魔王様と鬼ごっこ

魔王グランニエル♂
この世の魔を統括する魔物の王、恐ろしい力を持っているが野心は全く無い。
世界最強の負けず嫌い、聡明で偉大だが気さくなバカ、もちろんいい意味で。

修羅王ドラゴファーゼ♂
四天王の一人、龍人、拳を極めし者、近接戦闘の鬼、巨大生物の軍を率いる指揮官。
熱血、猪突猛進、単純明快、そしてバカ、もう物凄いバカ、可哀想な子。

軍神エルフィード♂
四天王の一人、ダークエルフ、兵法を極めし者、弓術にも長ける、隠密部隊と狙撃部隊を率いる指揮官。
クール、知的、戦略家、そして忠臣、もう物凄い魔王様盲信者、これさえなければ。

魔帝ウィトクリスナ♀
四天王の一人、魔女、魔道を極めし者、あらゆる魔法を使いこなす、魔道師軍団の指揮官。
大人、ツッコミ、そして常識人、だけどちょっかいを出すのが好き。

戦姫ミーナシャロット♀
四天王の一人、猫又、武器を極めし物、なんでも使えるけど好んで使うのはクロー、歩兵部隊の指揮官。
元気、活発、人懐っこい、そして楽しい事大好き、子供っぽいけどちゃんと四天王なのだ!





グラン♂:
ドラゴ♂:
エル♂:
ウィト♀:
ミーナ♀:





ドラゴ「いよーう!テメェら!元気にしてたかー!」

エル「全く、今日も暑苦しいほどに元気だね君は」

ドラゴ「おうよ!俺はいつだって元気だぜー!」

ウィト「だってそれだけが取り得だものねぇ」

ドラゴ「よく分かってんじゃねぇかウィト!あっはっはっは!」

ウィト「イヤミのつもりだったのだけど・・・」

ミーナ「バカドラゴにそんな難しい事言ったって分かんないよ、ウィト」

ウィト「それもそうね、期待した私が間違っていたわ」

エル「なぁ君たち、こうして集まるのをどれだけぶりだと思っているんだい?
   少しは緊張感を持ったらどうかな」

ウィト「久しぶりって、ちょっと前に演習」

ミーナ「と言う名の戦闘ごっこ!」

ウィト「・・・で集まったばかりじゃない」

ドラゴ「そうだぜエル、俺たちの長い寿命じゃあんなん昨日みたいなもんだろうが」

エル「はぁ・・・、確かに僕達の予定で集まる事は度々あるけど、今日は魔王様直々の召集じゃないか、
   これは一大事に違いない」

ミーナ「そういえば魔王様に四人揃って呼ばれるのって珍しいね、前回はなんだったっけ?」

ウィト「確か・・・、人と共存をする為に正体を隠し村に潜入をし、生態を調査する・・・」

ミーナ「って名目の外食だ!思い出した!」

ドラゴ「なんだ、そう大したことじゃねぇじゃん!」

エル「愚か者!何故魔王様の偉大な御心が分からない!
   ただただ潜入では息が詰まるからと食事を振舞ってくれたに決まっているだろう!」

ドラゴ「お、おう、なるほど、そんな深い意味が・・・」

ウィト・ミーナ「ないない」

エル「分かれば良いんだ」

ミーナ「納得したのドラゴだけじゃん!?」

ウィト「まともに取り合ってると疲れるわよ、
    魔王様の事になると周り見えなくなるのはいつものことでしょ?」

ミーナ「そっか、それもそうだねー、じゃあそれでいいやっ」

エル「よし、それじゃそろそろ時間だし、行こうか」

ドラゴ「おうよ!どんなデカイ仕事が来ても大丈夫なように気合入れてくぜー!」

ミーナ「おー!」

ウィト「適応力高くて羨ましいわ・・・」

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グラン「よく来たな、我が四天王よ、今日も時間より少し早めとは相も変わらず律儀な事だ」

