グランシャリオヒストリー 第二話 支配のコロッセオ

ドゥーベ♀ レジスタンス、グランシャリオの一員、気の強い男勝りな女性。
拳師、武道家、肉体変化の術を使う。一人称は俺。
メラク♀ レジスタンス、グランシャリオの一員、おしとやかなお姫様の様な物腰。
術使い、補助や回復の術を使う。一人称は妾(わらわ)。
マールス♀ ソレール、都市の支配者、火星の名を冠する暴君、無骨な武道家。
拳師、体術で比肩する者はほぼいない。一人称は私。
フォボス♀ ソレール、マールスの弟子、口悪い。一人称は俺。
ダイモス♀ ソレール、マールスの弟子、口悪い。一人称はワシ。




簡単な用語説明
グランシャリオ 北斗七星の意、この場合七人の有志で結成されたレジスタンス。
ソレール 太陽の意、各都市とその支配者は惑星の名を関していて、その連合をソレールとも呼称する。





ドゥーベ♀:
メラク♀:
マールス♀:
フォボス♀:
ダイモス♀:





ドゥーベ「うっし、やっと到着したか、いやしかし、警備の薄い都市だったぜ」

メラク「あれを薄いと言うのであれば何も言うまい、といいたい所じゃが、
    確かに手薄だったの、妾の住んでいた都市ですらもう少しいたのだが」

ドゥーベ「ドンパチの一つくらいあるかと思ったんだがな、ここまですんなりだ」

メラク「まぁ良い事ではないか、罠でなければ、だがの」

ドゥーベ「罠なら罠で構わねぇ、正面からぶっ潰すだけだ」

メラク「ふふっ、ドゥーベは頼もしいの、それでこそ妾の同行者に相応しい」

ドゥーベ「任せとけって、メラクもサポート、しっかり頼むぜ」

メラク「言わずもがなじゃ、抜かりはないぞ」

ドゥーベ「よっしゃ!そんじゃ行きますか!」

メラク「うむ、ゆるりと片すかの」


マールス「グランシャリオヒストリー 第二話 支配のコロッセオ」


メラク「それにしても、変わった趣向の都市だの」

ドゥーベ「ん、そうなのか?」

メラク「うむ、遥か昔、ローマという地域で使われていた作りだの、
    それもまだ世界の交通が整ってない時代のじゃ」

ドゥーベ「それを再現してるってのか」

メラク「恐らくだがの、全ての都市が贅の限りを尽くしていると思っていたのじゃが、
    そうでもないのかのぅ」

ドゥーベ「けど、労力は使ってんだろ、これ」

メラク「どういう事かの」

ドゥーベ「石を積んでるのは、人だ」

メラク「・・・・・そうだの、それは許せぬことじゃ」

ドゥーベ「それよりも、施設内に入っても未だに人っ子一人いねぇが、本当にここ要塞か?」

メラク「かすかに喧騒には近付いてきているようじゃが・・・」

フォボス「レディース&ジェントルメン!さぁこれで、俺とダイモスの十連勝だぁ!」

ダイモス「ワシらは血の一滴も流しとらんぞ!今日も攻撃すら当てられずに勝ち抜くんかいのぉ!」

ドゥーベ「連勝、勝ち抜き、っと言うとなんかの大会か?」

メラク「パンクラチオン、だの」

ドゥーベ「ぱんく、なんだそれ?」

メラク「簡単に言うと何でもありの格闘技じゃ、負けすなわち死を意味する、な」

ドゥーベ「なんだと」

メラク「俺とダイモス、と言っておった、つまりニ対ニ、そして十連勝、
    と言う事は多くて二十人は死んでおるだろうの」

ドゥーベ「止めんぞ」

メラク「待つのじゃ、ここはこの都市の中心、間違いなく主催はソレールじゃぞ」

ドゥーベ「だからだ、奴らの事だ、戦いたくも無い人を無理やり引っ張って来てるに決まってる!
     そんなんほっとけるかよ!」

メラク「あっ、もう、困ったものだの、少しは自分の身も大切にして欲しいものじゃ」

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ダイモス「さぁ、勇敢なチャレンジャーはおらんのかのぉ!」

