グランシャリオヒストリー 第一話 迷いなき光

ベネトナシュ♀ レジスタンス、グランシャリオのリーダー、揺ぎ無い意思が一本通った女性、気は強め。
剣士、術は強化呪文を扱う。
ミザール♀ レジスタンス、グランシャリオの一員、嫌味の無いお嬢様、ベネトを尊敬している。
術使い、属性はマルチ。私と書いてわたくし、が一人称。
ウェヌス♀ ソレール、都市の支配者、金星の名を関する帝女、他の人間を見下している。
術使い、広範囲攻撃を得意とする。
ネイト♀ ソレール、ウェヌスの衛士、丁寧な物腰でウェヌスにただ付き従う。
弓使い、属性は水。


簡単な用語説明
グランシャリオ 北斗七星の意、この場合七人の有志で結成されたレジスタンス。
ソレール 太陽の意、各都市とその支配者は惑星の名を関していて、その連合をソレールとも呼称する。
デュアルスキル 二属性使いの事、ミザールの場合、正確にはマルチスキル。




ベネト♀:
ミザール♀:
ウェヌス♀:
ネイト♀:




ミザール「ふぅ、中々厄介な追っ手でしたわね、ベネト?」

ベネト「そうね、入り口に辿り着くまでに時間を使い過ぎたわね、
    力は残ってるかしら、ミザール」

ミザール「当然ですわ、あの程度の兵士であれば力を使わずとも簡単に撒けますわ」

ベネト「安心した、本番はここからだもの、無駄な消費はしたくなかったし」

ミザール「あら、私の心配をしていただけるのは嬉しいのだけど、ベネトはどうなのかしら?」

ベネト「同じよ、このくらいならね」

ミザール「それでこそ、私達の長ですわ」

ベネト「ありがとう、それじゃ行きましょう」

ミザール「かしこまりましたわ、ベネトナシュ様」


ベネト「グランシャリオヒストリー 第一話 迷いなき光」


ネイト「ウェヌス様、侵入者です」

ウェヌス「侵入者、ただの迷子でなくて?」

ネイト「はい、衛兵達から追跡を逃れた者が二人、明らかな目的を持って来ている様子」

ウェヌス「あらそう、物好きなのがいたものねぇ」

ネイト「如何致しましょうか」

ウェヌス「放っておきなさいな」

ネイト「は?」

ウェヌス「どうせ何も出来ずのたれ死ぬだけだわ」

ネイト「しかし」

ウェヌス「何、貴女如きが私に意見するつもり?ネイト」

ネイト「・・・・申し訳ございませんでした、ウェヌス様」

ウェヌス「何も心配はないわ、見てなさいな」

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ミザール「えぇ、しかし、これ、大きいですわね」

ベネト「アルテミス宮、と女神の名を冠するだけはあるみたい」

ミザール「許しがたいですわ、民からの税をこんな物に使うだなんて」

ベネト「本当に、ただ侵入者を招き入れぬ為の建物であれば、これ程の装飾は要らないでしょうに」

ミザール「やはりソレールは倒すべき巨悪ですわ」

ベネト「だからこそ私達が立ち上がったんじゃない」

ミザール「分かっていますわ、再度心に決めたのです」

ベネト「揺ぎ無い意思、大切だものね」

ミザール「その通りですわ、その点ベネトは・・・」

ベネト「しっ」

ミザール「っ、どうしまして・・・?」

ベネト「揺れてる」

ミザール「・・・・前方から、ですわね」

ベネト「走ろう」

ミザール「あ、待ってくださいなベネト!」

ベネト「待たないわ、送れず付いてきてミザール!」

ミザール「あぁもう、分かりましたわ!」

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ベネト「はぁ、はぁ、見えて、きたよ」

ミザール「はぁ、はぁ、何が、って、何なんですの、あれ!?」

ベネト「侵入者を押しつぶすための、トラップって所、かな」

ミザール「正面から、来てますわよ!早く横道に!」

ベネト「まだダメ、ギリギリ、まで!」

ミザール「くっ、分かり、ましたわ!」

ベネト「はぁ・・・はぁ・・・、次を、右!」

ミザール「次、ですわね!」

ベネト「っ、よっ!」

ミザール「っ、はぁ!」

ベネト「はぁ・・・・はぁ・・・・、何とか、助かったみたいね・・・・」

ミザール「はぁ・・・はぁ・・・、あの、なんで、この道なんですの・・・?」

ベネト「勘、よ・・・」

ミザール「か、勘!?」

ベネト「そう、でも今は確信に、変わったわ・・・」

ミザール「っと、いいますと?」

ベネト「通路、見てみて」

ミザール「埋まって、ますわね」

ベネト「つまり横道に一度逸れたら戻れないという事、
    ここに来るまで横道は沢山あったわよね?」