エル「いえ、グランニエル様の命であれば30分前集合は当然でございます」

グラン「殊勝な心掛けだな、褒めてつかわそう」

エル「ははっ、ありがたき幸せ」

グラン「では、毎度恒例のあれをやってもらうとするか」

ドラゴ「よっしゃ、待ってました!まずは俺からだ!
    我は修羅王ドラゴファーゼ、魔王グランニエルの命の元、馳せ参じたぜ!」

エル「全く、毎度の事ながら騒がしいね、名乗り口上はもっとスマートにする物だよ、
   我は軍神エルフィード、魔王グランニエルの命の元、馳せ参じたよ」

ミーナ「スマートにやればいいんだよね?じゃあキリッと行くよー!
    戦姫ミーナシャロット、魔王グランニエルの命の元、馳せ参じました」

ウィト「もう、名乗り口上一つ言うのに何か付け加えなきゃ気がすまないのかしら・・・
    魔帝ウィトクリスナ、魔王グランニエルの命の元、馳せ参じましたわ」

グラン「ウィト、お前も何か付け加えているが、大丈夫か?」

ウィト「・・・・はっ」

グラン「ふっ、まぁ、よい、今日は魔王グランニエルの元によく集まってくれた、
    早速だが、本題に入らせてもらおう、心して聞け、今日は・・・」

(四人息を呑む)

