滅び行く世界で ハッピーエンド

進藤 正樹♂(シンドウ マサキ)
チームのムードメーカー、熱血バカ

星野 司♂(ホシノ ツカサ)
チームのまとめ役、クール

君塚 友恵♀
チームの紅一点、ヒロイン

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名前のみの登場

八神(ヤガミ) 敵の黒幕
純(ジュン) 正樹たちの仲間
野宮(ノミヤ)正樹たちの所属する組織の食堂の人





正樹♂:
司♂:
友恵♀:



正樹「くっ、待て、待ちやがれ!」

友恵「逃がした・・・?あと、少しだったのに・・・」

正樹「まだだ、まだ終ってねぇ、俺はまだ戦える!」

司「正樹!お前こそ待て!」

正樹「なんだよ司!」

司「今の俺たちの装備じゃあいつには追いつけない!
  追いつけたとしても、三人じゃ無理だ!」

正樹「無理ってなんだよ!俺達はあの八神(ヤガミ)だって倒したんだぞ!」

司「その八神が命を賭けてまで逃がしたのがアレだ!
  そんな物に三人だけで勝てると思ってるのか!」

正樹「そんなんやってみなきゃ分かんねぇだろうが!」

友恵「もうやめてよ!」

正樹「っ、友恵・・・?」

友恵「ほらあれ、あんなに小さくなってる・・・、司の言うとおりだよ、
   もう、追い付けっこない・・・」

正樹「嘘、だろ・・・」

友恵「この世界は滅びるんだ、私達、守れなかった・・・!」

正樹「クソ、やっぱりあそこで刺し違えてでもトドメを刺しておけば・・・!」

友恵「一人でも欠けたら意味ないって言ったの、正樹でしょ!
   あんたがそんなんでどうするのよ!」

正樹「・・・ごめん」

司「・・・まだだ」

友恵「っ、何か思いついたの!?」

司「後で説明する、・・・聞こえるか、星野だ、時間がない、手短に説明するぞ」

正樹「おい司、こんな時に何やって」

司「後で説明するって言ってるだろ、正樹は少し黙っててくれ」

正樹「んなっ・・・!」

司「あぁすまない、今そちらにデカイのが一体向かった、それが世界の中心に到達すると滅びるらしい、
  ・・・あぁ、そういう事だ、すまない、頼んだぞ、・・・・あぁ、またな」