フォボス「・・・・いねぇみたいだな、マールス様!」

マールス「なんだ、フォボス」

フォボス「次、そろそろ連れてきてもいいっすかねぇ!」

マールス「あぁ、構わんぞ、私は血湧き肉躍る死闘が見られればそれで構わぬ」

ダイモス「ありがてぇお言葉、そんじゃ、次を連れてくると・・・」

ドゥーベ「待ちやがれ!」

ダイモス「っ、何もんじゃワレェ!」

ドゥーベ「グランシャリオが一星、ドゥーベだ!テメェらの連勝、この俺が止めてやる!」

ダイモス「グランシャリオだぁ?つーこたヨソもんか、おもしれぇ、やったろうやないけ!」

フォボス「おぉっとここで初の乱入者だぁ!テメェ、一人で俺らに勝てると思ってんのか、あ?」

メラク「ではその仕合、妾も混ぜてもらうとするかの」

フォボス「これで2on2、対等だなぁ、おもしれぇ、おい女、折角だテメェも名乗っとけ!

メラク「名が分からぬとはいえ、お主も女であろうて、まぁよいとするかの、
    妾は、グランシャリオが一星、メラク、ソレールの暴政を止める者じゃ」

フォボス「テメェ、誰様の前で何言ってんのか分かってんのかゴラァ!」

メラク「もちろん分かっておるぞ、火の暴帝、マールスの前で敵対発言をしたまでじゃ」

ドゥーベ「っつー訳だ、取巻き二人速攻でぶっ飛ばしてテメェだ、
     高い所でふんぞり返ったクズ野郎!」

ダイモス「んな、ワレ、マールス様になんつー口聞いとんじゃゴラァ!」

マールス「構わん、死で償ってもらうだけだ、分かっているな、フォボス、ダイモス」

ダイモス「もちろんでさぁ、フォボス、やんぞ、っしゃやんぞ!」

フォボス「分かってらぁ、マールス様に逆らうバカどもなんざパツイチでケリだ!」

メラク「聞くに耐えんの、ドゥーベ、妾はそろそろ我慢ならん」

ドゥーベ「俺はとっくだ、速攻で決める」

ダイモス「ハッ、やれるもんなら、やってみさらせぇ!」

ドゥーベ「第一星がブチかます、振りかぶる腕は熊が如く、うぉら、ぶっ飛べぇ!」

ダイモス「っ、うぉあ!?」

フォボス「チッ、あいつ何やってやがる、行くぜ、我が身よ、冠せし恐怖を体現せよ、
     うぉぉぉおおおお!くらいやがれぇ!」

メラク「品性の欠片も見られぬ変化よの、
    第二星が命ず、彼の者の異常を取り払い、常を取り戻させたまえ」

フォボス「っ、体が、元に!?」

ドゥーベ「重ねてかます、跳び抜ける我は龍が如く、次は、テメェだぁ!」

フォボス「嘘だろ、ぐあぁ!?」

マールス「ほぅ、あの二人を一蹴か、中々やりおる・・・」

ドゥーベ「おら、御山の大将さんよぉ、さっさと来いよ、取り巻きはもういねぇぜ?」

メラク「ぬぅ、ドゥーベよ、お主ももう少し、言葉遣いをどうにか出来ぬかの?」

ドゥーベ「っ、す、すまねぇ、あいつ速攻でぶっ飛ばしてすぐに戻すから待っててくれ」

メラク「そうだったの、お主はそういう奴であった、すまんかった」

ドゥーベ「分かってくれてありがてぇ」

メラク「・・・・何も言うまい、妾の辛抱が足らなんだな」

マールス「・・・・よかろう、この私が直々に相手をしてくれる」

ダイモス「ま、待ってくだせぇ!まだ、まだワシらは戦えますぜ!」

フォボス「もう一度、チャンスをくれねぇっすか!」

マールス「・・・・生きていたか、よろしい、ならば援護せよ、奴ら、中々の使い手だ」

フォボス「あ、ありがたき幸せ!」

ダイモス「よっしゃ、今度こそワシの実力みせたんでぇ!」

メラク「ふむ、今度は三人で来るようだの、同じ無手じゃが、
    明らかにレベルが違うようじゃぞ」

ドゥーベ「分かってる、俺を誰だと思ってんだ」

メラク「同じ無手の達人じゃものな」

ドゥーベ「そういう事だ、だが、その高めた技を、
     人を苦しめるために使うだなんて許せねぇ」

メラク「同感じゃの、さて、前衛を一人で任せることになるが、大丈夫じゃな?」

ドゥーベ「当然」

マールス「この二人を倒せたからと言って私まで甘く見ないでいただこうか」