グラン「私と鬼ごっこをしてもらうからよろしく」

ドラゴ・ミーナ・ウィト「・・・・・は?」

グラン「それで鬼は私だ、みんな、頑張ってね」

ミーナ「魔王様自ら鬼やるの?」

ドラゴ「鬼って普通じゃんけんで負けた奴がする所謂負け側なのに自分から?」

ウィト「いやいや、そこも気になる所だけど!えっと、鬼ごっこですか?」

グラン「うん、鬼ごっこだ」

ウィト「鬼ごっこって、あの鬼ごっこですよね?」

グラン「あの?あのってどの鬼ごっこだ?」

ドラゴ・ミーナ・ウィト「・・・・・え?」

エル「なるほど、グランニエル様が自らお考えになった新たな余興、そういう訳ですね」

グラン「新しいと言うと少し大げさすぎるな、一人が鬼の役割をし、他がそれに相対するだけだからね」

ミーナ「うん、新しいも何も、みんながよく知ってる鬼ごっこだと思う」

ドラゴ「俺もそれ以外の鬼ごっこを知らないんだが・・・」

エル「それと違うから新たな余興だと言っているんだ、話を最後まで聞かないか!」

ウィト「貴方も最後まで話を聞いてから仕切りましょうか」

エル「それも一理あるね、では、詳細なルールを伺ってもよろしいでしょうか?」

グラン「では説明していこう、皆は私にタッチするか攻撃を当てるかしたら勝ち、
    私は制限時間内、触れられない、ダメージを受けなければ勝ちだ」

ドラゴ・ミーナ・ウィト「・・・・・は?」

エル「なるほど!それは活気的な修練ですね!」

ウィト「いやいやいや、鬼ごっこって鬼から逃げるゲームですよね!?」

グラン「何を言っているんだウィト」

ウィト「え?」

グラン「目の前に鬼が現れたら君はどうする?」

ウィト「え、まずは所属を確認しますけど・・・」

ミーナ「種族にもよるけど、鬼だったら大体ウチの部隊だよねー!」

ドラゴ「かなりデカイ奴だとウチの可能性もあるけどな」

グラン「そっか・・・、仲間の可能性が高いか・・・」

エル「いえ、高い所ではありません、グランニエル様の支配力は世界最強です、
   逆らう魔物がいるはずがないではありませんか!」

グラン「うん、それもそうだ、じゃあ万が一の話です、はい!私の支配力下がりました!」

ドラゴ「なんだって!?ちょっと部下を見てくるぜ、逆らう奴がいたらぶっとばさねぇと!」

グラン「あぁいやいや例えだから例え、その素早い動きは嬉しいけど待って」

ドラゴ「お、おぅ、なら良かったぜ」

ウィト「・・・あれ、ミーナは?」

ミーナ「もー、例えなら先に言ってよー、大分走っちゃったよー」

エル「ミーナ、最後まで話を聞かないか」

ミーナ「にゃはは、一大事かと思ってー」

ウィト「もう、せっかちばっか・・・」

エル「君たちのせいで折角のお話が進まないではないか」

ドラゴ「す、すまねぇ」

エル「ではグランニエル様、続きをお願いいたします」

グラン「ありがとうエル」

エル「あぁ・・・、なんと勿体無いお言葉・・・」

グラン「それじゃもう一回話をさせてもらおう、はい!私の支配力下がりました!」

ドラゴ「なんだって!?」

ウィト「もう一回やるのそれ!?ミーナも走り出さない!」

ミーナ「いやぁ、条件反射だよねー」

ウィト「お願いだから脊髄じゃなくて脳で生きて」

ミーナ「分かった!」

ウィト「それも条件反射よね?」

ミーナ「うん!」

ウィト「はぁ・・・」

ドラゴ「すまねぇ魔王様、その続きからお願いしてもいいっすか?」

ミーナ「ドラゴまた走り出しそうだもんねー!」

グラン「それはミーナもじゃないか?」

ミーナ「それは言わないお約束だよー」

ウィト「グランニエル様、進めましょう、いつまで経っても話が終りません」

グラン「うん、そうしよう、例えね、例えだよ?」

エル「はい、分かりました、例えですね」

グラン「いい?例え、例えだからね!」

ドラゴ「お、おぅ、そんなに強調しなくても分かってるぜ」

ミーナ「安心して話してもらって大丈夫だよー!」

ウィト「こうなったの誰のせいだと思ってるのよ!」

エル「ウィト騒がしいぞ!グランニエル様がお話出来ぬではないか!」

ウィト「私のせい!?私のせいなの!?」

グラン「話してもいいかな、ウィト?」

ウィト「・・・・どうぞ、お話ください」

グラン「ではさっきの続きから、目の前に配下ではない鬼が現れた、さぁ皆ならどうする?」

ミーナ「張ったおす」

ドラゴ「ぶっ飛ばす」

エル「グランニエル様の威信を見せつけ屈服させる」

ウィト「みんな過激ね・・・」

グラン「そういうウィトはどうするんだい?」

ウィト「下るように説得しますわ、ダメなら実力行使になりますが」

グラン「うん、ならば皆結果やる事は同じという事、つまり!
    鬼を目の前にしたら倒す!私が鬼であれば私を倒さねばならない!」

エル「なるほど・・・、万が一の自体に備える為の訓練を施していただけるという事なのですね!」

グラン「その通り!」

エル「有り難き幸せ・・・」

ミーナ「でも私たちは一回当てたら勝ちなんだよね?」

グラン「うん、その通り」

ミーナ「魔王様不利じゃないかな?」

グラン「その点は大丈夫、ちゃんと反撃するから、積極的に、むしろ自発的に」

ドラゴ「あれ、反撃ってなんだっけ」

ミーナ「攻撃される前に反対にこっちから撃ってやる!の略じゃないかな?」

ドラゴ「おぉ!ナイスアイデアだなそれ!」

エル「つまりその反撃を掻い潜ってグランニエル様に届けばいいのですね?」

グラン「正しく、それじゃルールは大丈夫そうだね、何か分からない事はあるかな?」

ウィト「はい、一ついいですか?」

グラン「なんだい、ウィト」

ウィト「通常、鬼ごっこだと、鬼にタッチされた人は次の鬼になるのですが、今回はどうなんでしょう?」

グラン「・・・・・そうだね」

ウィトM(あ、この人考えてなかったな)

ドラゴM(自分が勝つことしか頭になかったな)

ミーナM(未来予想図は自分が勝者だったんだ、絶対)

エル「それはその時のお楽しみ、という事ですね!」

グラン「うん、そう、そうだよ、その時のお楽しみだ!」

ウィト「分かりました、では楽しみにしておきますね」

グラン「それじゃ他に質問はないかな」

ウィト「えぇ、以上で大丈夫ですわ」

ドラゴ「おう!俺も準備万端だぜ!」

ミーナ「早く始めようよー!うずうずしてきちゃった!」

エル「どうやら皆気がせいでいるようですが、いかがされますか?」

グラン「よし、それじゃあ皆、その場所からスタートだよ、
    始まりの合図は僭越ながら私がやらさせてもらうね、
    準備はいいかな?」

ドラゴ「もっちろん!いつでも行けるぜ!」

グラン「よし、それでは、3・・・」

ウィトM(開始と同時に離脱ね)

グラン「2・・・」

エルM(まずは距離をとらなくては)

グラン「1・・・」

ミーナM(嫌な予感がするなぁ、とりあえず逃げかな)