ミザール「えぇ、っと言う事はどの道に行っても結果的には後戻りは出来なかった、
     という事ですわね」

ベネト「ご名答、押し寄せているのが岩石とかなら壊すなり避けるなりでお終いだったんだけどね」

ミザール「あれだと、生き埋めでこちらがお終いですわ」

ベネト「あれだけの装飾だったし、物理的な物ではないと思ったのよ、
    侵入者が入るたびに壊してたんじゃ勿体無いもの」

ミザール「なるほど、流石はベネトですわね」

ベネト「ありがと、後はどんなトラップか見てから対処したかった、って言うのも一つね」

ミザール「確かに、壊して進めるのであればそれが一番ですもの」

ベネト「そういう事、さて、私の予想では奥の方の横道が目的地に近い、のだけど実際はどうかな」

ウェヌス『ご明察よ、侵入者さん』

ミザール「っ、どなたですの!?」

ベネト「金の帝女、ウェヌス・・・!」

ウェヌス『あら、私を知っているのね、下賎の者のクセに、汚らわしいわ、
     下々の民に、高貴な私を名で呼ぶ権利があるとでも・・・』

ベネト「黙れ圧政者!高貴が聞いて呆れる、民の苦しみの上に成り立った財産のくせに!」

ウェヌス『・・・・興が削げたわ、ネイト、後はよろしく』

ミザール「あれが金の帝女、同情の余地も救い様もないですわね」

ベネト「あれが、ソレールよ、私達の倒すべき敵・・・・!」

ネイト『・・・・侵入者、そこから先は一本道です、分岐は玉座に入る前の一箇所、
    悪い事はいいません、他の道を選び、その先の罠で死を選びなさい』

ミザール「傲慢な忠告ですのね、何様のつもりなのかしら」

ネイト『捕まれば拷問される道しか残されていません、これは慈悲です、
    一瞬の苦しみか、永続する苦しみか、まだ貴方達には選ぶ権利があるのですよ』

ミザール「だからそれが傲慢だというのですわ、見逃す、救うという選択肢が無い時点でそれは対等ではないのです」

ネイト『・・・・・よいでしょう、それが貴女がたの選択だというのであれば、我々は全力で迎え撃ちます』

ベネト「行きましょう、敵はもうすぐよ」

ミザール「えぇ」

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ネイト「ようこそ、アルテミス宮の最奥へ、残念です、
    出来る事なら安寧を選んでいただきたかったのですが」

ベネト「ウェヌスを出しなさい」

ネイト「・・・・衛士を倒さずして、王に謁見できるとでもお思いですか?」

ベネト「もう一度だけ言ってあげるわ、ウェヌスを出しなさい」

ネイト「話し合いの余地は無いようですね、いいでしょう」

ミザール「アーチャーが白兵戦を挑むだなんて、甘く見られたものですわね」

ネイト「私とて伊達で衛士を一人で務めている訳ではありませんよ」

ベネト「私たちだって、たった二人でここまで来ている訳じゃない、ミザール!」

ミザール「分かりましてよ、第六星が命ず、灼熱の炎よ、鳥となりて彼の者を貫きたまえ、さぁ往きなさい!」

ネイト「大した威力です、しかし、放たれし矢は流るる川の如し、喰らいなさい、はぁ!」

ミザール「重ねて命ず、轟く雷よ、狼となりて我が身を襲う危機を止めたまえ!」

ネイト「なっ、デュアルスキル!?」

ベネト「ミザールナイス!」

ネイト「っ、まずっ」

ウェヌス「明けの明星よりて、いずるは龍の息吹、吹き飛びなさい」

ベネト「くっ、ちぃ!」

ミザール「やっと登場したみたい、ですわね」

ウェヌス「何をやっているのネイト、私の手を煩わせるなんて」

ネイト「も、申し訳ございません、ウェヌス様!」

ウェヌス「仕方ないわ、貴女を喪う方がよほど面倒よ、誰がこの迷宮の管理をするというの?」

ネイト「ありがたきお言葉」

ミザール「大丈夫かしら、ベネト」

ベネト「えぇ、問題ないわ、けど、出てくる前に衛士が倒せなかったのが痛いわね」

ミザール「数の有利がなくなってしまいましたわね」

ベネト「最初から期待していないアドバンテージだったし、現状が想定に追いついたと思えば平気よ」

ミザール「そうでしたわ、私たちはそういう戦いをしているのですものね」

ウェヌス「さて、貴女たち、私を場に立たせたのだから、名乗るのが礼儀というものでしょう?」

ミザール「揃いも揃ってソレールの上流階級は傲慢ですこと・・・」

ベネト「上がこうだから下もあぁなるのでしょう、仕方ないわ、
    さ、礼儀といわれて名乗らない訳には行かないわね、
    私は、グランシャリオが一星、ベネトナシュ、ソレールの系を破壊する者の長よ」