ドゥーベ「甘くなんてみてねぇさ、これが、最善だ!」

マールス「よかろう、ならば見せてみよ、貴様の技を!」

メラク「っ、なんて速さじゃ!?」

ドゥーベ「くっ、第一星が駆け抜ける、地を蹴る足はガゼルが如く、
     重ねてブチかます、振りぬく腕は・・・!」

マールス「悠長に唱える暇が、あると思うなぁ!」

ドゥーベ「っ、ぐぅ!?」

フォボス「おぅら、俺たちのコンビネーション、見せてやらぁ!」

ドゥーベ「なっ、ぐぁ!?」

メラク「これはまずいの、第二星が命ず、そよぐ風よ、彼の者を守る膜となりたまえ!」

ダイモス「おらワレェ、そっちに気ぃ取られててえぇんかぁ!」

メラク「うむ、構わぬぞ、妾とて体術の嗜みが、全く無いわけではないからの!」

ダイモス「ハッ、嗜む程度の術で、ワシに勝てると思うたら、大間違いじゃあ!」

メラク「っ、くぅ!」

ドゥーベ「メラク!」

マールス「揃いも揃って甘すぎる」

ドゥーベ「っ!?」

マールス「その程度の壁で私を止められると思ってる術師も、安全だと思っている貴様も!
     戦の神より賜りし一撃、その身で味わえ、赤の衝撃!」

ドゥーベ「ぐぁぁあああああああ!?」

フォボス「ハッ、口ほどにもねぇ、マールス様がいりゃ負けるわけがねぇんだ!」

ダイモス「そうじゃ!ワシらの圧勝じゃボケェ!」

マールス「だが、私の力なくしては手も足も出無い様だな、精進が足らぬ証拠だ」

フォボス「うっ、ご尤もです、驕らず修行させていただくぜ、マールス様!」

ダイモス「ワシもじゃ、次はワシ一人でも勝てるくらい強くなるんじゃ!」

ドゥーベ「次、だぁ・・・?そういうのは、今を勝ってから、言うもんじゃねぇのかよ・・・」

マールス「ほぅ、まだ立つか」

メラク「まだ、とな、お主らこそ、戦いはまだまだ始まった所ではないかの」

ダイモス「なっ、ワレ、さっき確かにぶっ飛ばしたはず・・・」

メラク「あの程度、芯を外して受身を取ればなんという事はないぞ?」

ドゥーベ「ぺっ、口ん中切ったな、クソ」

メラク「おや、内臓がやられた訳ではないのじゃな」

ドゥーベ「何で残念そうなんだ」

メラク「いや、治し甲斐がないと思っての」

ドゥーベ「・・・・覚えてろ」

メラク「余計な事は覚えない主義じゃ」

フォボス「テメェら、やられまくりのクセに余裕じゃねぇか」

ダイモス「もっかい痛い目見んと分からんようじゃのぉ」

マールス「今ので力の差が分からぬ使い手ではあるまい、
     まだ命の使い方を考えてやらんことも無いが、どうする?」

ダイモス「良かったなぁ、ワレ、お情けが貰えるかも分からんで」

ドゥーベ「そんなもんいらねぇなぁ」

メラク「まだ本気を出してないのも妾達とて、同じじゃ」

マールス「・・・・・何?」

ドゥーベ「これ、疲れるからやりたくねぇんだよ」

メラク「じゃから妾がいるのであろう、癒しなら任せるのじゃ」

ドゥーベ「それもそうだな、そんじゃ、行かせて貰うぜ、第一星が変わる、
     この身は龍が如く、顎<アギト>よ、翼よ、尾よ、宿れ!」

マールス「肉体変化の術か」

フォボス「龍人、だと・・・・」

ダイモス「んな、バカな事があって・・・」

メラク「第二星が命ず、体を巡る力よ、癒しを、更なる癒しを、常なる癒しを与えたまえ、
    さて、ドゥーベよ、背に乗らさせて貰うぞ、よっ」

ドゥーベ「この意味が分かるな、クズども」

メラク「お互いがお互いを意識せずとも護れるのじゃ、
    強力さは先ほどまでの比では無いぞ?」

マールス「下がっていろ」

フォボス「いえ、俺たちだって!」

マールス「下がっていろ」

ダイモス「フォボス、ワシらじゃ巻き込まれかねん、下がるのが吉じゃ」

ドゥーベ「ふっ、そんじゃ、行くぜぇ!」

マールス「っ、速い、が」

ドゥーベ「おぅらぁ!」

メラク「第二星が命ず、灼熱の炎よ」

マールス「私の方が、まだ速い!」

メラク「我らを護る壁となれ!」

マールス「なっ、ちぃ!」

