二人で七夕

天川 修♂(しゅう) 大学生
天川 琴美♀(ことみ) 大学生

※二人は同じ苗字ですが、血の繋がった兄妹ではありません。
 親の連れ子で一緒に住んでた時期がある設定となっております。


修♂:
琴美♀:





琴美「修!しゅーう!起きてっ、ねぇ、おーきーてーってば!」

修「ぐぇ!?」

琴美「お、起きた!おーはよ!」

修「いっててて・・・、お、おはよう、琴美、あの、もうちょっとゆっくり起こせないか・・・?」

琴美「何言ってんの?もうお昼だよー、ちょーゆっくり起こしたってば」

修「ゆっくりってそういう意味じゃねぇよ!」

琴美「わー!怒った怒ったー!」

修「ったく・・・」

琴美「全く・・・、は私のセリフだよ!今日、何の日か分かってる?」

修「へ?何の日って・・・、今日何日だっけ・・・?」

琴美「七月七日、七夕だよ!もう、二人の記念日を忘れるなんて信じられなーい」

修「・・・うっそ、もう七夕?」

琴美「うん、そだよー」

修「うわぁ・・・、完全に日にち感覚ぶっ壊れてたわ・・・」

琴美「おにぃ最近忙しそうだったもんねぇ」

修「おい、戻ってるぞ」

琴美「あっ、しまったしまった」

修「いい加減慣れろよー、俺らが兄妹じゃなくなって何年目だと思ってんだ」

琴美「何年目だろ、あんま考えたくないなぁ、兄妹になってからも、そうじゃなくなってからも色々あったし・・・」

修「そう、だなぁ・・・」

琴美「しょうがないよね、お父さん、修に似てかっこいいもんね・・・」

修「おい止めてくれ、俺があいつに似たんだ、考えたくないし認めたくもないっての」

琴美「なんでー?モテモテになれるよ?」

修「なんだー?俺に浮気して欲しいのかー?」

琴美「あ、だめー!絶対だめー!」

修「だろ?」

琴美「浮気、ダメ絶対」

修「あぁ、だから似てたくないの」

琴美「うん、そうだね、お父さんみたいに浮気ばっかりになって欲しくない」

修「大丈夫、俺には琴美がいるから」

琴美「うん、ありがとう」

修「あぁ、後、あいつは俺の親父だ、お前までお父さんって呼ばなくていいんだぞ?」

琴美「そうなんだけどね、名前覚えてないの、お父さんとしか呼んでなかったから」

修「ぷっ、あっははははは!色男も形無しだな!同棲相手の娘にすら覚えてもらえないとか!」

琴美「だってぇー!新しいお父さんが出来た事より、おにぃに会えた事の方が衝撃的だったんだもんー!」

修「あいつなー、女の恋心には敏感だよなぁ、今思うと、お前が俺に一目惚れしたのに速攻気付いたんだろ?」

琴美「多分ね、将来二人が結婚できるように、俺達は籍をいれずにいるかぁーってね」

修「あの時の琴美の喜びようといったら」

琴美「い、言わないでー!」

修「あっはははは!」

琴美「もぅ、おにぃったらー・・・」

修「拗ねんな拗ねんな、それよりも」

琴美「あ、ごめんね、修?」

修「うん、いいよ」

琴美「うん!」

修「いやしかし、本当に七夕は色々あるよなぁ」

琴美「本当にね、お母さんとお父さんが一緒に住み始めたのも七夕」

修「もちろん俺達が初めて会ったのもその時だから七夕」

琴美「お父さんの浮気がばれて、別々に住むことになったのも七夕」

修「離れ離れになった俺達が再会したのも七夕」

琴美「一緒に住み始めたのも七夕だよー!」

修「俺達はマジで織姫と彦星かっての」

琴美「ねぇー!由来みたいな運命辿らなくてもいいのにー」

修「わし座の鷲から修」

琴美「こと座の琴から琴美」

修「まぁ大違いなのは彦星の親のせいで離れ離れになったってことか」

琴美「でも親のせいで離れ離れになっちゃったのは一緒だよ?」

修「あー、そうか」

琴美「もしかして、私達、織姫と彦星の生まれ変わりなんじゃない?」

修「じゃあ七夕に雨が降ったらお別れ?」

琴美「・・・・やだー!」

修「だろー、じゃあ俺は一人の普通の人間でいいよ」

琴美「うん、私もそれがいいー!」

修「じゃあそういう事で」

琴美「そうしようそうしよう」

修「おう、そうしよう、そして」

琴美「そして?」

修「俺を起こした意味ー!」

琴美「あ!準備してない!」

修「ま、琴美が行きたくないなら俺はそれでいいんだけどねー」

琴美「行きたいのー!もぅ、なんで修はそんなにお祭り行きたくないの?」

修「・・・からかわれるから」