グラン「スタート!」

ドラゴ「先手必勝!うらぁ!」

グラン「マジックバースト!」

ウィト・エル・ミーナ「予想通り!」

ドラゴ「なっ、うぉぉぉおおおお!?」

グラン「む、三人逃がしたか、流石に付き合いが長いだけはあるなぁ、
    さて、どう攻めて来るかな、楽しみ楽しみ・・・」

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ミーナ「ふぅー、危なかったぁ、流石にスタートと同時にダメージは喰らいたくないよねぇー、ってん?」

ドラゴ「うぅうう受け止めてくれぇぇええええ!」

ミーナ「よっと」

ドラゴ「ぐぇ!?・・・・お、おいミーナ」

ミーナ「なぁに?」

ドラゴ「なんで、避けた・・・」

ミーナ「当たったら痛いじゃーん」

ドラゴ「・・・確かにそうだ、まぁ結果としてどっちも無事だから問題なしだな!」

ミーナ「そゆこと!」

ドラゴ「おう!いやしかし、奇襲ならイケルと思ったんだけどなぁ」

ミーナ「あれが奇襲になるわけ無いじゃん、魔王様だよ?
    付き合いどれだけ長いと思ってるのー?ドラゴがあぁ出ることくらい誰だってわかるよー」

ドラゴ「ぐ・・・、なんも言い返せねぇ・・・」

ミーナ「でもね、それを逆手に取った作戦があるんだ」

ドラゴ「おぉ!ミーナのクセにやるじゃねぇか!」

ミーナ「ふふん、今思いついたんだけどね!」

ドラゴ「だとしてもすげぇって!そんで、その作戦ってなんなんだ?」

ミーナ「よーし、作戦会議しちゃうよー、今ここにいる二人はいつも突撃をしている二人です」

ドラゴ「そうだな」

ミーナ「そんな二人がちゃんと作戦を練って来るなんて魔王様からしたら絶対予想外!」

ドラゴ「おぉ!確かに!」

ミーナ「題して、特攻ツインズでやっつけちゃえ大作戦!」

ドラゴ「おぉー!」

ミーナ「よし、行くよー!」

ドラゴ「ちょっと待て!作戦の中身は教えてくれねぇのかよ!」

ミーナ「え、だから特攻ツインズでやっつけちゃえ大作戦!だよ!」

ドラゴ「え、だからその特攻ツインズでやっつけちゃえ大作戦はどんな作戦かって・・・」

ミーナ「え、だからいつも突撃してる二人がちゃんと
    特攻ツインズでやっつけちゃえ大作戦って作戦を立ててやっつけちゃうって作戦だよ」

ドラゴ「分かった、よく分からないって事がよく分かった、うだうだ言ってねぇで肉弾って事だな!」

ミーナ「いえす!」

ドラゴ「よっしゃ!んじゃ行くか!」

ミーナ「おー!」

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ウィト「ふぅ・・・、ここまで離れれば一先ずは安心かしら」

エル「そうだね、いやしかし、開始と同時にドラゴをメインターゲットに
   全員を攻撃するとは、流石はグランニエル様」

ウィト「あらエル、貴方も無事だったのね」

エル「当然でしょ、ドラゴの動きは僕でも予想が出来た、と言う事はグランニエル様が想定しているの当然、
   であれば、彼の動きを止めながら僕達全員を封じる方法はあれが最適だからね」

ウィト「そうね、私でもそうするわ、・・・実現できるかどうかは別としてね」

エル「それを一片の狂いも無く実行し成功させる、あぁ、やはりグランニエル様は素晴らしい」

ウィト「本当に、さて、どう攻略しようかしら?」

エル「悩ましい所だね、奇しくも集まったのは遠距離を得意とする二人、もう二人を囮に狙撃が定石だけど・・・」

ウィト「あの二人はもう攻勢に入ってる、今から位置取りしてたら間に合わないわ」

エル「うん、聞こえいてる、全く、血気盛んだね、なら定石を外していこう、僕が前に出る」

ウィト「スナイパーの貴方が、どういう気の回し?」

エル「接近戦は苦手だけど、中距離で動き回りながら撃つのなら君より僕の方が上手い、
   適材適所だよ、選択肢が少なすぎて嫌になりそうだけど」

ウィト「それ、私が出来ない代わりに自分がやるみたいな言い方ね」

エル「そう聞こえたならごめん、君の魔法なら僕の求める距離から、広い汎用性で撃てると思ってるから任せるんだ、
   僕のスナイプは確実だったとしても最長距離じゃ糸通しにしかならないからね」