友恵「・・・司?」

司「純(ジュン)に連絡した、こっちで倒しちゃえばいいんですよねってやる気満々だったぞ」

正樹「待てよ、あいつら、こないだのダメージが回復しきってない奴ばっかじゃねぇか!」

司「ならなんだ、何も知らされず、何も抵抗もせず死なせればよかったのか?」

正樹「っ・・・!」

友恵「・・・私なら、最後まで抵抗して、戦って死んだ方がずっといい、
   何も出来ずに、指を咥えて世界が滅んでいくのを見ているなんて絶対嫌」

正樹「分かったよ、俺が悪かった」

司「悪かったとは思ってない、お前のみんなを大切にしたいって気持ちはよく分かるからな」

友恵「あの、責めてる訳じゃないからね、私はそう思ったってだけだから・・・」

正樹「それも分かってるよ、言い直す、冷静じゃなかった」

司「正樹が冷静だった事なんてあったか?」

正樹「うっせぇ!ほっとけよ!」

友恵「・・・ねぇ、二人は不安じゃ・・・」

正樹「よっし、もう俺らがやれる事ねぇんだしさ、気分転換しようぜ気分転換!」

友恵「え?」

司「はぁ・・・、相変わらず不謹慎だな」

正樹「悪いかよ?」

司「いや、今回だけは許してやる、その代わり何か案を出せ」

正樹「相変わらず偉そうだなぁ・・・、よし、友恵!なんかないか!」

友恵「え、そこで私に振るの?」

正樹「ほら、ここはレディーファーストってやつだよ、最後かもしれないんだし、
   お前のやりたい事でいいぞ!」

友恵「・・・人の気も知らないで」

正樹「ん、今なんて言った?」

友恵「っ、人の気も知らないでって言ったの!」

正樹「っ・・・友恵?」

友恵「ねぇ、正樹は怖くないの?司は怖くないの?私は怖いよ・・・、
   もうすぐ世界が滅んじゃうかもしれないんだよ?死んじゃうかもしれないんだよ!?」

正樹「・・・怖いに決まってるだろ」

友恵「え・・・?」

正樹「怖いに決まってるだろ!ほら、見てみろよ、手」

友恵「震えてる・・・?」

正樹「怖くて仕方ないから茶化してんだよ、ほら、最後くらいは笑ってたいじゃんか」

友恵「正樹・・・」

司「俺もだよ、君塚」

友恵「・・・司も?」

司「あぁ、やれる事はやった、純たちを信じてない訳でもない、だけどアレの恐ろしさは、
  間近で見たんだ、よく分かってる」

友恵「うん・・・」

司「だから、出来る限り不安を抱えたくないんだ、取り乱したく無いからな」

正樹「おいおい、お前が取り乱したことなんてあったかー?」

司「初めて敵を殺した日の夜だな」

正樹「・・・そう言えばあったなぁ、そんな事」

司「忘れてたのか、そのままにしておけばよかったな・・・」

友恵「・・・司でも、あるんだね、そういう事」

司「忘れてくれ、出来れば消したい汚点だ」

友恵「むしろ好感持てるけどな、普段みたいな完璧超人よりも」

司「いや、そういうフォローが欲しいわけじゃなくてだな・・・」

正樹「いいんじゃね?もうすぐなかった事になるかもしれないんだし」

司「そうなって欲しく無いから忘れて欲しいんだけどな!」

友恵「あははっ、そんな風に言われると余計忘れたくなくなるな」

司「くっ、俺とした事が・・・」

正樹「ふっ、友恵、笑えたじゃん」

友恵「あっ・・・」

正樹「こっちの方が、よくね?」

友恵「うん・・・、そうだね!」

司「俺は複雑な気持ちだが、いい方向に変わったんなら甘んじて受け入れるか」

正樹「いいじゃん、前向きで!」

司「はぁ・・・、そうだな」

友恵「うん、よし!気分転換しよう、気分転換!」

正樹「おう!何しようか!」

友恵「そうだなぁ、もし帰れたら何がしたいか、とかどう?」

正樹「お、いいねぇ!そんじゃ俺から、野宮(ノミヤ)さんの作ったメシが食いたい!」

司「それは俺も同感だな、俺たちにとってあの食堂で食べる食事は、母親の味と一緒だからな」

友恵「うんうん、分かる分かる!あー、私肉じゃが食べたいな!二人は何食べたい?」

司「そうだな・・・、戦いも終るし、豪勢にステーキでも食べたいな」

正樹「何言ってんだよ!やっぱ味噌汁っしょ!一緒にだし巻き卵も欲しいなぁ」

司「それは明日の朝に食べてくれ、今晩はお祝いの意味も込めたいからな」

友恵「ならケーキとかもよくない?」

正樹「あぁー!いいねぇ!平和記念ケーキ!」

司「食べれるのが何時になることやら・・・」

友恵「あっははは、確かにね!」

司「いやしかし、正樹にしてはいい事を言うな」

正樹「にしては、ってどういう事だよ」

司「そのままの意味だが?」

正樹「んなろー・・・、そういう司はどうなんだよ?」

司「俺か、そうだな、この世界を救ってくれた英雄たちと話したいな」

正樹「うわー!ちょっと待てって!俺たちだって協力したじゃねぇか!
   俺たちだって英雄だろ!?」

友恵「英雄のサポートをした仲間たちって感じ?」

司「あぁ、アレと直接戦かわずして英雄と名乗るのは気が引けるからな」

正樹「た、確かに・・・、いや、八神だって強かったぞ!超絶強かったぞ!
   あれ倒したんだから英雄の一員でもいいだろ!」

友恵「自分で英雄英雄言ってる様な人は英雄になれないかなぁー」

正樹「う・・・、あー!分かったよ!俺はサポーターでいいよもぅ!」

友恵「うん、正樹に英雄はやっぱり無理だね」

司「だな、ただのお子様だ」

正樹「うるせぇ!そんな変わんねぇだろ!」

