気付いたら勇者になってた人のお話

アラン♂
セルマ♀


アラン♂:
セルマ♀:



アラン「あー・・・、とうとうこんな所まで来ちまったんだなぁ・・・」

セルマ「どうしたのよアラン、魔王との戦いが近くなってびびってるの?」

アラン「んな訳あるかよ、セルマさんは俺が剣振り回す事に対して
    びびってるの見たことありますー?」

セルマ「はいはい、生まれてこの方一度もありませんね、で、どうしたのよ?」

アラン「・・・めんどくせぇなぁって」

セルマ「魔王と戦う事が?」

アラン「それはむしろちょっと楽しみ」

セルマ「でしょうね、戦闘バカだし」

アラン「うるせぇ、お前も同類だろうが」

セルマ「えぇどうせガサツですよーだ」

アラン「おいおい、それじゃ俺がガサツみてぇじゃねぇか」

セルマ「違った?」

アラン「否定は出来ん」

セルマ「そういう事、それで何が面倒なのよ」

アラン「終わった後だよ、全部終わった後」

セルマ「あー、それね、今でも面倒そうだもんね」

アラン「ホントだよ、マジでめんどくせぇ、
    いや気持ちはありがたいと思うんだぜ?」

セルマ「感謝祭とかねー、なんだっけ、
    こんなに豪勢じゃなくて良いし代金もちゃんと払わせてくれー!だっけ?」

アラン「お前、よく覚えてるなぁ・・・」

セルマ「あの時のアラン面白かったし」

アラン「そう言やあん時ずっと笑ってたけど、あれ、俺の事を笑ってたのかよ」

セルマ「そりゃそうでしょ、何を笑ってたと思ってたのさ」

アラン「酒飲んで楽しくなって」

セルマ「そうそう、困ってるアラン見てたら楽しくなっちゃって」

アラン「この野郎・・・」

セルマ「あはは、ごめんごめん、でも好意を無碍にする訳にもいかないもんねぇ」

アラン「そうそう、俺人格者だしな」

セルマ「は?」

アラン「何?」

セルマ「正気?」

アラン「おう」

セルマ「じゃあそういう事にしてあげる」

アラン「だってそうだろうよ、じゃなきゃ人助けなんかしないって」

セルマ「人格者イコール人助けは分からないかなぁ」

アラン「あー、でもそうか、そういえば俺善意で人助けしようと思ってなかったわ」

セルマ「でしょ?忘れたとは言わさないわよ」

アラン「あの魔物、超強いらしいから倒しに行こうぜ」

セルマ「そこから始まったのよねぇ、勇者アラン様の魔王討伐の旅が」

アラン「やめてくれ」

セルマ「ゆ・う・しゃ・さ・ま」

アラン「だーからやめろって言ってんの!」

セルマ「あっはっは!怒った怒った!」

アラン「くそー、俺は名誉とか名声とかどうでもいいんだけどなぁ」

セルマ「自分が出来る事やってるだけだもんね」

アラン「そうなんだよ、俺強いからさ」

セルマ「悔しいけどそれはその通り」

アラン「そうだろー」

セルマ「腹立つわぁ」

アラン「悪い悪い、いやぁでもマジで誰か変わってくれないかなぁ」

セルマ「魔王退治?」

アラン「だからそれはやるって言ってんじゃんか、
    キャーキャー言われる役だよ」

セルマ「あー、それやめといた方が良いよ」

アラン「あ?何で」

セルマ「そんなん決まってるでしょう、その辺の人が突然富と名誉を貰ったらどうなるさ」

アラン「んー・・・、ノーコメントでいい?」

セルマ「でしょ、普通だったら腐っちゃうって」

アラン「まぁそうだよなぁ・・・」

セルマ「それをしたいんだったら、もっと早く信頼できる奴見つけとかなきゃダメだよ」

アラン「信頼できる奴はお前1人いればよかったしなぁ」

セルマ「あはは!ありがと、そう言ってもらえると嬉しいね」

アラン「そりゃよかった」

セルマ「でもそんな事言ってるから全部私たちでやらないといけないんだからね?」

アラン「ごもっとも・・・、あぁー、マジで誰か変わってくれねぇかなぁ・・・」

セルマ「まぁたそこに戻る」

アラン「はいはい、分かってますよー、全部自分たちでやらないといけないんだろー」

