Assault Memories ~不明存在~ 第二話 ファーストブリーフィング


トーマ=アサクラ♂ 20代半ば
搭乗機体『エンドレス』(終わりがない)
傭兵団『ラインゼーレ』所属の傭兵、エンドレス隊の隊長。
根はマジメだが面倒臭がりやで短気。
長時間戦う事を得意としており、視野も広く幅広い戦い方をする。


タクト=カシマ♂ 10代後半
傭兵団『ラインゼーレ』に新たに入団した傭兵、エンドレス隊隊員。
ビックマウスかつ小心者、すぐテンパる。
ヒットアンドアウェイを得意としており、近~中距離で暴れまわる。


ユーナ=トージョー♀ 20代半ば
搭乗機体『シーカー』(探求者)
傭兵団『ラインゼーレ』所属の傭兵、エンドレス隊のオペレーター。
面倒見はいいがサラっと核心を突いてくる、物腰は柔らかい。
索敵特化の機体に乗っており、基本的に敵前に立つことはない。


シオン=キサラギ♀ 10代後半
搭乗機体『ノイジィ』(騒がしい)
傭兵団『ラインゼーレ』に新たに入団した傭兵、エンドレス隊隊員。
丁寧で真面目な性格、戦闘になると人が変わる。
固定砲台かつトリガーハッピー、高めの火力を可能な限り撃ちまくる。



トーマ♂:
タクト♂:
ユーナ♀:
シオン♀:




トーマ「よぉユーナ、新人もう来てるかー?」

ユーナ「お、トーマ、みんな揃ってるよー」

トーマ「いいねぇ、時間通りだ」

ユーナ「新人はこういう所しっかりしてると好感持てるよね」

トーマ「クライアントとの約束はきちんと守らないとだからな」

ユーナ「そうだね、傭兵としては一番大事なことだもん」

トーマ「んじゃ、早速新入りとご対面と行きますかぁ」

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タクト「も、もうすぐ時間だぜ」

シオン「そうですね、どうしたんですか?声が震えていますが」

タクト「だ、だってあの『エンドレス』とのご対面だぜ!?」

シオン「それがどうかしましたか?」

タクト「おっま!あの地獄みたいなスクールを主席で卒業した人だぞ!」

シオン「カシマ、お願いですから単刀直入に答えて頂けませんか?」

タクト「だから!絶対この傭兵部隊も地獄みたいな所なんだって言ってんだよ!
    しかも『エンドレス』はここでリーダーやってるんだろ!絶対悪魔みたいな奴なんだって!」