ウィト「そういう事なら謹んでお受けしますわ、あ、場所は私で選ばせて貰うわよ」

エル「もちろん、それじゃあの二人が時間を稼いでくれてる間に」

ウィト「分かったわ、それじゃよろしく」

エル「お任せあれ」

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グラン「おや、予想外の組み合わせだ」

ミーナ「ふふふ、速攻で取りに行かせて貰うよー」

ドラゴ「さぁ、覚悟しやがれ、魔王様!」

グラン「大した自信だね、やれる物ならやってごらん!」

ドラゴ「よっしゃぁ!行くぞミーナ!プランAだ!」

ミーナ「おーよ!とぅ!」

ドラゴ「いよっ!」

グラン「左右からの同時攻撃か、そんな単調な作戦で・・・」

ミーナ「なんとかしちゃうのが、プランAだよ!」

グラン「ほぅ・・・!」

ドラゴ「喰らえ、バーティカルクロウ!」

グラン「甘い、バースト!」

ドラゴ「っ、うぉ!?」

ミーナ「続けてくよ、スティングトラスト!」

グラン「いいタイミングだ、けど!ブレイバー!」

ミーナ「ぃ、やっば、くぅ!」

グラン「よくかわしたね、でもまだまだ、追い撃て、スプラッシュ!」

ミーナ「嘘!?きゃぁああああああ!」

ドラゴ「まだだ、一発じゃ沈まねぇ!インフェルノスマッシャー!」

グラン「惜しいな、私でなければ、届いていた!」

ドラゴ「なっ、うぉおおおおおおおお!」

グラン「これで二人リタイア、といった所かな、・・・ん?」

ミーナ「にゃはは・・・、いくら私が魔法防御低くても一発じゃ落ちないもんね、ドラゴ!」

ドラゴ「分かってらぁ・・・!」

グラン「まだ動けるなんてね、これでも本気で撃ち込んだつもりなんだけど」

ドラゴ「本気で撃たれたからこんだけボロボロなんじゃねぇか!
    自分の力分かってる!?」

グラン「分かっているさ、だからまだ動ける事に驚いているのだけどね、
    でも、次でお終いかな?」

ドラゴ「ぐっ・・・」

ミーナ「誰だよもー、これを余興だなんて言ったのはー・・・」

エル「僕さ、レインアロー!」

グラン「ぬ、ストームアンブレイロ!」

エル「今だミーナ!ドラゴを担いでとある地点まで退避、場所は分かるな!」

ミーナ「とある地点・・・、勘でどうにかする!」

ドラゴ「おいおい、大丈夫かってうぉ!?」

ミーナ「私を信用してしてー!」

グラン「ふん、逃がしは・・・」

エル「ツインラピッド!」

グラン「ちぃ、バーンフォール!」

エル「ふっ!っと、攻撃を相殺しつつこちらを攻撃するとは、
   その繊細かつ豪快な戦術、流石はグランニエル様」

グラン「ふふっ、嬉しい言葉だ、だけど手加減はしないよ?」

エル「構いません、その代わり僕も本気で行かさせて頂きます」

グラン「当然、手を抜いたら勝負にならないじゃないか」

エル「二つの意味で、ですね」

グラン「よく分かっている、流石エル」

エル「有り難きお言葉、では、行きます!ディア・フライシュッツ!」

グラン「魔弾、火力ではなく精度で、と言う訳か、面白い、
    ならばこれで、ランドグレイヴァー!」

エル「くっ、なんて魔法を、だが魔弾は止まらない!」

グラン「弾道をそらしたか、しかし弾の操作で自分の防御が疎かだぞ、エル!」

エル「これでいいんです」

グラン「何?」

ウィト「メテオリット!」

グラン「っ、ウィトの魔法で相殺!?くぅ、ウエイブパニッシュ!」

エル「・・・砕かれてしまっては操作も何もあったものじゃないか」

グラン「考えたね、ウィトの魔法であれば弓と違い、使い手の場所も弾道からは分からない」

エル「えぇ、その通りです、流石はグランニエル様、僕の気付かなかった作戦のメリットまでお分かりになってしまうとは」

グラン「・・・気付いてなかったの?」

エル「えぇ」