司「そうだな、だが俺のほうが少しだけ年上だ」

正樹「たった二年な!俺がお子様だったらお前が何様だってんだよ!」

司「大人一名様、と言った所か」

正樹「誰が上手い事言えつったぁ!」

友恵「あっはははは!」

正樹「笑うなー!」

友恵「ご、ごめんってぇ、だって、ふふふっ、面白いんだもんー」

司「ざぶとん貰っても大丈夫か?」

友恵「正樹の全部持ってってー!」

正樹「おい待て!俺も一役買ったろう!」

司「なんだ、お前も面白かったのか、ならいいだろ?」

正樹「・・・せめて一枚残して、足痛いのやだ」

友恵「やっぱお子様じゃん!」

司「だな」

正樹「くっそ、何も言い返せねぇ・・・」

友恵「あ、そうだ、特にこの人に会いたいって言う人はいる?」

司「ん、そうだな・・・、うん、やっぱり純だな、
  あいつが自信満々に言ってくれたから信じていられるのも事実だ」

友恵「純君、いつでも元気一杯だもんね」

正樹「あいつのひた向きさにいつも救われたよなぁ」

司「お前がか?」

正樹「・・・なんだよ」

司「いや、ひた向きさならお前も充分負けてないと思ったんだけどな」

正樹「ほ、ほら、自分のだけじゃ限界ってあるだろ」

友恵「え、正樹に限界なんてあったの?」

正樹「あるよ、あるに決まってるだろ!・・・多分」

友恵「ふふっ、最後の多分いらなくない?」

正樹「いやほら、自分の限界とか見た事無いから断言は出来ねぇなぁって」

司「限界はな、見えると心が折れるから気をつけろよ」

正樹「それ気をつけようなくねぇか?」

司「見なければいいんだ、見なければな」

友恵「なんか言葉に凄く重みがあるけど、自分の限界見たことあるの?」

司「とある一点において、だけな」

正樹「お、何だ何だ、教えてくれよ」

司「ダメだ」

正樹「えぇー!何でだよ!」

司「何でもだ」

友恵「じゃあ後で私にこっそり教えてよ」

司「・・・君塚にも教えてやらん」

友恵「えぇー!なんでー!」

司「何でもだ」

友恵「ちぇ、残念」

司「そういう君塚は帰ったら何がしたいんだ?」

友恵「へ!?わ、私?」

司「何か考えてあるんだろ?」

正樹「言いだしっぺだしな」

友恵「えっと、そ、そうだなぁ・・・」

正樹「なんだぁ?言いにくいことかぁ?」

友恵「・・・・したい」

正樹「ん、なんだって?」

友恵「ま、正樹と結婚したい」

正樹「・・・・へ?」

友恵「何回も言わせないでよ!バカ!」

司「はぁ・・・」

正樹「なぁおい司、今の、俺の聞き間違いじゃないよな?」

司「お前がどう聞こえたか知らんからなんとも言えないな」

正樹「今、俺と結婚したいって・・・」

友恵「わぁー!バカバカバカ!噛み締めるように言い直すなぁー!」

司「これは見てられないな」

友恵「司うっさい!」

司「はいはい、すまないな」

友恵「こ、答えはいらないから、知らないままにしとく」

正樹「おお、俺だって、お前と結婚、いやじゃなくて、えっとなんだ・・・」

友恵「え・・・?」

正樹「いきなり結婚はあれだから、ちゃんと、つ、付き合いたい!」

友恵「嘘・・・」

正樹「嘘じゃねぇよ!こんな嘘ついてどうすんだよ!」

友恵「それじゃあ・・・」

正樹「す、好きだよ、友恵」

友恵「嬉しい・・・、私も好きだよ、正樹!」

正樹「うわっとと、と、友恵!?」

友恵「良かった、最後に言えてよかった、最後に両想いだって分かってよかった・・・」

司「コホン、お二人さん?」

友恵「わっ!ご、ごめん!司いるのに舞い上がっちゃって!」

司「いや、いいよ、そんな事よりも、ご成婚、おめでとう、二人とも」

友恵・正樹「・・・・・・へ?」

司「今さっき純から連絡があった、勝てたって、しかも一人も欠けずにな」

正樹「うぉぉおおおおお!ほ、本当か!」

司「あぁ、本当だ」

正樹「良かった、本当に良かった・・・!」

友恵「うん、良かった!世界、救われたんだね!」

正樹「あぁ、英雄にはなり損ねたけど、頑張ったかいがあるな!」

友恵「うん!」

司「そうだな、俺たちの戦いは無駄じゃなかったんだな。・・・君塚」

友恵「なに、司?」

司「結婚、おめでとう」

友恵「っーーーーー!」

正樹「ま、待てって!まだ早いって言ってるだろ!」

司「いずれするんだろ、式には呼んでくれよ?」

友恵「待って待って!お願い、心臓持たないから!」

司「あっはっは!すまないな、それじゃ先に帰るから、二人でゆっくり帰って来い」

正樹「大きなお世話だ!」

司「それじゃあ、また後でな」

友恵「あ、待って!・・・本当にいっちゃった」

正樹「あ、あんにゃろぅ・・・」

友恵「・・・そ、それじゃあ、私たちも帰る?」

正樹「あ、あぁ、帰ろうか」

友恵「もぅ・・・、最後だと思ったから言ったのに・・・」

正樹「本当だよ・・・」

友恵「ね、ねぇ正樹?」

正樹「な、なんだよ」

友恵「勢いとかじゃなくて、本当に私の事、好き?」

正樹「す、好きに決まってるだろ!」

友恵「良かった!そ、それじゃ、これからもよろしくね」

正樹「あ、あぁ、よろしくな」





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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w