トーマ「誰が悪魔だって?」

タクト「だから『エンドレス』のトーマ=アサクラって人が・・・!」

トーマ「おぉ、悪かったな、悪魔みたいな奴で」

タクト「・・・へ?」

トーマ「どーも初めまして、傭兵部隊『ラインゼーレ』リーダー、
    『エンドレス』のトーマ=アサクラだ」

タクト「いっ・・・!?」

シオン「本日付で『ラインゼーレ』に入隊することになりました、
    スクール卒業生、シオン=キサラギです、よろしくお願いします」

ユーナ「初めまして、『ラインゼーレ』のオペレーターをやってるユーナだよ、
    二人の初任務もサポートするわよ、よろしくねー」

シオン「よろしくお願いします」

タクト「死んだ・・・俺絶対死んだ・・・」

トーマ「おーい、お前さんまだ生きてるぞー、安心しろー?」

タクト「ひっ!タクト=カシマです!よよよ、よろしくお願いします!」

ユーナ「ぷっ、あっはははは!トーマ超びびられてるー!おもしろー!」

トーマ「えぇー・・・、俺なんもしてねぇのにー・・・」

ユーナ「まぁしょうがないよね、トーマスクールじゃ超有名人だし、
    今教材で使われてるみたいだよ」

トーマ「は、何が?」

ユーナ「あんたの戦闘記録、実戦のカメラ映像とか」

トーマ「はぁ!?マジかよ、聞いてねぇぞ!?」

シオン「『エンドレス』の継戦能力はレクレスの中でも随一だと教えられました、
    私は見習うべき、尊敬すべき方だと思っています」

トーマ「あ、ありがとう」

シオン「それに、思っていたよりも接しやすい方で安心しております」

トーマ「お、おう、それはよかった」

ユーナ「って事は本当みたいだね、『エンドレス』の戦闘記録が使われてるの」

シオン「はい、ご存じなかったのですか?」

ユーナ「私は噂程度に聞いてたけど、そいつは知らなかったみたいだねぇ」

トーマ「試作アームドメタルのテストもやってるからデータ送ってはいたけど、
    まさかそんな使い方してるとは思いもしなかった・・・」

ユーナ「まぁまぁ、褒められて嬉しいやら困ったやらなのはいいんだけど、
    そろそろそこで凍ってる子を解凍してあげようか」

トーマ「それもそうだな、時間に縛られる任務じゃねぇけど、
    ブリーフィングやらもそろそろしねぇと、おい、カシマ」

タクト「はひ!」

トーマ「さっきの暴言は気にしてない、って言ったら嘘になるが・・・、
    怒ってはいないからそんな恐縮すんな、その、こっちもやり辛い」

タクト「じゃ、じゃあ俺、殺されない・・・?」

トーマ「バッカ、貴重なレクレスをそう簡単に殺したら俺が怒られる」

タクト「よかったぁー・・・」

ユーナ「さて、丸く収まったところで、諸々説明していこっか」

トーマ「そうだな、カシマにキサラギ、だったな、傭兵部隊『ラインゼーレ』へようこそ、
    この部隊の概要はスクール出る時に聞いてるな?」

タクト「スクール卒業生を中心とした超強いレクレス集団なんだよな!」

ユーナ「間違ってはないけど、そういう意味じゃないんだよねぇ」

タクト「え、他になんかあったっけ・・・」

シオン「軍隊を持たぬアルティサノンと密接な関係を持つ傭兵部隊です、
    あくまでアルティサノンの戦力としてではなく、独立した戦力として活動をしています」

トーマ「その通り、じゃあ何でその形式をとっているかは?」

タクト「えーっと・・・、き、キサラギ?」

シオン「アルティサノンは技術の提供で貿易をする国です、
    民間的な物から軍事的なものまで内容は幅広く、
    なので特定の国との繋がりを強くするのではなく、
    中立としての立場を確固たる物にするために戦力を持たないのです」

ユーナ「わーぉ、シオンちゃん優秀だねぇ」

シオン「ありがとうございます」

タクト「これって、ちゃんと答えれないとヤバイ奴?」

ユーナ「ううん、シオンちゃんみたいにちゃんと答えれる子の方が少ないよ、
    ねぇー、トーマ?」

トーマ「うっせ、どうせ俺も座学はボロボロだったよーだ、
    俺たちの本分は戦うことだ、答えれなくても困ることはねぇよ、カシマ」

タクト「よかったぁ・・・、あ、じゃあなんでこんな事聞くんだ?」

シオン「敵に捕まった時に、アルティサノンの兵隊です、と答える訳にはいきません、
    私たちはあくまで雇われの傭兵、国との関係を否定しなくてはならない、そういう事ですよね?」

トーマ「大正解、俺たちの時ここまで習ったっけ?」

ユーナ「習ってないよ、うん、シオンちゃんが優秀なんだ」

シオン「座学は同期でトップの成績でした」

タクト「お、俺は戦闘技術ではトップクラスだったんだぜ!」

トーマ「おー、って事は優秀どころが俺に回ってきたのか、
    まぁた責任重大だなぁ・・・」

ユーナ「それだけ信頼されてるのよ、『エンドレス』」

トーマ「余計なプレッシャーは勘弁してくれよ」

ユーナ「あははっ、ごめんねー、でも、トーマイズムは是非とも継承してもらいたい物だもんね」

トーマ「大層な名前付けなくてよろしい、あれも団長の受け売りだし、
    俺の名前付けるのも微妙じゃねぇか」

ユーナ「じゃあエンドレスイズム?」

タクト「変わんなくない?」

ユーナ「えぇー、なんか名前ないと覚えにくくないー?」

シオン「あの、そのエンドレスイズム、ってどういう物なんですか?」

ユーナ「それはご本人様から説明どうぞー」

トーマ「丸投げかよ!まぁいいけど。えー、カシマ、キサラギ、
    これはあくまで俺の戦い方と拘りだから真似しなくてもいい、
    ただ『ラインゼーレ』としては大切な事も含まれてるから自分流で解釈してくれ」