グラン「そうか、だが、私は弾道のみで判断するような愚か者ではない、そこだウィト、はぁ!」

ウィト「ふっ!っと、流石は魔王様、よくお分かりに」

エル「ウィト!そんな近くに!?」

ウィト「移動してきたのよ、貴方の戦い方があまりにも危なっかしくて見てられなくてね」

エル「余計な世話を・・・!」

グラン「ふむ、こちらはこちらで共に行動していたのか、これもまた予想外」

ウィト「あら、勝利のためなら普段しない様な行動も視野に入れなければいけないとおっしゃられたのは、
    他ならぬ魔王様ではありませんか」

グラン「そうだったね、それじゃ、この先はどんな予想外を見せてくれるんだろうね?」

ウィト「それは、これから御覧に入れますわ、ふっ!」

エル「なっ、ウィトが前に!?」

ウィト「貴方が驚いてどうするのよ!行くわよ、ハイドロプレッシャー!」

グラン「なるほど、そう来るか・・・!エアブラスト!」

ウィト「っ、相殺、流石です、しかし・・・!」

エル「そこに連撃が来ても、持ちこたえられますか!」

グラン「くぅ、私を舐めてもらっては、困る!」

エル「っ、やはり二手じゃ足らない・・・!」

ミーナ「なら三手あったらどうかな!」

グラン「何!?」

ミーナ「それぇ!」

グラン「ちぃ、マジックバースト!」

ミーナ「ぃ、っとと、折角回復してもらったのに当たってたまるもんかー!」

グラン「ふ、ふふふ、今のは良い線まで・・・」

ドラゴ「うぉぉぉおおおおおおお!」

グラン「っ、くぅ!」

エル「おぉ、グランニエル様が!」

ウィト「魔法を使わずに避けた!」

ドラゴ「ちぃ、外しちまったか・・・」

ミーナ「でも今の惜しかったよ!いけるいける!」

グラン「ふ、はは、あっはははは!不意を突くとはやるね、流石は我が四天王、
    でも今のが最後のチャンスだよ、もう私の意識外から攻撃する事は不可能!」

ドラゴ「不意を突く必要なんてねぇ、真っ向から正々堂々貫くのみだ!」

エル「それだと最初と変わらないでしょ・・・、ここは、策を弄させていただきますよ」

ウィト「さぁ魔王様、覚悟なさってください」

ミーナ「私達勝っちゃうよー!」

グラン「この私に勝つと、やれるものならやってみなさい!」

ドラゴ「よっしゃぁ!やってやんぜ、さっきのリベンジだ、バーティカルクロウ・クロス!」

グラン「ふっ、一度通用しなかった技が、通用すると思っているのかい!」

ドラゴ「っ、うぉ!?」

エル「では、さっきとは違う二番手はいかがですか?スプレッドアロー!」

グラン「連携で来ると分かっていれば対処なんていくらでも出来るさ、
    ブレイズヴァレンティア!」

ミーナ「まだまだぁ!レイズスティンガー!」

グラン「くっ、打撃が使えないのがこんなにもどかしいとは・・・!
    だがまだ、グラントラッシュ!」

ミーナ「うぉっと、くっ、体勢崩されても、いけるもん、ねっ!」

グラン「なんだと、ちぃ!」

ミーナ「ふぉ!?外した・・・!ウィト!」

ウィト「お任せあれ、その体勢で防ぎきれるかしら?エクス・インフェルノ!」

グラン「この私を舐めないで欲しいね、エクセサイクロン!」

ウィト「っ、炎が巻き込まれて!?」

エル「まずっ、余波が・・・!」

ミーナ「避けきれ、きゃあああああああ!」

グラン「ふっ、これで私の・・・!」

ドラゴ「真打を、忘れてねぇかよ!」

グラン「なっ、まだ動け・・・!」

ドラゴ「こいつで、トドメだぁ!グレイズ・クロォォオオオオ!」

グラン「うぉおおおおおお!?」

ドラゴ「はぁ・・・はぁ・・・、やった、当たったぜ、俺の勝ちだぁああああああ!」

グラン「ぐ、ぅ・・・、負け、た・・・?この私が・・・負けた・・・?」

ウィト「ぅ・・・、なんとか、なったみたいね・・・」

エル「まさか、こんな付け焼刃な作戦が本当に上手く行くなんて・・・」