ミザール「同じくグランシャリオが一星、ミザール、貴女の独裁はここまででしてよ、ウェヌスさん」

ウェヌス「ふっ、ふふふっ、あっはははは!たった二人で、私達を破壊する?あっははははは!
     面白い冗談ね、どこの旅芸人かしら、是非他の都市でもやってもらいたいものね」

ミザール「たった、と言うのは否定しませんわ、でも、二人ではなくってよ」

ウェヌス「そんなはずは無いわ、この迷宮に踏み入ればどんなに隠れていようが、
     分かるような仕掛けになっているのだもの」

ベネト「ふっ、すぐに分かるわよ」

ネイト「っ、ウェヌス様、今他の都市から連絡が、襲撃にあい被害甚大との事!」

ウェヌス「・・・・何?」

ベネト「そういう事よ、残念だったわね、今日でソレールの完全神話はお終い、落星の時よ」

ミザール「他の皆様も上手く行ってるようですわね、安心しましたわ」

ウェヌス「・・・・なるほど、冗談ではない、と言う訳ね」

ベネト「さ、覚悟は良い?金の亡者、偽りの女神、帝女ウェヌス」

ウェヌス「甘く見られたものね、私も伊達や酔狂で明けの明星を名乗ってるわけじゃないわ、
     見せてあげるわ、圧倒的な力の差を、明けの明星よりて、いずるは破壊の波動、思い知りなさい!」

ミザール「第六星が命ず、純然たる力よ、壁となりて全てを防ぎなさい!」

ウェヌス「その程度の壁で、この私を・・・・!」

ベネト「ミザール弱い!」

ミザール「分かりましたわ、重ねて命ず、確固たる意思よ、壁に添いて支えたまえ!」

ネイト「なっ、ウェヌス様の攻撃を止め・・・!?」

ベネト「第七星が己に課す、疾風となりて駆け抜けよ、行くわよ、はぁ!」

ネイト「くっ、させはしない、放たれる矢はとめどない奔流が如し、止まりなさい!」

ベネト「そんな威力だけの攻撃、当たらない!」

ネイト「っ、速い!?」

ウェヌス「ネイト、下がりなさい」

ネイト「はっ!」

ウェヌス「明けの明星よりて、いずるは破壊の・・・・!」

ベネト「遅い」

ネイト「っ、させません!」

ミザール「それは、こちらのセリフですわ!第六星が命ず、輝ける光よ、刃となりて走りたまえ、せぇい!」

ネイト「うわぁ!?」

ベネト「貰った!」

ウェヌス「っ、ぐぅ!?」

ベネト「金の惑星、崩壊の時よ」

ウェヌス「ごふっ・・・・、貴女達、いったい、何者、なの・・・・」

ベネト「グランシャリオ、惑星に死を届ける七つの恒星よ」

ウェヌス「ぐっ・・・、愚か、な、私たちに本気で、敵うと・・・」

ベネト「現に、今一つ、堕ちたわ」

ウェヌス「ふ、ふふっ、甘い、甘い、わ、いくら個が強かろうと、我らソレール全ては、落とせは・・・」

ネイト「づ・・・ぅ、っ、ウェヌス、様・・・・」

ミザール「あら、生きていたのですね、良かったですわね、貴女を縛る者はもういなくってよ」

ネイト「何を勘違いしておられるのです、ウェヌス様が縛ってくださっていたから私は自由でいられたのです、
    貴女方は、ソレールの真の恐ろしさを知らないのです、知れば反抗しようなどという気は、うっ!?」

ミザール「っ、どうされまして?」

ネイト「ぐっ、は、ぁ・・・!お待ちくだ、さい、私は、逆らう意思、など、忠誠は、ソレールの、元、に・・・!」

ベネト「・・・・・死んだ、わね」

ミザール「今、何が・・・・?」

ベネト「分からない、でも、ソレールに殺された事だけは、間違いないわ」

ミザール「負けた者の配下は不要、という事ですわね」

ベネト「人の命を、なんだと思っているの・・・・!」

ミザール「ベネト・・・、行きましょう、他の星も気になりますわ」

ベネト「そうね、長居は無用、さて、次はどこに向かおうかしら・・・」

ベネトM「こうして、圧政を布いていた暴君が一つ堕ちた、残された星は、後、七つ」


ネイト「次回予告」


ウェヌス「輝く七星はとうとう活動を始めた、次々と攻め込まれるソレールの都市、
     次に戦いが繰り広げられるのは、どの星なのだろうか・・・」

ミザール「次回、グランシャリオヒストリー 第二話 支配のコロッセオ」

ベネト「例え今は誰も知らぬ光だとしても、全てを照らすまでは」



to be continued...




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シナリオの感想とか演じてみて台本としての感想とかいただけると作者がよろこぶかも・・・w