タクト「お、おう」

シオン「了解しました」

トーマ「とにかく長く戦えるようになれ、そして必ず生き残れ、
    決して落とされるな、一つでも多くの成果を持ち帰れ、だ」

シオン「とにかく長く戦えるように・・・」

タクト「だから『エンドレス』なのか・・・」

ユーナ「そうだよ、決して死なない、そして仲間を死なせない、
    仲間が全員撤退出来るまで矢面に立って戦い続ける、
    それが『エンドレス』」

トーマ「ぶっちゃけそう大層なもんじゃないんだけどな、
    『エンドレス』の構成もそう戦えるようにしてあるから当然っちゃ当然だし」

タクト「それでも、あれは真似出来ないって、あんな長い時間戦うなんて」

シオン「専用機以外でも継戦時間は長いと聞いています、
    それはアサクラさんの能力だと思います」

ユーナ「だってー、エンドレスさん?」

トーマ「お、おう、そうだな、そういう事にしておこう」

タクト「あ、そうだ、『ラインゼーレ』として大切なことっていうのは?」

トーマ「ん、俺たちはアルティサノンから試作機とかの実戦テストを頼まれることが結構ある、
    それを戦闘で失う訳にはいかないし、相手に奪われるなんてもっての他だ」

ユーナ「他の国に技術を盗まれちゃうからね、
    テスト結果も持ち帰れないし、踏んだり蹴ったりなんだよねぇ」

シオン「自分だけではなく、仲間を生きて帰らせるのには、そういう意味もあるんですね」

トーマ「そういう事、まぁ仕事もそうなんだけど、命あってのものだねだからな、
    一番はそれだな」

シオン「分かりました、アサクラさんの教え、心に刻まさせて頂きます」

タクト「そうだな、とにかくみんなで生き残る!」

ユーナ「まずは自分の命を守る事から、そのサポートは私たちが全力でしていくよ、
    現地ではトーマが、オペレーターとして私がね」

シオン「よろしくお願いします、トージョーさん」

タクト「よろしく!綺麗なお姉さんがサポートしてくれるならヤル気も出るってもんだ!」

ユーナ「うんうん、よろしくね」

トーマ「うし、いい感じに纏まったな、後なんか説明することあったっけ?」

ユーナ「識別信号かな?」

トーマ「あ、そうだ、忘れてた」

ユーナ「大事なことだよー、ちゃんと説明しなきゃ」

トーマ「悪い悪い、っと言う訳で識別信号についてだ、
    さっきも話した通り俺らは雇われだからな、いろんな所に呼ばれて行く訳だが、
    『ラインゼーレ』のアームドメタルは特別で、各国の識別信号が出せるんだ、
    もちろん、自前の物もあるけどな」