ミーナ「大勝利!やったね!ふふん、ほらほらー、やっぱり私たちも強いんだよー!」

グラン「ふ、ふふっ、あははは・・・」

エル「・・・あれ、なにやら嫌な予感が・・・」

グラン「そういえば、鬼がタッチされたらどうなるか、話してなかったね・・・」

ウィト「あっ・・・」

ミーナ「イヤーな予感」

ドラゴ「一体どうなるってんだ?」

グラン「鬼をタッチした人が、次の鬼になるんだ、もちろん同じルールでね」

ドラゴ「おぉ、なるほど!って事は・・・え、次は俺が鬼か?」

グラン「そうなるね、さぁそれじゃあ皆、手加減はしちゃいけないからね、次の鬼にタッチするんだ」

ドラゴ「・・・へ?」

ミーナ「だって!次はドラゴに攻撃すればいいんだよね!」

ドラゴ「え、ちょちょちょ、ちょっと待ってくれ」

ミーナ「大丈夫だよ、攻撃される前に反対にこっちから撃っちゃえばいいんだからね!」

ドラゴ「いや、そういう意味じゃなくてだな!」

ウィト「手加減はしちゃいけないらしいから、本気でいかさせてもらうわね、ドラゴ」

ドラゴ「え、笑顔が怖いぜ、ウィト、落ち着こう、なっ?」

エル「悪く思わないでくれよ」

ドラゴ「えっと・・・、そ、そうだ反撃!」

グラン「言っておくけど、打撃は禁止だからね?」

ドラゴ「俺打撃しか出来ないのに!?」

グラン「さぁ、三人とも、やっておしまい」

ドラゴ「ま、待ってくれ、なっ、話せば分かる、話せば、う、うぉぉぉおおおおおおおお!?」

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グラン「ふぅ・・・、いやぁ、終ったねぇ、今回の催しはどうだったかな、ウィト、楽しかったかい?」

ウィト「えぇ、とても楽しかったですわ、グランニエル様」

グラン「ウィト、今は二人きりなんだ、そんな畏まらない」

ウィト「そうね、ねぇグラン?」

グラン「なんだい?」

ウィト「一番楽しんでたの、貴方でしょう」

グラン「それはもちろん、自分で楽しむために考えたイベントだからね」

ウィト「えぇそうでしょうね」

グラン「まさか負けるとは思ってなかったけど」

ウィト「えぇそうでしょうね!もう、貴方の負けず嫌いに巻き込まれる、あの子達の身にもなってよ?」

グラン「だからちゃんと手加減したじゃないか、今回は物理攻撃一回も使わなかったでしょ」

ウィト「その痛手を被ったのはドラゴもだけどね」

グラン「それは彼が悪い、だって勝ってしまうのだもの」

ウィト「子供か!」

グラン「いいえ魔王です」

ウィト「一番偉い人がそんなのでいいのかしら?」

グラン「一番偉い人だから許されるのさ」

ウィト「えぇそうですね、はぁ・・・もう全く・・・」

グラン「でも、さっきの楽しかったのは本音でしょ?」

ウィト「・・・そうね、きっと他の子も同じだと思うわ」

グラン「良かった、それじゃあ次も何か考えとかないとね」

ウィト「次はけが人の出ないものでお願いします」

グラン「善処しよう」

ウィト「期待しないで待っておくわ」

グラン「全く、信用の無い事だね」

ウィト「ふふっ、その自覚があるのなら大丈夫だと思うわ、
    それじゃ、そろそろ行くわね」

グラン「うん、それじゃまた次の集いに」

ウィト「えぇ、次の集いに」


エル「これは、負けず嫌いな魔王様が、魔物たちを統一し、平和になってしまった世界でのお話・・・」

ミーナ「これにて、一件落着!」

ドラゴ「お前らはな!」

ミーナ「ちゃんちゃん」

ドラゴ「終らすなぁああああああ!」


end    





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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w