琴美「ほぇ?」

修「ダチに会うとシスコンだー!ってからかわれるんだよ」

琴美「そういえば毎回言われてるね、否定してるんでしょ?」

修「してるよ、もう定例行事なんだって、分かってて言うんだよ、あいつら」

琴美「おにぃも大変だねぇ」

修「それだよ」

琴美「へ?」

修「お前が未だにおにぃって呼ぶからってのもあるからな」

琴美「ご、ごめんなさーい、ねね、気をつけるから行こうよー!」

修「はぁ・・・、ちゃんと気をつけてくれよー?」

琴美「うん!」

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修「うっせばーか!お前らに言われんでも幸せになるわー!お前らこそ早く彼女作れあほー!」

琴美「おかえり、大変そうだったね」

修「いつもの事だから慣れたけど、疲れる・・・」

琴美「ふふっ、おつかれさまっ」

修「ありがとー、そんじゃ、ささっと短冊つけに行きますかー」

琴美「えぇー、屋台回ろうよ屋台ー!」

修「屋台かぁ、なんか行きたいのある?」

琴美「わた飴やきそばクレープー!」

修「食べもんばっかだな」

琴美「いいじゃん!美味しいよ!」

修「それは同感、そんじゃ何から行く?」

琴美「それじゃやきそばから!」

修「はいよー」

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琴美「んー、うまうま」

修「あっはは、幸せそうな顔してんなぁ」

琴美「幸せだよー、だって修と一緒なんだもん」

修「っ、そ、そっか」

琴美「そうだよー、ねね、私ばっかり食べたいもの食べてるよ、修はなんかないの?」

修「俺?んー、一緒に食べてるから俺も結構お腹一杯なんだよなぁ」

琴美「そっか、それじゃあこれ食べ終わったら短冊つるしに行こー?」

修「そうだな、あんまり遅くなると明日大変だし」

琴美「もう明日のこと考えてるのー?折角のお休みなのにぃ」

修「ご、ごめんって」

琴美「謝らなくってもいいんだよ、修が大学もバイトも頑張ってるの知ってるんだから」

修「っ、ありがとう・・・」

琴美「だからこそ、今日くらいは余計なこと忘れて、楽しんで欲しいなぁって思ってるの」

修「そうだな、うん、そんな日があったっていいな」

琴美「でしょ?」

修「あぁ」

琴美「えへへ、それじゃ行こ?」

修「おぅ」

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琴美「うわぁー、もう沢山短冊付いてるねー!」

修「だなぁ、何回見ても凄い光景だ」

琴美「ねっ!今年はどんなお願いにするー?」

修「んー、内緒」

琴美「えぇー、なんでー!?」

修「ふふーん、俺よりも琴美の願いは?」

琴美「修が教えてくれないなら私も教えてあげないー!」

修「えぇー」

琴美「えぇーじゃないもん!」

修「仕方ないなぁ、それなら教えてあげるよ」

琴美「なんかおにぃが偉そう・・・」

修「おいやめろ」

琴美「やめないもーん、おにぃー、ねぇおにぃー」

修「や、やめろって!分かった!俺が悪かったから!」

琴美「うん、それでよろしーのだ」

修「くそぅ・・・」

琴美「それで、修の願い事ってなんだったの?」

修「・・・織姫と彦星が二度と離れ離れになりませんように」

琴美「・・・え?」

修「だぁー!ガラじゃないのは分かってるよ!だから隠したかったんだー!」

琴美「ううん、そうじゃなくて、私も同じの書こうとしてたの」

修「・・・・・マジで?」

琴美「うん、マジだよー」

修「ぷっ、あっはははは!」

琴美「ふふっ、あっはははは!」

修「いやぁー、偶然ってすげぇな!」

琴美「もうここまできたら偶然じゃなくて必然だよぉー!」

修「そうだな、よし、それじゃ二人で一枚に書こうぜ、半分づつ!」

琴美「いいね!賛成ー!」

修M「きっと、二人とも考えてる事は同じだ」

琴美M「彦星な修」

修M「織姫な琴美」

琴美M「二人が二度と離れ離れになりませんように」





こちらの台本は
コンピレーション企画「星を見る夜 〜願いを短冊に乗せて〜」にて
書かせて頂いたものです。
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