャッチしたんだよ、さっきの戦闘の通信を、
     気をつけな、ここは敵地だぜ、誰に聞かれるか分かんねぇぞ」

トーマ「わぁったよ、忠告ありがとな」

ヒューガ「おーよ、つー訳でだ、お前らはデスグラッサの依頼、
     俺らはシュナイドリスとして動くわけだ」

トーマ「そうだな、出来りゃラインゼーレ同士でやりあいたくはねぇ、
    なるべく騒ぎにならねぇように離れんよ」

ヒューガ「すまねぇな、すまねぇついでに村を通らないように迂回してくれると助かる」

ユーナ「ルートは?」

ヒューガ「自分で探ってくれ、悪いな」

ユーナ「了解、しょうがないね」

レーラ「そん代わりって言っちゃあれだが、その広場はマジで安全だぜ?
    あたしらのいる所から確認も連絡も出来る、もし危なけりゃ先に教えてやるよ」

ヒューガ「そういう事だ、気兼ねなく寝てくれ」

トーマ「ありがてぇ、お言葉に甘えさせてもらうとするわ」

ヒューガ「んじゃ、俺らは一旦戻る」

レーラ「飯はまた適当な時間に持ってきてやるよ」

トーマ「おうよ、そんじゃまた後で」

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ユーナ「思ったよりちゃんとした食事持って来てくれたね」

トーマ「そうだな、てっきり非常食の類かと思ったけど」

タクト「美味かったぁー!」

シオン「脅かした事を少しでも申し訳ないと思ってくれたんでしょうか?」

トーマ「それはねぇ」

シオン「あ、そう、なんですね」

ユーナ「残念ながらねぇ」

カークス「・・・はぁ」

ユーナ「どうしたのワタル、ため息なんかついちゃって」

カークス「あぁいや、すまない、少し疲れてしまってな」

シオン「何かあったら言ってくださいね、これからしばらくご一緒だと思いますので」

カークス「・・・そう、だな、何かあればそうさせてもらう」

タクト「俺たちに頼ってくれていいんだぜ!」

トーマ「おめぇには頼れねぇかなぁ、不安でしょうがねぇ」

タクト「なんだってー!?」

ユーナ「あっははは!間違いないね!」

タクト「ちっくしょう・・・、信用ねぇなぁ・・・」

カークスM「つい先ほどまで敵だった者を味方に引き入れ、
       更には気遣う様な事までするかと思えば、
       味方であるはずの者と敵対するかもしれない状況にも動じない、
       この若者達は一体どのような生き方をしてきたというのだ・・・、
       私は、この者達を、理解できる日が来るのだろうか・・・」





to be continued...


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