タクト「すげー!それがあれば潜入し放題じゃん!」

ユーナ「悪用は禁止だよ、仲間として近づいて撃つのとかね」

タクト「え、何で?」

ユーナ「傭兵にとって信頼って凄く大切な物だから、仕事貰えなくなるだけじゃなくて、
    そんな事続けてたら後ろから撃たれちゃうよー?」

タクト「そ、それは勘弁だな・・・」

シオン「友軍として認識して貰うための物なんですね」

ユーナ「そういう事、後は依頼を受けて出撃する場合もその依頼主と同じ信号を使うわ、
    友軍がいなくてもね」

シオン「増援が来た時のためですか?」

トーマ「それもあるけど、『ラインゼーレ』がアルティサノンに拠点を置いている事は知られてる訳だし、
    自分たちの信号で出撃する訳にはいかないだろ?」

シオン「なるほど、依頼主の陣営としての作戦行動だという事を主張するためなんですね」

トーマ「そういう事」

ユーナ「こんな感じかな?」

トーマ「お前がそう思うなら多分大丈夫だろ」

ユーナ「あ、責任丸投げ?」

トーマ「いや、俺よりお前の方がきちんと把握してるだろうが」

ユーナ「そうだね、それは自信を持って肯定させてもらおうかな」

トーマ「っと言う訳で、概要説明はこれでおしまい、あー疲れた」

シオン「ご教授いただき、ありがとうございます」

タクト「スクールの勉強よりは分かりやすかったな、うん」

ユーナ「現場に出ちゃえばそんなに難しい事は必要ないしね」

トーマ「そういう事だ、よーし、後はブリーフィング、ユーナ任した!」

ユーナ「お任せあれ、今回の依頼主はデスグラッサだよ、
    二人とも最近までスクールにいたし、情勢は分からないよね?」

シオン「申し訳ありません、外の情報は殆ど入ってきませんでしたから・・・」

タクト「デスグラッサとシュナイドリスが近くにあるって事くらいしか分かんねぇや」

ユーナ「分かったよ、それじゃあそこから説明して行こうかな、
    今、デスグラッサとシュナイドリスが戦争をしているんだ」

タクト「うわー、なんて時期に卒業したんだ俺・・・」

トーマ「いいじゃねぇか、食いっぱぐれる心配ねぇぞー」

タクト「それもそうか・・・」

シオン「デスグラッサからの依頼という事は、敵はシュナイドリスですか?」

ユーナ「その通り、今回はシュナイドリスの西部に三人で襲撃を仕掛けてもらうね、
    私も出撃はするけど、私の『シーカー』は戦闘用じゃなくて索敵用だからよろしく、
    兵站の確保が目的だよ、なるべく土地と建物の被害は抑えて、警備を払ってもらう形になるかな」

トーマ「知っての通りシュナイドリスは軍用アームドメタルは少ないし、
    錬度もそう高くない、初めての実戦としては丁度いい所だろ」

シオン「腕がなりますね」

タクト「まぁ、死にたくないし、やるしかないっしょ」

ユーナ「それじゃ残りの細かい事は現地の索敵を行なってからだね」

トーマ「おし、そんじゃ出撃ー、の前にだ、大切な物忘れてた」

シオン「どうされましたか?」

トーマ「お前ら、愛機に名前は付けたか?
    現場では基本的に名前じゃなく機体名か異名で呼び合うからな」

ユーナ「任務中はトーマの事を『エンドレス』私の事は『シーカー』だからよろしくね」

シオン「『ノイジィ』です」

ユーナ「『ノイジィ』?」

シオン「普段は静かなのにアームドメタルに乗ると騒がしいと言われたんです、
    だから、あの子の名前は『騒がしい』なんです」

トーマ「なるほどな、お前の戦い方が楽しみだ」

シオン「ありがとうございます」

ユーナ「タクト君は?」

タクト「んー・・・、俺はまだ考えてないから、一先ず01(ゼロワン)って呼んでくれよ、
    思いついたら、もしくは似合いそうなのがあったら付けてくれよ!」

ユーナ「だって」

トーマ「まぁいいんじゃね?俺も人に付けてもらった名前だし、よくあることだろ」

ユーナ「うん確かに、じゃあ『ノイジィ』とゼロワンだね」

トーマ「よっし、決まりだな、そんじゃ二人のアームドメタルをチェックしにいくとしますかぁ」

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ユーナ「やっぱり人のアームドメタルを見るのはわくわくするよねー」

トーマ「そうだな、さてさて、どんな構成かなぁ」

タクト「じゃじゃーん、こちらが俺たちのアームドメタルでーす!」

トーマ「おぉ・・・、これはまた・・・」

ユーナ「偏った構成ね・・・」

タクト「まずは俺のから説明しちゃおうかな、脚部は逆関節の中量級、
    重ブレードとショットガンで、中近距離で活躍しちゃうぜ!」

ユーナ「機動型かぁ、私もトーマもそう速い機体じゃないし、作戦の幅は広がりそうだね」

トーマ「戦力的に信用できるようになってきたらな」

タクト「なんだよ!俺の腕が信用できねぇのか?」

トーマ「まだ一回も動いてる所見てないし、当たり前だろ、
    信用出来る出来ないは任務次第だ」

タクト「ちぇー、見てろよー・・・」

ユーナ「それで、こっちがシオンちゃんのアームドメタルか、
    確かにこれは『ノイジィ』かも・・・」

シオン「中量級の二脚に、二門のチェーンガンと高火力ライフルを搭載しました、
    チェーンガンは標準装備ですが、ライフルは状況に合わせて換装するつもりです」

トーマ「これはまた癖のある二人だ」

ユーナ「スクールに癖のない人がいた試しがある?」

トーマ「あぁなかったな、自分たちも含めて」

ユーナ「でしょう?」

トーマ「そうだな、それで、情報は充分か、『シーカー』?」

ユーナ「もちろん、後は現場次第だよ、『エンドレス』」

トーマ「よし、それじゃあ初の実戦だ、覚悟しろよ、
    『ノイジィ』『ゼロワン』」

シオン「了解」

タクト「あ、あったりまえだ!」




to be continued...


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