セルマ「そういう事、大丈夫だよ、あんたなら間違いはないから」

アラン「はぁ?どうしてそうなるんだよ、向いてないって」

セルマ「向いてる向いてる」

アラン「いやどこをどう見たらそうなんだよ」

セルマ「面倒だし興味ないんでしょ?」

アラン「あぁ」

セルマ「じゃあ大丈夫」

アラン「おぉー?意味わかんねぇぞー?」

セルマ「そんな人が腐る訳ないって、向いてる向いてる」

アラン「んー・・・、そんなもんかねぇ・・・」

セルマ「そんなもんだって、それに・・・」

アラン「それに?」

セルマ「あんたが腐ったらぶった切ってでも目覚まさせてやるから」

アラン「目覚ます前に永遠の眠りにつくヤツだよな、それ!」

セルマ「大丈夫だよ」

アラン「何がだよ!」

セルマ「そんな事で腐るような奴を私が認めるわけない」

アラン「お、おぅ、そうだな、・・・セルマ、さぁ」

セルマ「ん?」

アラン「男の扱い、慣れてね?」

セルマ「アランの扱いに慣れてるの間違い」

アラン「あー、なるほど、そりゃ簡単だ」

セルマ「でしょ」

アラン「あんま認めたくないけどな」

セルマ「諦めると良い」

アラン「諦めてる」

セルマ「ならよし」

アラン「釈然としねぇ・・・」

セルマ「そうでしょうねぇ」

アラン「ダメだなぁ、終わった後の事もあるし、剣以外にもなんか身につけたほうが良いかねぇ、
    例えば交渉術とかさ」

セルマ「んー、あんまり色々手出すとどっか疎かになるしいいんじゃない?」

アラン「それもそうか、それじゃ剣だけで良いや」

セルマ「じゃあそういう事で」

アラン「おう、そういう事で」

セルマ「さて、それじゃ魔王と戦った後のこと考えないとね」

アラン「それもそうだなぁ・・・、その時に考えればいいかなぁ・・・」

セルマ「この男は・・・」

アラン「今までもそうしてきたしな」

セルマ「それで上手く行って来たんだもんね、羨ましい事だ」

アラン「俺強いから」

セルマ「強さは関係ない」

アラン「困った事は大概腕っ節でなんとかしてきた」

セルマ「そういえばそうだった」

アラン「な、関係あった」

セルマ「そうね、あぁそうだ、とっても強いアランさん?」

アラン「なんだよ改まって」

セルマ「魔王のこと、どうするの?」

アラン「戦ってから考える」

セルマ「軽く答えたわね・・・、どう言う事かは分かってる?」

アラン「当たり前だろ、打ち負かしてから話し合う、
    これで万事解決」

セルマ「意思の疎通が取れると良いね」

アラン「取れるさ、これまでだって結構いただろ、
    あいつらのボスなんだし、あいつらより話せるだろ」

セルマ「それもそうか、あーほんと、あんたと一緒にいると頭使う事忘れそう」

アラン「そうなのか?お前は結構考えてるもんだと思ってたけど」

セルマ「あんたに比べたらね、ほら作戦立てたり考える必要なくなっちゃうからさぁ」

アラン「大丈夫だろ、そういう時になったらいつも考えてくれてんじゃん」

セルマ「・・・・・・」

アラン「あ?なんだよ」

セルマ「ううん、なんでもない」

アラン「んだよー!気になるだろうが!」

セルマ「うるさい!たまには自分で考えろ!」

アラン「あー?目の前に答え知ってる奴がいるのになんで頭使わなきゃいけないんだよー!」

セルマ「それを考えろって言って・・・!」

アラン・セルマ「っ・・・!」

アラン「・・・敵だな」

セルマ「どうする?」

アラン「戦ってから考える」

セルマ「オッケー、それじゃささっとのしますか」

アラン「おぅよ、任せとけ、俺強いから」

セルマ「はいはい」




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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w