ドゥーベ「そして後ろが死角だと思ったら、大間違いだ、そぅら!」

マールス「っ、ぐぅ!?」

フォボス「なっ、マールス様に」

ダイモス「一撃を当てただと!?」

ドゥーベ「第一星がブチ貫く、振りかぶるこの腕は竜の爪が如く・・・」
メラク「第二星が命ず、暴風よ、我らを押し出す圧となれ・・・」

マールス「くっ、この程度の攻撃で私を止められると・・・」

メラク「往くぞ、ドゥーベ!」

ドゥーベ「おぅよ、こいつでぇ!」

マールス「っ、なぁ!?」

ドゥーベ「終いだぁぁぁああああああ!」

マールス「うぉぉぉおおおおおお!?」

フォボス・ダイモス「マールス様!」

マールス「まだ、だ、腹貫かれた程度で、止まる私だと、思うなぁ!
     戦の神より賜りし一撃、この身が砕けても構わぬ、赤の排撃!」

メラク「ふっ、第二星が命ず、渦巻く風よ、小さく動きて彼の者を反転させよ!」

マールス「なっ!?」

ダイモス「そんな!?」

フォボス「バカなぁ!?」

マールス「やめろぉぉぉおおおおおおお!」

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メラク「第二星が命ず、彼の者の異常を取り払い、常を取り戻させたまえ」

ドゥーベ「ふぅ・・・、すまねぇな、メラク」

メラク「お安い御用じゃ」

マールス「貴様ら、ごふっ、悪鬼か・・・、私の技で、あいつらを、殺させる、だなど・・・」

ドゥーベ「鬼はテメェらだろうが、試し割を人で、
     しかも修練すら積んでないであろう民で行う、武道家の、いや、人の片隅にも置けねぇ」

マールス「く、くくっ、たかが、その程度の、ちっぽけな正義感で、我らソレールに逆らうと言うのか・・・」

メラク「侮ってもらっては困るの、妾達が放っておけぬは、お主ら全ての悪行がじゃ、
    今日はまだ始まりに過ぎぬ、堕つる星はお主だけではない」

マールス「ぐ、ぅ・・・、馬鹿、めが、私が堕ちようと、あの、輝く恒星は堕ちぬ、
     あの星が堕ちぬ限り、ソレールは、不滅なのだ・・・・」

ドゥーベ「ふん、恒星がなんだ、俺たちグランシャリオだって、輝く星だ、
     そう簡単に、堕ちやしねぇ」

マールス「ふ、ふはは、そうか、ならば、輝き続けて見せよ、あの方の前でも、
     同じ事を、言えるのであれば、なぁ・・・・」

メラク「ふぅ・・・、やっと息絶えたようじゃな」

ドゥーベ「あの体であの大技撃って、よく話す体力残ってんな、化物かよ」

メラク「その化物を倒した妾達はなんなのかの?」

ドゥーベ「化物を倒すのは勇者様だろうが」

メラク「ぷっ、はは、あっははははは!それは良い冗談じゃ!褒めて使わすぞ!」

ドゥーベ「ありがたき幸せ、って言っとく所か?」

メラク「うむ、良いぞ、今日は絶好調じゃの」

ドゥーベ「まぁな、っと、そんじゃ、用事は済んだし、他の連中と合流しますかね」

メラク「さて、全部でいくつ落とせるかの」

ドゥーベ「最低二つだな」

メラク「ほぅ、その心は?」

ドゥーベ「俺らと、ベネトだ」

メラク「ふっ、そうじゃな、ベネトがしくじる訳が無い、
    うむ、これぞ正に信頼と言うやつじゃ」

ドゥーベ「さ、帰りも見張りが手薄だといいねぇ」

メラクM「ここに火星堕ちる、さて、次の落星はどいつ、かの」


フォボス「次回予告」


マールス「強い輝きは星を落としていく、だがその光は本当にただ強いだけなのだろうか」

ダイモス「常に強い光など無く、瞬く瞬間も、必ず存在するのだ」

メラク「次回、グランシャリオヒストリー 第三話 七つのか弱い輝き」

ドゥーベ「これは、星堕つる時より、数日前の話である」






to be continued...




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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w